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商品説明
正面から「平和憲法」に異を唱える、古くて新しい憲法論。憲法九条とその政府解釈がもたらす現実的な弊害を明かし、護憲派の主張に反論を試みる。戦後日本の歩みを振り返り「美しい国、日本」再生への本筋を指し示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
潮 匡人
- 略歴
- 〈潮匡人〉1960年青森県生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了。帝京大学短期大学助教授、評論家。著書に「アメリカが日本を捨てる日」「最後の理性」「テロの脅威が日本を襲う」など。
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紙の本
大事なのは九条か、生命か
2007/04/11 23:58
16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
諸悪の根源というと書き過ぎと思う向きも多いと思う。しかし、本書の内容は実に真っ当で穏当なものと言える。九条をそのままにしておくとどうなるか、またどういう実害を被ってきたのかがよくわかる。
そして、著者は「戦争に巻き込まれないために九条を護持する」という考えを批判する。これは当然であろう。これこそ、日本人を欺き続けてきたマスコミの大部分を占める左翼の常套文句であった。確かに一時は戦争を免れるかもしれない。しかし、もし日本が一切の国際平和維持活動に無関心であったとしたら、そんな国、誰がまともに相手にするだろうか。万一、中国や北朝鮮が戦争をしかけてきても、誰も助けてはくれまい。なにしろ自分はなにもしないのだから文句は言えない。これでまた、今度は違う角度からの孤立で太平洋戦争の轍を踏む事になる。
自衛隊は、ちゃんと仕事しているのに、国内からはバッシングである。イラク戦争のときも、マスコミは嘘ばかり垂れ流し、まるでサマーワ市民が自衛隊を憎んでいる口ぶりだった。しかし、実際は、自衛隊帰らないでデモが何度も起きた。そもそも自衛隊は絶好のテロの標的だった。なにしろ、九条のせいで、彼らは長期的に戦える装備など絶無で、ほぼ丸腰で砂漠にいたのである。
にもかかわらず狙われなかったのは、自衛隊のあまりの献身ぶりに部族長が「日本『軍』を狙ったものは一族郎党征伐する」とまで厳命されていたことも大きいのだそうだ。おかげで最も狙いやすかった部隊だけが完全無傷で帰国の途についたという奇跡が起きた。サマワでの先ほどの情況が意図的にマスコミに登場しないのは、自衛隊が歓迎されている様子など見せるわけにはいかないからに他ならない。何としても九条を保持したいのだ。それがマスコミの真実である。
よく考えなければならないのは、九条を許すということは、米軍を除き世界最強の軍隊である自衛隊を解散せよというのと同義だということ。世界第2の軍隊が戦力でないわけはないではないか。となれば、日本を誰が守るのか。民主主義や平和主義をいかに守るのだ。日本は中東から石油が来なくなれば、みんな失業だし、食料が止まれば餓死である。シーレーンを確保するためには、台湾脇を押さえねばならないが、そこは中国海軍の縄張りである。海上自衛隊は、本当に最強といってよい最高の海軍である。それが、我が国の海を守っているから安穏と暮らしていられるのだ。その彼らも、実際に自分たちの船が沈むまで攻撃できない。仲間が殺されてからようやく攻撃に出られる。尖閣も竹島も、実際には占領されてから出ないと何も出来ない。全て九条の効力である。
国民が騙されるのは仕方がない面もある。しかし、国防の全てを知る政治家が九条護持を訴えるのは許せない。もし、自衛隊員の若人の血潮が東シナ海に流れたら、殺人幇助で福島みずほは当然として一部政治家を逮捕すべきだろう。未必の殺意はあったとしか思えない。
これらの左翼のプロパガンダを著者は偽善とするが、偽善ではない。意味が分からない馬鹿と、悪意に満ちた利敵策動家のいずれかである。
九条護持を訴える者は、それが結局は自衛隊を丸腰で砂漠に送りつけ、日本一国平和を訴える偏狭過ぎる人格であり、そして我々を守る自衛隊の解散を宣言しているんだということを認識しなくてはならないだろう。九条を守って軍隊を解散した場合、テロや国家により国家、生命が失われて、残るのは九条の印刷文字だけである。大事なのは九条ではない。国家と国民である。本書は、九条の非人道さが良く分かる構成であり、さすがにPHPである。