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商品説明
「憲法改正国民投票法」や「憲法改正の論点」とは何か? わが国の改憲論議のすべてを知り、すべての政党から一目置かれる公正な政治家・中山太郎が、国民として知っておくべきことをやさしく解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
護憲改憲いずれにも騙されるな
2008/12/21 02:34
11人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
憲法調査会会長の中山氏が憲法改正の主に手続きについて平易に説明している。氏はまさしく改憲手続き策定の最前線にいる政治家のひとりである。ただし、まず認識すべきは、改憲の手続法=改憲賛成などというのは誤りの極みである。故に本書は別に改憲すべきという内容面について詳論がなされているわけではない。
なぜ誤りかといえば、憲法で最重要なのは個人の命であることは間違いない。しかし、改憲規定というのは国民が自らの意思で憲法にも逆らえる権利である。これは、まさしく日本政治および民主主義政体の根幹である国民主権そのものである。改憲規定が96条に明文で書かれている。にもかかわらず、日本国は60年にわたり改憲の手続き法律を制定しなかった。
戦後、改憲の「議論」をしようという意見がようやく出てきたが、なんのことはない。手続き法がなかった以上、改憲なんか絶対にできなかったのである。しかし、それは国家による国民主権の否定そのものであり、絶対に許されない違憲行為であった。
その意味で、安倍総理が国民投票法を成立させたのは、国家の違憲状態を是正する正しいとしかいいようがない行為だったのだ。ところが、無知蒙昧の極みに達する社民党の福島瑞穂などという鼠賊は、いまだに手続法すら否定している。なにがなんでも憲法を変えさせないというマキャベリズムは理解できるが、やはり改憲の可能性すら持たせないのは、民主主義への信頼が薄すぎる。改憲は国民が多数決で決めるのであり、多数の理性を信頼する生体こそが民主主義なのだから、そこを勘違いしてはいけない。
最近よく耳にする話が、「憲法は政府に対する命令である。国民は拘束されない」などというものだ。しかし、これは誤りである。じゃあ、納税規定はどうなるのか。教育の義務だってしかり。さらには、私人間にも憲法規定は間接的に適用されるというのは最高裁判例であり、個人が他人の表現の自由を侵害をしてはいけないことは憲法21条に淵源がある。
たとえば永六輔などというあほバカはこの程度すらしらずに99条などを持ち出して大喜びしてはしゃいでいるが、どうしてこうしたことが9条改正反対論に結び付くのか理解できない。
まるで改憲するのが悪のように「私は改憲には必ずしも賛成ではないが・・」などと留保を付けてる必要があるのだろうか。評論家などの論説を見るとそんなのばかりだ。
9条の改正は、著者も述べるとおり、当然のことだ。だが、戦争を可能にするわけではない。侵略戦争禁止条項は当然そのままだし、その解釈は国際慣習法としも至極当然である。問題は、「戦力」保持禁止条項である。自衛隊が戦力でないわけなかろう。自衛隊は、昔地裁レベルで違憲判断が出されたことが実はある。私は、この判断はする必要が憲法論的にはなかったのだが、解釈としては実に素直で全うだと思う。だから、社民党の福島のように自衛隊廃棄論もひとつの立場であろう。しかし、ほぼ100%の国民がこれには反対なのが不思議なのだ。
要するに、みんな漠然とした不安がある。しかし、間違いないのは、自衛隊は必要に決まっている。今後、米国の戦力が頼りにならない時がきたら、中国は必ず尖閣諸島に軍隊を派遣し、実力支配に臨む。いま、あそこら辺で古銭をまいたり、国際法上の紛争地域化ののちのICJにおける裁判をちゃんと睨んでいる。
9条護憲論者は、その時点で、自衛隊廃棄論者でなければならない。自衛隊は「戦力」だからである。戦力保持を認める改憲の一体どこがいけないのか。私は、いく度となく9条改正の議論に臨んだが、護憲派のほとんどは「なんとなく戦争がいやだから」というもので、残りが偏向した左翼である。前者については、誤解さえ解ければ改憲を否定するものは実はそういるものではないというのが私の実直な感想である。後者は、説得不可能である。対話の扉は初めから開いていない。
具体的に戦力保持が認められれば、自衛隊に対地ミサイルが装備可能になる。MDなどという空中の針を針で落とすような神業の何十倍も効果があるMDである。万が一北朝鮮が日本人および日本領土に指一本触れようものなら、平壌を地上から消滅させてしまえばいい。有無も言わさず全弾発射の意思を示して初めて国防は可能になる。現在のイギリスもロシアの核に対し、これ以上の体制になっている。英米はロシアの核に対し、核を一挙に打つ体制が冷戦後もしっかりと継続しているのだ。国民の「生命」を守るために国家はどこだって必死である。
日本からの侵略など、もはやあり得ない。なぜ日本だけそんなことになるのか。ここに目を付けた米国は日本にMD費用を肩代わりさせた。どこに配備するのかといえば、米国本土ではなくイスラエル配備用に決まっている。
本書では、もっと平易に改憲について説明されている。そして、国民投票法案が2時間と掛からず理解できる。その後、本当に今の憲法を守ることが命を守ることになるのか、勉強してみるのもいいと思う。それでも改憲論が誤りと思うなら、きっとそれが日本の採るべき道であり、正しいのかもしれないと思うのである。要は、もっと知ることがやっぱり必要なのだ。護憲改憲いずれにも騙されないためにである。