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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.8
- 出版社: 日本経済新聞社
- サイズ:20cm/413p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-532-14925-8
紙の本
雇用の未来
従業員との暗黙の了解を書き改め、人事・雇用のあり方を根底から変え、労働市場の台頭で余儀なくされた経営慣行の変化と行方を企業事例や調査データをもとに説く。【「TRC MAR...
雇用の未来
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商品説明
従業員との暗黙の了解を書き改め、人事・雇用のあり方を根底から変え、労働市場の台頭で余儀なくされた経営慣行の変化と行方を企業事例や調査データをもとに説く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ピーター・キャペリ
- 略歴
- 〈キャペリ〉オックスフォード大学で博士号取得。マサチューセッツ工科大学などを経て、現在、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授(経営学)。雇用関係について多数の論文を発表。
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紙の本
アメリカの後を追わざるを得ない日本企業
2002/01/11 18:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:神楽坂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本は終身雇用が普通だが、アメリカでは転職するのは当たり前だと言われてきた。しかし、そこには大きな誤解があったのだ。アメリカもかつては日本のように安定していたが、新たな経営手法の導入で社員のリストラや配置転換が頻繁に起こる厳しい時代が訪れたのだという。それは、まさに現在の日本の姿であり、日本は20年遅れてアメリカと同じ道を辿っているらしい。しかし、日本が当時のアメリカと似た状況に置かれているとしても、20年後の世界情勢までは想定外である。市場原理がうまく働いてくれるかどうか、気にかかる。
紙の本
アメリカの現在を日本の未来にするな
2001/09/20 18:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:荻野勝彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、米国における雇用の「ニュー・ディール」について書かれている。1980年代のリエンジニアリングの過程で、雇用関係が大幅に変貌した、その前後の状況を仔細に調査している。米国の雇用、労働市場について知る上で非常に参考になる本である。
1980年代に米国は深刻な不況に陥り、企業は人員削減の必要に迫られた。退職者年金基金などの機関投資家が、株主として経営に対する影響力を行使し、短期的な業績や株価を追求するようになったことがそれに拍車をかけた。この過程で、企業は、従業員が企業に貢献できる限りは雇用するが、そうでなくなれば雇用は保証しない、その代償としてエンプロイアビリティ向上を支援するという新しい枠組みを提示した。雇用のニュー・ディールの出現である。社内労働市場に深く社外労働市場が入り込み、企業は社外労働市場の人の海に浮かぶような形になった。
その過程と、影響について、この本は詳細に解説している。生産性は低下せず、むしろ向上しているが、優秀社員の定着や企業内での技能の蓄積などに問題があり、いずれ悪影響があるだろうと指摘し、その対応策を述べる。ある地域全体で、産学で人材を融通し必要な職能を育成していく「シリコンバレー・モデル」はそのひとつであり、こと人材に関しては「シリコンバレー株式会社」とも言うべきシステムが成立していることがわかる。
そして、結論として、ニュー・ディールのもたらす格差拡大などの問題点も冷静に指摘した上で、「最後の忠告」として長期的視野の重要性をあげ、ニュー・ディールもいずれは過去のものとなり、その後の雇用がどうなるかはわからない、と述べて終わっている。
この本はアメリカの本であり、著者は「もはやオールド・ディールには戻れない」という前提で議論している、という点に注意が必要だ。著者はニュー・ディールとオールド・ディールの優劣や善悪については断言を避けている。おそらく、ニュー・ディールが近年のアメリカでうまく行っているのは、長期にわたる好況の助けによるところが多いだろう。この本は1999年の本であり、これから始まるかも知れない景気後退期において、ニュー・ディールがうまく適応するかどうかは考慮されていない。
幸いにして、日本ではまだアメリカ型のニュー・ディールは広がっておらず、後戻りができないところまで来ているというわけでもない。長期雇用のもと、企業特殊的熟練まで含めて技能を蓄積していく人材育成のシステムもまだ健在であり、それが競争力に直結している分野も案外多い。もちろん、アメリカ型のニュー・ディールがなじむ分野、たとえば金融や証券などでは、それをさらに取り入れていけばいい。アメリカの優れた点には学びつつ、盲従はせずに、よりよいシステムを維持し、構築していく努力が必要だろう。
なお、訳題の「雇用の未来」は不適当だ(原題は“The New Deal at Work: Managing the Market-driven Workforce”)。この本は主に雇用の「現在」を述べており、「過去」にも触れているが、「未来」についてはほとんど語っていない。第1章の原題も“The New Deal at Work”で、訳も「雇用のニューディール」となっている。なぜ、書名も同様にしないのか。また、第7章の訳題も「雇用の未来」となっているが、この章の原題も“Concluding Observations on the New, Market-Driven Employment Relationship”であり、内容的にも「雇用の未来」という題がふさわしいとは思えない。いずれも、“Market-Driven”という語の含意が生かされていないし、この本の内容や主張を超えて、「ニュー・ディールは日本の『雇用の未来』」だと言いたいという意図が感じられる。これは著者に対する冒涜ではあるまいか。
紙の本
2002/05/25
2002/05/28 22:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経流通新聞MJ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年、あるスーパーで社員が納品された商品を横流ししているようだという話を耳にした。破たん直前のことだ。過剰債務を抱える総合建設会社の人事部に勤めていた同僚記者の知人は、人材がみるみる流出し、設計図も満足にできない抜け殻のようになってしまった会社にあぜんとしながら、見切りをつけた。
かつての大企業では考えられなかったことだ。従業員の高いモラルを維持してきた日本的雇用関係がごく身近なところで変質し始めている。社員のパート化が加速する流通業界も例外ではない。
米国のピーター・キャペリ教授が書いた『雇用の未来』はリストラとダウンサイジングを迫られた米国企業がアウトソーシングなどを通じ外部のスキルを組織に取り込んでいく過程を検証。会社への忠誠心が後退し、自己のキャリアに対する執着心が高まるといった社員の行動心理と生産性の関係を考察する。ある食品スーパーは採用時に四十五分間、コンピューターによる面接を試みているなど事例も面白い。
米国で企業が方向転換を余儀なくされたのは製品寿命が短くなるなか、次々にコスト競争力のある新製品を送り出す時代に入り、人の陳腐化が早まったことがきっかけだという。スピードを重視し、組織をフラット化することで中間管理職のポストが減る。同時にそれまで担っていた組織内調整や監督の仕事が情報技術(IT)にとって代わられた事情もある。
気づくのは伝統的雇用システムが崩壊する軌跡を日本の企業が米国よりも凝縮された時間の中でたどっていることだ。
「あなたたちは自分自身の才能やコミットメントに対して責任を持たなければならない。経営陣は市場での成長が約束できないようにあなたたちの雇用も保障できない……」。米国経営者は企業と社員の新たな関係を明文化した。そこに日本との違いがあるが、日本でも労働需給が改善したとき、人材の流動化が一気に広がるに違いない。
そう思い、読み進むうちに人材価値が市場評価で決まる不可逆的な時代の変化のなかで「ハッピー・ワーカー」でいられるか自問自答していた。本のタイトルのように自分の「雇用の未来」を考えさせられる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001