紙の本
なぜ理系出身が書か(け)ない?
2013/09/08 13:41
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブ-ニ- - この投稿者のレビュー一覧を見る
この手の本を買って著者をみると、そのバックグラウンドはなぜか経済学部,MBAなど文科系の学部を修めた人達が圧倒的に多い。内容も、似たり寄ったりだ。彼らは、自分でモノの開発をしたことはないので、書いてある内容は全て頭で考えたあるいは外部で見たあるいは勉強したことを基にしている。製品開発やモノづくり未経験だから、客観的な見地から見据えることができるので、こういう内容が書けるとも言える。一方、この手の内容で、理科系学部出身の人が書いた本などまず見たことがない。これは大変大きな問題だ。研究者やエンジニアは自分の領域にタコツボのように籠って深堀りするのに忙しく、こういう全体を鳥瞰した考えには興味がないか、故意に目を背けているのか、とにかくこういうことを自分で指摘したり、積極的に提案していないのは、本当に残念だ。MOTもあるが、まだまだ未熟だ。実際の研究者やエンジニアからどんどんこういう本が出てくることを期待する。文科系出身の人とは違った実体験に基づいた見方、考えが必ず出てくる筈だ。例えば、148ページ目の「標準化」という記述については、必ず別の面白い意見が聞かれる筈だ。
投稿元:
レビューを見る
『稼ぐ力を取り戻せ!―日本のモノづくり復活の処方箋』
冨山 和彦 著
木村尚敬・中西章 共著
経営共創基盤CEOの冨山さんのモノづくり復活の処方箋が示されています。
日本企業が陥りがちな罠として、
①すり合わせの呪縛
②ボトムアップ型の決められない経営
③現状延長のモノづくり
④本国中心の大本営型オペレーション
⑤部門内タコツボ化
とあり、多くの日本の製造業の抱えていると思われるような問題点がわかりやすく整理されています。
また、どこで儲けるのか、見える化、標準化など、グローバル化が進んで戦い方のルールが変わった現在で、もう一度競争力を取り戻すための変革の方向性を示しています。
会社で行われているさまざまな改革を俯瞰して整理できた感じがしました。
投稿元:
レビューを見る
日本の製造業の抱える問題点とその打開策を論じている。
複数の著者による合作であるためか、部分的に論調が異なっているところもあるが、全体的には日本の製造業の現状打開策について、多くの示唆を得ることができる。
第一章では、日本の製造業の問題点を指摘している。ここでは「すり合わせへの過剰依存」「トップの意思決定能力の低下」「不連続なイノベーションへの対応力不足」「日本国内市場目線からの海外市場展開」「部門のタコツボ化」を指摘している。企業の中にいれば、多かれ少なかれ意識させられる問題である。
第二章は、グローバルで戦うためのビジネスモデルについて、現状の問題点を示している。何故かこの章は前後の章との関連が薄い。
第三章から第五章で、現状打開の処方箋として「見える化」「標準化」「つなぐ化」を挙げている。「見える化」では管理会計を活用することで、経営を見える化することを提案している。「標準化」では部品の標準化に加えて、業務プロセス、管理の標準化を勧めている。「つなぐ化」については主に問題の指摘に留まっていて、「処方箋」までは達していないように見える。この部分は、現在の経営手法として、ある意味「あたりまえ」のことをきちんとやりきることで、経営が改善されることを示していると言える(現状あたりまえのことが出来ていないと指摘している)。
第六章では、モノづくりの成功モデルを示しているが、第一章では否定的に論じていた「すり合わせ」の力を活かして、グローバル市場で成功するモデルを提案している。
第七章では、ここまでの提案を実行するための企業あるいは経営のあるべき形を示唆している。
投稿元:
レビューを見る
冨山氏からは会うたびに本をもらっていて、最近の本は全部読んでます。それにしてもまあ良くこれだけ量産できるものだと感心してます。昔の竹村健一氏みたいですね。
冨山氏の話しはしょっ中直接聞いているので、大体理解の範囲内でしたが、この本の中では、日本企業のガバナンスに関する以下の記述が大変印象的でした。「日本におけるガバナンス論では、トップの暴走にどうブレーキをかけるかという米国流の議論をしていても、じつは、ほとんど意味がない。 暴走するほど権力が集中していないからだ。むしろ、日本企業の場合は、どうすればトップの権力を強くできるかという観点から、ガバナンスの議論をしなければ生産的とは言えない。外部取締役も結構だが、それはトップの権力を牽制するためというよりも、むしろ改革を進めるよう、合理的な意思決定を迅速果敢にやろうとしたときに、ムラ型共同体の中では孤立しがちなトップの応援団となることの方が重要だ。」・・・全く仰る通りだと思います。
投稿元:
レビューを見る
日本の製造業は、厳しい状況に置かれている。
その原因と状況を打破する切り口を論じた一冊。
日本製造業が厳しい状況に置かれている課題として
以下の5つを挙げている。
1 すり合わせの呪縛
2 ボトムアップ型の決められない経営
3 現状延長のモノづくり
4 本国中心の大本営型オペレーション
5 部門内タコツボ化
又、課題を克服する処方箋として次の3点を解説。
『見える化』、『標準化』、『つなぐ化』
また日本製造業の根源的な強み弱みを挙げ、
グローバルに何処で、また事業バリューチェーンの
何処で稼ぐべきか、『集団知』、『経験値』、『すり合わせ』
が生かせる分野で戦うなどの提案をしている。
私が携わっている事業に直結し、大変参考になる内容
であった。
投稿元:
レビューを見る
形式的であったり、理論の押し付けだったりといった面はほとんどなく、ビジネスにおいて身近に生じている事案をズバズバ指摘されており、う〜ん、参りました。。。という感じだ。
本当に参考になったし、わかってますよということもあったが、全体像として頭の整理もできた。
あくまで個人的な要約となるが、大きく、「極める」と「グローバル化」の2点か。
「極める」では、
・特にすり合わせ領域における徹底した標準化が一歩一歩着実に実行できるか否か
・単純な高品質ではなく、汎用品活用をベースとし、これら組み合わせたコンポーネントですり合わせ
「グローバル化」では、
・現地に権限委譲、顧客と適切な距離を維持し、マーケットからの逆算でモノづくりを行うこと
・どのような使われ方をしているかといった情報を収集し、需要や製品の改良につなげる
・対顧客、対流通、対工事業者にとって気の利いた商品が提供できているか=競争上の大きな障壁となる
投稿元:
レビューを見る
さすが、冨山和彦という本。
日本のメーカーに勤める人には一読をお勧めする。特に印象に残ったのは、以下の点
■モノを売る会社からサービスを売る会社へ
■見える化+標準化+つなぐ化 で変化に強くコストダウンの効き易い製品、マーケットの声を汲んだ製品にする
■再成長のモデル
■グローバル時代の会社の形
付加価値づくりの為のモノづくりへの提言の書。
投稿元:
レビューを見る
日本の製造業を議論するために必読書と思う。色々な論点を整理する上でも良い。冨山さんの最近の著作の中でもっともお勧めかも。
投稿元:
レビューを見る
最近の「ものづくり」に対するノスタルジックな論調とは一線を隔てる冨山流の「ものづくり」再生論。トップダウンによる強力なリーダーシップが必要な市場を捨て、日本の得意なすりあわせ型のボトムアップが有効に作用する市場で勝負しようというのが本書の趣旨。その通りだと思う。家電各社がほぼ死体にもかかわらず、真っ当な構造改革ができず、マイクロマネージメント化をひたすら突き詰める状態は、まさにトップダウンができない証拠。さっさとこのような市場は明け渡して、すり合わせで勝負するのが日本のものづくりの生きる道だと思う。と書いて、ハタと気づいた。このような転換をするには、トップの強いリーダーシップが必要だ。
投稿元:
レビューを見る
もの作りへの回帰
新しい仕組みが必要
ビジネスごとの収益管理
現場は日常的に収益管理に取り組みながら
経営は強化or撤退のタイミングを計る
日本の経営は苦手 戦略不全
投稿元:
レビューを見る
2019年8月読了。
関心したり会社で使えそうなワードがあるとページの端を折りながら読んでいるのですが、折ったページが多すぎる。文字化して残しておきたい雑感等を少々。
36ページ
LIB、DVDプレイヤー、DRAMメモリ、カーナビ、液晶パネルの世界市場の伸びと日本企業のシェアダウンのグラフ。圧倒的に存在感を消している日本企業。
47ページ
目先の効率性優先なら同質的な仲間同士の組織で、でもM&Aをやって大規模に組織を変容するならそうはいかず異質なものをどんどん取り込んで新たな価値を生み出さないとね、という話の後に次の文章。「少なくとも取締役会が日本人の男性ばかり、それも似たような学歴で同じような年代ばかりという状態からさっさと脱却しない限り、日本メーカーに明日は来ない。」
→同質性の高い組織はどうも息苦しい。異分子が混ざり合っている方がよほど健全のように見える。
51ページ
「今、日本企業に求められているのは、経営やオペレーションをフルに海外の状況に合わせて発展できるか、という問い」
55ページ
アジアの成長を取り込んだ日本企業が生き残るという趣旨なんだけど、生き残る残らないを別にしてもアジア圏が成長していくことそれ自体がとても面白いし、自分も、是非その渦中にありたいと思う。
72ページ
「産業機械の分野では、日本企業の優位性はまだ崩れていない」、曰く現場に行って設備を立ち上げる時のスピードや据え付けの手際の良さが買われているとのこと。自社の何をお客さんが買ってくれているのか(製品そのものなのか、立ち上げの見事さなのか、アフターサービスの充実なのか)、考えているようで意外に考えていない。
111ページ
限界利益、管理可能利益、貢献利益、営業利益の図。何かに使えそう。
151ページ
コマツが如何に標準化を徹底したのかという話の紹介の中で、「会計でもERPのパッケージをそのまま使った。システムをオーダーメイドにすると、標準化できないからだ。」とある。システムとかはとかく現状に合わせてカスタムするのが正で、可能な限り使用開始前に色々な要素を盛り込むのが良いと考えていたが、そうではない。
164ページ
マーケティング⇔研究開発⇔製造部門、それぞれの橋渡しをする「⇔」の人が重要。この本では「翻訳者」と紹介されている。それぞれの部門の利益を主張しながら、別の工程との共存を図れる人、そういう役割を担える人が生き残る。
181ページ
「すり合わせ力」が日本企業の強みの源泉。
236ページ
会社トップの選び方:「内部昇格トップを選ぶなら、保守本流は避けたほうがいい。保守本流の人は、今のやり方に完璧にコミットしているので…」
→保守本流が組織を率いてダメにした例は枚挙に暇がない。
投稿元:
レビューを見る
ダークサイドスキル(木村尚敬氏)を読んだ際に登場していた著書で読んでみた。7年前に書かれた本だが古さを感じさせない。寧ろその「古さを感じない」こと自体に危機感を持つべきかもしれない。それだけ日本企業の大半がこの7年でなんら変わっていない、変革を起こすことができていない、イノベーションを起こせていない、グローバル化も出来てないということかと。
30歳から経営者としての意識を…のような主旨の文言には背中を押された。
今年読んだ「両利きの組織をつくる」にも登場するウリケシェーデ氏が本書にも登場したのには驚いた。我々のような若手、中堅世代も読むべきだが、経営者にも危機感を持って頂くために是非読んでいて欲しいな…と思った。日産が好例として取り上げられていることには、どうしても違和感があるが…苦笑。
投稿元:
レビューを見る
2013年の本だが、全く古さを感じない本で
読み応えありました。
私は日本企業の、中小企業で働いているので、
本当に頷ける事が多かったです。
この本以外にも著者の新刊も読みましたが、
納得感のある内容でした。