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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.7
- 出版社: 日本経済新聞社
- サイズ:20cm/319p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-532-14849-9
紙の本
2020年の中国 政治・外交・経済・産業の将来を読む
経済改革の行方は? 共産党体制は続くか? 中台関係はどうなる? 各分野の第一線の研究者が、中国の現状と今後の展望を詳細に分析。シナリオ形式で2020年の中国の姿を描き出す...
2020年の中国 政治・外交・経済・産業の将来を読む
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商品説明
経済改革の行方は? 共産党体制は続くか? 中台関係はどうなる? 各分野の第一線の研究者が、中国の現状と今後の展望を詳細に分析。シナリオ形式で2020年の中国の姿を描き出す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
鮫島 敬治
- 略歴
- 〈鮫島〉1932年中国長春生まれ。大阪外国語大学卒業。日本経済新聞専務取締役を経て、現在、日本経済研究センター客員研究委員。
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紙の本
近未来の中国を立体的に鳥瞰(ふかん)させてくれる格好の羅針盤
2001/01/19 18:15
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投稿者:篠原 興 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し前までは,日本とアジア諸国とを結びつける何か新しいアイデアを言いだした人に,それが経済関連であれ文化交流であれ,もっともらしく鼻を折る言い方として“君ね,そんな事を言ってるけどアメリカがどう考えると思っているんだい”というのがあった。別に特にアメリカにご同意をもらわなくとも済みそうな問題に対しても使われたものだ。最近はさすがにアメリカ自体の南北アメリカ大陸回帰の方向が明確になったせいかこの言い方ははやらなくなっている。面白いことはこの時アメリカ,アメリカと連呼した人々は昨今,“君中国がなんと言うと思うのかい”と言いだしていることである。言われた人はここでなんとなく鼻白む。97年秋のアジア通貨基金(AMF)構想に米国が反対し中国が積極的に賛成しなかったために頓挫(とんざ)した辺りで米中の入れ換えがあり,98年冬のダボスで朱首相が“我れアジア危機の防波堤たらんとす”と宣言して大向うの喝采(かっさい)を取ってから半可通国際人が中国を持ち出す頻度が増えたのである。
21世紀がアジアの世紀であろうということは,98年アジアを襲った(韓国風に言えば)IMF危機の有無にかかわらず未だ正しい問題把握の方向であることは言をまたない。その中で12億の人口を抱える中国が重要な構成員の一員であることも同様に言をまたない。しかし,さてその中国の現状と近未来に冷静な判断をすること自体,甚だ心許ないのが実情だろう。
本書は日経センターが気鋭のエコノミスト十数人を糾合して組成した「中国研究会」の報告書であり上述の心許なさを埋めてくれる格好の読み物だ。2020年の中国を研究会のテーマとした由であるが,取上げた問題も政治経済社会外交と幅広く設定されており,中国カードを振り回す人にも振り回される人にも中国自体の身の丈をやや客観的に知ることができるように工夫されている。テーマごとに2020年に中国はどうなっているかというシナリオがその実現の蓋然(がいぜん)性の数値とともに3つ示されており,現状認識と近未来の展開がかなり分析的に述べられたうえで先のシナリオの蓋然性の数値を説明している。
例を第4章「上海は国際金融センターになるか」に取ると,シナリオ1:国際金融センターとなる(30%)2:一進一退(60%)3:経済混乱(10%)と示されたうえで説明が続く。読者は上海が明日にも東京市場を凌駕(りょうが)する国際市場となるといわんがばかりの中国カード振り回し屋たちの言い条に疑念を挟む事になるだろう。
中国がアジアの最も重要な一員である事は事実であるが,片や12億の民を抱える巨大国の顔と片や一人当たりの所得が日本の数十分の一という顔とを併せ持つ国家。いたずらに情緒的に流れない冷静な理解を持つことが求められている間,本書は誠に時宜を得た,そのための羅針盤としての役柄を提供してくれるものとなっている。
(C) ブッククレビュー社 2000