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商品説明
「本能寺の変」の後、遠く離れた地から電光石火で京に戻り、謀反人・明智光秀の首を取る。この「中国大返し」に太閤伝説最大の謎が潜む。信長の跡目争いに羽柴秀吉を突き動かした、ある使命とは。そして本能寺に隠された秘密とは。史実の行間をスリリングに読み解く本格歴史ミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
「中国大返し」に太閤伝説最大の謎が潜む。信長の跡目争いに羽柴秀吉を突き動かした、ある使命とは。そして本能寺に隠された秘密とは。史実の行間をスリリングに読み解く本格歴史ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
加藤 廣
- 略歴
- 〈加藤廣〉1930年東京生まれ。東京大学法学部に学ぶ。中小企業金融公庫京都支店長等を歴任。山一證券に転じ、同経済研究所顧問など。2005年「信長の棺」で作家デビュー。
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紙の本
「信長の棺」に続く歴史ミステリー
2008/08/31 13:05
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
「信長の棺」に続く歴史ミステリー。前作の終了時、本能寺の変から時代を少し前に戻し、秀吉の立場から描いています。信長の棺と異なり、本書は上下巻に分冊されているため、背景の描写などがかなり細かな部分まで表現されています。上巻では、本能寺の変の前から、本能寺の変、その後の清州会議、賤ケ岳の戦いまで。
前作の謎解きが衝撃的だったため、本作の上巻はその点では弱い感じがします。ただ、前作から登場人物たちの会話でのやりとりが非常にリアリティがあって、どんどん引き込まれていきます。
本書の最大の魅力は、秀吉の心情の描写。本能寺の変から山崎の戦いで勝利した後に、どんどん変化していきます。
また、時代の流れに合わせた描写の合間に、藤吉郎時代の信長とのやり取りの記憶が挟み込まれています。
これが、より秀吉の信長に対する複雑な心情を浮きあがらせているようです。
上巻はあっという間に読んでしまいました。
http://blog.livedoor.jp/c12484000/
紙の本
秀吉が信長を殺した!!
2007/05/28 00:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:武蔵野 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は2つのテーマがある。
秀吉の枷(上)では、秀吉が本能寺で留めを刺したのは、秀吉の指示である説。秀吉の枷(下)では、秀頼が秀吉の子供でなかった説。(書評は、別項で)
信長の棺の続編として、歴史推理小説である。信長の棺では、大田牛一を介して、本能寺の変を語っている。秀吉の枷(上)では、秀吉を介して、本能寺の変を語っている。しかも、信長を死に至らしめたのは秀吉であると。!!
筆者ならでの、オリジナルの推理とその推理を裏付ける秀吉の出生の秘密、秀吉の心理状態、中国おお返しが鮮やかにできた理由等を時系列的に推理して語られている。
本当にそうか?
この本を読む限り、筆者の推理を全面否定することはできない。それだけ、下調べの調査とオリジナルの推理が優れていると
言わざるを得ない。
読者の必読の本としてお奨めする。
但し、私はどうしても秀吉の生善(信長を殺さなかった)説を取りたい。中国おお返しも、全て、秀吉の諜報網が優れていた事実によるもので、明智光秀の動向もつかんでいたのではないか?
秀吉が信長に少数での移動を危険と連絡しても、信長の油断による死と考えた方が妥当と思う。抜け穴は、地震で塞がれていたとか?秀吉があの毛利との状況で、信長を殺すメリットはない。
また、秀吉の晩年の朝鮮攻めを見ると、信長をあの時点殺して天下人になってからのビジョンがあまりにもなさ過ぎる。
秀吉の詳細は、秀吉の枷(下)の書評で語りたい。
さて、読者の意見は?
以上
紙の本
それは大河ドラマのように書かれていた
2006/06/17 14:08
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の著者である加藤廣氏は2005年に信長に関する歴史ミステリー小説で作家デビューし、いきなりベストセラーを記録する人気作家となった。
その第二作目だというので、興味を持って手にしてみた。本書も相当売れ行きが好調らしい。ただし、私はふだん歴史小説は読まない。そのため、他の歴史小説との比較において、すぐれているかどうかの判断はできない。したがって、読んで感じたことをそのまま書評として書いてみることにする。
秀吉を知らない日本人はいないであろう。また、その人となりも信長、家康との違いが決まり文句で表現されているので、よく知られている。「鳴かぬなら殺してしまえほととぎす:信長、鳴かぬなら鳴かしてみようほととぎす:秀吉、鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす:家康」である。秀吉は知略にたけた人物として、学校で教わっているはずである。
秀吉は酷薄非情な信長に巧みに仕え、頭角を現していく。信長はいともあっさりと、多くの敵将や家臣やさしたる非もない人々を次から次へと殺してしまう。よほどうまく立ち回らなければ、長きにわたって信長に仕え、取り立ててもらうことなど不可能であったはずだ。その辺のところを本書の上巻はしっかりと描いている。
秀吉は、弁舌巧みに、また芝居がかった演技も多用しながら、信長に気に入られていく。知略化にして、かつ陽気な性格でなければ、このような振る舞いもそうは続かないだろう。それを可能にした人物像を本書は実によく描けている。
こういった口上や演技を、読者は上手にイメージ化できなければ、読んでいて、もどかしさを感じるものだろう。しかし、著者の才能のおかげで、やすやすとイメージ化、映像化できる。
それはあたかもNHKの大河ドラマの脚本を読んでいるかのようである。もし、将来、本書を元にした大河ドラマを脚本作家が書き起こそうとしても、ほとんど苦労はしないのではなかろうか。そのくらい、上手にいろいろな場面を描き切れている。読者は、文字だけを追っているのに、自然と映像も浮かんでくるほどだ。
読んでいる最中、折しも、NHKの「功名が辻」というドラマと重なるシーンがあったが、このとき感慨を覚えた。
驚くべきは、著者の加藤氏は昨年75歳で作家デビューしたという点だ。年齢を考えれば、上下巻で700ページを超える書物をものにし、飽きさせずに最後まで読ませる筆致は高く評価できるだろう。
決して新しくはない素材である秀吉を扱い、著者ならではの仮説を織り込みながら、見事な小説に仕立てている。
(さて、下巻では、異なる観点から書評を書いてみる。)
紙の本
『信長の棺』は小泉首相の愛読書だと喧伝が先行していた作品だった。小泉さんの愛読となればそれなりに成功した政治家の特別の関心事でも書いてあるのだろう、難しそうだなと、まだ読んでいない。
2006/07/26 23:37
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
加藤廣氏は2005年『信長の棺』でデビュー、75歳と言う高齢のベストセラー作家の誕生に驚いた。
豊臣秀吉といえば、私がはじめて読んだのは小学生だった。貧乏な百姓の小せがれがちょっとした工夫の積み重ねと辛抱強さ、巧みな人心収攬などで天下様になる痛快な立身出世物語だった。矢作橋で少年日吉丸と野武士蜂須賀小六との出会い。信長の草履を懐で温める主君思い、一夜で築いた墨俣城、高松城の水攻めなどは当時の記憶のままで忘れられないものだ。中学のころ読んだ吉川英治の『新書太閤記』だって強敵との戦を奇策、調略、土木術をもって次々と勝利していくという快男児のイメージしかない。ところがそれは私が少年時代のことで最近の主人公はもっぱら信長や家康であり、秀吉は彼らに色を添える脇役におちぶれてしまった。現代という政治状況に軸足をおいて戦国武将を語るとすれば国家経営のビジョンに一貫したところのある信長であり、また家康であって、そういうことなら、確かに秀吉にはこれといった国家観がないなぁと思うのだ。
だから秀吉を中心にした歴史小説だといわれればどういう視点で書いたのかととても興味を覚えたのです。
この小説、信長は不世出の革命児であり、家康は永続的安泰の礎を築いた大政治家だとする最近の通説を前提にして、その歴史の狭間にあった秀吉について新国家建設などはなから構想できる器ではないとしているようだ。にもかかわらず、たまたま覇者として歴史の舞台に登場したちょっとだけ才覚がある男としてとらえ、真正面から特にその人間性の弱点をつき、面白おかしく描いている。姑息な手段で天下を手中にした秀吉の内心は卑怯なはかりごとが暴露されることに常に戦々恐々とする小心者であり、子種がないかもしれないと狂ったように女漁りをするヒヒジジイであり、淀君の妊娠には猜疑心と嫉妬にもだえるだらしのないオヤジである。そしてありがちな勝者の驕り、横暴、狂気は実に滑稽である。
それはあたかも本物の会社経営には責任をもちきれない出来損ないが、勝ち組としてもてはやされた現代の喜劇あるいは悲劇に通じるところがあってわかりやすい。通俗小説の傑作としておおいに楽しめました。
また、第1章から奇説・珍説があふれていて、これは気取った本格歴史小説ではなくむしろミステリー時代小説なのだと気がついた。ミステリーを楽しむ姿勢で読むのが一番かもしれない。
竹中半兵衛が死の床にあって秀吉に信長暗殺のはかりごとを授けるなんてところがそれだ。そして秀吉は藤原家の血脈にあって、天皇の信奉者であることになっている。さらに信長は密かに秀吉に命じ本能寺から南蛮寺に通じる抜け穴を作らせるなど第1章のスタートからこれまでの秀吉ものにはなかったミステリアスな仕掛けが用意されていた。
桶狭間の戦いが実は木下藤吉郎がもくろんだだまし討ちだったとは恐れ入る。大きなどんでん返しはないのだが、ミステリーではネタばらしは禁物だから詳しくは述べない。「本能寺の変」、信長暗殺の大秘事。「中国大返し」を必要とした秀吉の恐怖。秀吉と家康という竜虎の一戦、小牧・長久手の戦で秀吉が敗れた真の理由。後継者不在の懊悩。そしてあの無謀としかいいようのない朝鮮出兵の動機。つぎつぎとスリリングに史実を裏返してみせるエピソードは読むものを魅了する。
検証したのではないのだがほとんどが自作の新説ではないかとも思われる。通説ではない説を展開するときには普通、著者の言葉で「………だったのではないだろうか」と控えめな表現があるものだが、加藤氏はそんなことはしない。「通説はそうだが、実はこうだったのだ」と思い切りがいいのである。さすが、これは年の功か。颯爽とした切れ味が読んでいて気持ちがいい。