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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.9
- 出版社: 日本経済新聞社
- サイズ:20cm/264p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-532-14860-X
紙の本
アジア新たなる連携
著者 日本経済新聞社 (編)
第6回国際交流会議「アジアの未来」を単行本化。アジアのトップリーダーが集い、通貨危機から中国の経済改革、朝鮮半島情勢、IT革命の行方まで、アジア大に視野を広げ様々な議論が...
アジア新たなる連携
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商品説明
第6回国際交流会議「アジアの未来」を単行本化。アジアのトップリーダーが集い、通貨危機から中国の経済改革、朝鮮半島情勢、IT革命の行方まで、アジア大に視野を広げ様々な議論が展開される。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
アジアの域内協力、広く深く | スパチャイ・パニチャパック 著 | 13-29 |
---|---|---|
国内安定へ民主化推進 | アブドゥルラフマン・ワヒド 著 | 30-40 |
経済発展の格差解消を | シサワット・ケオブンパン 著 | 41-47 |
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紙の本
アジアに奇跡の成長が再来するのか。東京に集まった最高指導者,専門家が,IT革命を背景に指針を提示した
2000/12/01 21:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岡田 臣弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マルクス,エンゲルスの共産党宣言風に言うなら「アジアに幽霊がでる。ITという幽霊である」。97年タイを震源地とした通貨危機から立ち直り切らないアジア各国を揺さぶるITとは,そも何なのか。ITがアジア再生の飛躍台になるのか。21世紀明暗を分け兼ねない課題だけに,しっかり考察し,行動するヒントが欲しい。本書は,月並みな表現だが「豪華メンバーによる熱い議論」で示唆に富む指針を示した。
東京で開催した国際交流会議「アジアの未来」に結集した顔ぶれは,マハティール・マレーシア首相,リー・クワンユー・シンガポール上級相はじめ,米国,中国,台湾,韓国,インドネシア,ベトナム,フィリピン,ラオスなど,各国の現職政治家,有識者に,日本のNTTドコモ,新日鉄,伊藤忠のトップ,大学・研究機関のオピニオン・リーダーも加わった。論語は「知る者は言わず,言うものは知らず」と喝破したが,「知る者がタイムリーに言ってくれた」ようである。
さて焦点のIT革命が「ビジネス環境を激変させ,アジアと各国経済発展を左右するカギ」との認識では異論がないだろう。問題は,情報インフラが整備された国と遅れた国との格差拡大である。インターネット普及率が,人口比22.4%の香港と,0.1%のインドネシアを放置したままでは「アジア連帯」も空疎に聞こえる。情報インフラの構築協力=新たな連携から,奇跡の成長を再来させる切っ掛けがつかめるかもしれない。
本書が教えるもう一つの大事なポイントは,IT革命に浮き足立ってモノづくりをないがしろにする誤りと,各国が蓄えてきた伝統的資源の再生だ。
ところで,アジアの将来を語る時,中国の経済改革と南北朝鮮の行方が不可欠のファクターになる。中国にとり21世紀初頭のWTO加盟は,内外の市場・技術・資本を活用できるチャンスである半面,外資の厳しい風に国内市場をさらす冒険でもある。
交流会議で中国政府シンクタンク「中国科学院国情情報センター」胡鞍鋼主任は,「中国が直面する最大の挑戦は『人間の安全保障の欠如』」と指摘した。開放経済がもたらすグローバル化と並行し,雇用,所得,退職者,健康,文化,社会,生態環境など7つの国内不安解消が欠かせないというのだ。78年改革開放を指揮した小平の「モノ中心から人間中心のグローバル化」を提起し,革命政党・共産党の政策政党への転換を説いたのは新鮮だ。
南北朝鮮の雪解けに関し,外相も務めた知日派の孔魯明・東国大学教授が,経済協力の前提に北朝鮮の武力統一政策放棄と国際社会の中での責任分担に言及した。南北和解フィーバーを戒め,経済・安保面での日米韓の役割分担を不可欠と説いたのは注目して良い。
ところでアジア通貨危機の際,マハティール首相はIMF主導の再建計画に抵抗して自国流の再生に成功した。これにかかわったとされるマレーシア戦略国際問題研究所ノルディン・ソビー会長は「アジア再生と共通の家をつくるカギは十戒にあり」として,過去の過ちを忘れない,生産性に献身せよ,政治家はビジネスに口を出すな,対外直接投資に貪欲であれなど,ユーモラスに語ったのが印象的だった。
(C) ブッククレビュー社 2000