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商品説明
政治、行政、経済…構造改革を進めれば最後は国の最高法規、憲法につきあたる。官主導・中央集権からのギアチェンジのために、改憲・護憲のしがらみをこえ、立法改革−明文改憲の道筋を第一線政治記者が提言する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
芹川 洋一
- 略歴
- 〈芹川洋一〉1950年熊本市生まれ。東京大学法学部卒業、同新聞研究所修了。現在、日本経済新聞社政治部編集委員。
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紙の本
日経ビジネス20010122
2001/01/25 12:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 毅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「憲法改革」という言葉はあまり見慣れた言葉ではない。この言葉に込めた著者の思いを一言で言えば、それは従来の改憲論、護憲論というしがらみから自由に憲法やそれを巡る諸議論を考える時代になったという判断である。著者の視点は過去の経緯にあるのではなく、あくまでも将来にある。最近の憲法を巡る国民の意識調査の内容を思い浮かべてみると、こうした本書の立脚点は今やかなりの国民の感覚に合致するものと言えよう。
さらにもう1つの工夫として、「憲法改革」の内容を改憲手続きを取って条文を直す明文改憲という方法と、基本法などを制定して法制度を整えて憲法を改良しながら使う方法(立法改革)とに分けることを提案している点が挙げられる。こうした議論の仕方は例えば安全保障基本法の試みなどにおいてこれまでも散見されたが、これを他の領域にまで及ぼし、明文改憲とセットの形で示した点が注目される。
具体的な内容について言えば、経済活動の自由の確立、国会や内閣の改革を通しての政治主導の確立、地方分権の確立、第9条問題、新しい人権条項や司法改革と憲法裁判といったものにまで及んでいる。これらそれぞれについてこれまでの議論が紹介され、その上で明文改憲という道を選択するか、立法改革という道を選択するかについて著者の見解が述べられている。こうした多様な問題群が選ばれたこと自体、最近の憲法論議を巡る国民の関心の広がりを反映するものである。また、「見える憲法」と「見えない憲法」という区別を行い、「見えない憲法」まで視野に入れた議論を心掛けることによって、議論が一段と分かりやすくなっている。
将来の日本の構想を踏まえて憲法を論じようという著者の姿勢は、過去の出来事に拘った議論よりも多くの共感を得られることは間違いがない。その上であえてベテランの政治記者である著者に聞いてみたいことが2点ある。第1は、現在の日本の国会に「憲法改革」問題に類する大問題を議する力量と、そもそも時間があるだろうかという疑問である。こうした課題が登場すると政治が動かなくなり、日常の用にも事欠くようなことになりはしないだろうか。第2に、日本において改憲論、護憲論というしがらみが何故このように永続し、独り歩きしたのか、それは政党政治の体質とどう関係していたのかという点である。この2つとも「どこから始めるか」という問題に関わるが、そういう政治論も著者に是非期待したいところである。
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