投稿元:
レビューを見る
『下山の思想』(五木寛之、幻冬社)がベストセラーになり、日本は下り坂に入り、もはや成長はのぞめない、という論調が強くなってきています。
しかし、こうした風潮に対して、著者ははっきりと、こう言い切ります。
「下山するなら自力で下りろ!若い世代に負担を掛けるな!」
「30代よ、立ち上がれ! 団塊世代よ、品格を見せてみろ!」
「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいます。
このままでは日本経済の活力が完全に失われる!
本書では、高齢化社会のための負担増を真っ向から否定。「おカネがある世代は、自力で生き抜く」ことを前提に、年金、医療問題のシンプルな解決策を提案。働き盛り世代のモチベーションが上がるアイデア満載の経済オピニオン書です。
<POINT>
●今日の日本社会に大きな変革を求めるような、深刻な対立軸は世代間対立である。
●たとえば子育て貧困家庭における所得再分配後の所得は再分配前を下回っている。
●上の世代へいくほど、再分配後の所得増加幅が大きくなっている。
●日本の個人金融資産1500兆円の大半を60代以上の人々が持っている。
●日本では、資産も所得もない若い世代から巻き上げて、資産も所得もある上の世代に配っている。
●税と社会保障の問題も、財政悪化の問題も、規制改革を阻んできた既得権構造の問題も、若年層失業と格差の問題も、最後は世代間の収奪構造の問題に行き着く。
●この仕組みの中で、若い世代が収奪側である親の世代に寄生し、草食化して内向きになるのは、きわめて自然な成り行きである。
●民主政治の下では、いまのところ既得権を持っている上の世代が多数派であり、世代間収奪の仕組みを民主的政治プロセスで根本的に転換することは難しい。これは民主政が歴史上、初めて直面すると言ってもいい深刻なジレンマである。
●この問題構造において、世界の最先端を走る日本にこそ、解決モデルを世界に提示する使命があり、それが日本再生に向けて残された最後にして最大のチャンスでもある。
●その主役となるべき世代は、従来の仕組みでは絶対に負け組となる世代の先頭を走っている30代の人々だ。
●30代の親の世代にあたる団塊の世代のスタンスが問われる。民主政治の多数派である上の世代も、世代としての品格を見せなければならない。
●この世代が、子どもたち、未来の日本人(「悠久の日本国民」)に対して責任を果たすべきである。
●この世代が、自分たちの既得権を粛々と放棄する決断をしたとき、日本は先進民主主義国の中で初めて、世代間収奪のジレンマからの脱却に成功する。
冨山氏は本書について、「1960年生まれの狭間の世代の人間として、この二つの世代に対して問題提起をし、挑戦をし、さらには決起を促すことを意図している」「そのために、あえて、��なり過激な解決策やきわどい覇権奪取の方法論を提示している」と述べておられます。ともかくも、30代ビジネスマンの方にぜひ、読んでいただきたい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
産業再生機構でカネボウやダイエーの経営再建に携わった冨山和彦さんの本。タイトルのとおり、近いタイミングで重大な局面を迎えるであろう日本経済に対して、今の30代がイニシアティブを持って社会変革を起こすべしという指南の書となっている。
物心がついた頃にバブル崩壊、就職は氷河期に突入し、非正規雇用と正規雇用の格差の問題、正規雇用でもワーキングプア続出と、まったく報われない時代を突き進むフロントランナーである30代。消費税増税、年金負担額増額、医療費の拡大といった高齢化社会の課題に対して、今こそ声を挙げるべきであろう。
日本の課題とは、脱原発でもTPPでもなく、統治構造である。先送り、短期視点での意思決定が繰り返される今の社会における決裁権を、60代以上から30代以下にひっくり返さなければ、将来世代のための施策はことごとくできなくなってしまう。
我々のすべきことは、革命であろう。
投稿元:
レビューを見る
冨山さんの最新作。日本の問題を「世代間格差」として捉えて、若者がどのようにこの問題を解決していくべきかを具体的に論じている。普段からずっと思っていた世代間格差について、自分が考えきた以上に、深く分析しており、興味深い。30代以下の人はみんな読んだ方が良いと思う。
投稿元:
レビューを見る
「すべては未来の子供達のためにあなたが何ができるか」
これが富山さんが本書で指摘していることの根本の思想です。
本書の中で、団塊世代に代表される既得権益者にとっては到底受け入れられるものではないような提案が次々提示されています。
年金は掛け捨て型にする、大学は一部を除いて職業訓練校に特化する、解雇規制・定年制・年功性の3点セットの同時実施などがそれです。
ですが冒頭で述べた思想があると、既得権益VS非既得権益のような二項対立は避けられますし、得られる利益も大きいはずです。
これからは30代以下の人々が、革命の主導権を握っていくべきです。そのために自分にできることを一つでも見つけ、行動に移して行きたいと思う。
投稿元:
レビューを見る
日本の抱える世代間格差の問題について様々な提言をしている。効果的な施策が述べられていると思うが、それを政治が実現出来るかについては懐疑的にならざるを得ない。
改革者となる30代はずる賢さも身につけて行かなければならない。
投稿元:
レビューを見る
60代以上には品格を。
我々30代に気概を求めたいということ。
選挙権の格差是正の話がいつも槍玉にあがるが、本質論でいえば、世代間是正を行うべきではないか。
相変わらず、政治家はまとまった票を見込める農村部のご老人に偏った選挙活動を繰り広げる。
いい加減、こうした旧態依然としたやり方、考え方から決別しないと落ちていく一方・・。
さで、自分はどのように行動していくか?
投稿元:
レビューを見る
企業再生に携わる、冨山和彦さんならではのリアリスティックな描き方で、軽快に読むことができる。
我が国は「先進衰退国」とも呼ばれているが、世界に先駆けて人口ピラミッドが歪になり、世界に対して新しい社会像を示す責務がある。
自分の世代がこの国を担っているという意識を、もっと強く持つ必要があると考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
既得権に対してどうしていくか、政策や実現方法について簡単に述べられている。新書だが少し厚みもありボリュームがあった。タイトルがうさんんくさいが要は30代という一番経験と能力の総合値が高い世代がいかに活躍できる体制をつくるか考えられている。けっして批判に徹することなくリアリズムを追求している点に好感が持てた。読むべき本だと思います・・・。
投稿元:
レビューを見る
本書冒頭の概論はとても合理的な考え方で共感できる。
かなり突っ込んだ話まで出てくるが、根本からひっくり返して制度設計をし直さないと日本は持たないので、これからの政策は、「将来世代にとって価値のあるモノ・コト」を第一に考えるべき。
そのためには、団塊世代・高齢者の方々に率先して品位ある行動をとっていただく必要がある。(そう仕向けていく必要がある)
投稿元:
レビューを見る
■経済
1.30代以下の働き盛りの世代の活力を甦らせるには、今の社会で多くを占める60代以上の世代の中でも多数派をなす団塊の世代が、自らの既得権を手放すしかない。具体的には、次のような改革を支持する必要がある。
a.公的年金は、所得や資産がない人にだけ給付する。
b.消費税率を上げ、社会保障体系の大改革を行い、集めた税金の給付先を若年層に転換する。
c.定年制を廃止し、解雇規制を緩和し、企業が人を雇うときに躊躇しなようにさせる。
投稿元:
レビューを見る
30代の自分が電車の中で読むにはちょっと恥ずかしいタイトルなのですが、中身はよかった。世代間の格差を切り口に、日本の様々な問題をとりあげています。著者の主張する解決策が激しくて、そこも面白い。
投稿元:
レビューを見る
自分は今41歳。将来展望について考えさせられる...。
以下、備忘録的にまとめ。
現在の公的な年金制度や医療保険制度は、高齢者1人を若い世代2,3人で支える構造になっている。このままでは、若い世代の負担が大きすぎて、彼らの活力を奪ってしまう。
30代以下の働き盛り世代の活力を甦らせるには、今の社会で多くを占める60代以上の世代の中でも多数派を占める団塊の世代が、自らの既得権を手放すしかない。
具体的には・・・
・公的年金は、所得や資産のない人だけに給付する、いわば「掛け捨て保険」の形にする。現行の公的年金制度については、これまで払い込んできた金額に一定の金利を上乗せして全員に返し、いったん全て解散する。
・将来世代からの借金に頼る財政を改善させるため、消費税率をあげる。ただし、これは消費が減る上の世代より若い世代の方が負担増になる。したがって、消費税率を上げる場合は、同時に高齢者向け社会保障体系の大改革を行なうとともに、集めた税金の給付先を上の世代から若年層に転換する。
・定年制を廃止し、働く意思と能力がある限り、いつまでも働けるようにする。その一方で解雇制度を緩和し、正当な自由があるときは自由に解雇できるようにする。そうすれば、企業は人を雇うときに躊躇しない。
30代以下が搾取される構造は社会システムとなっており、大きな社会的ショック、いわば「革命」がおきない限り覆らない。この革命が訪れる時期としては、社会状況がさらに悪化する5年後くらいが、ひとつの分水嶺になる。
投稿元:
レビューを見る
題名に惹かれてかってしまった。一読はしたほうがいいかな~
PHP公式より以下抜粋。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
『下山の思想』(五木寛之、幻冬社)がベストセラーになり、日本は下り坂に入り、もはや成長はのぞめない、という論調が強くなってきています。
しかし、こうした風潮に対して、著者ははっきりと、こう言い切ります。
「下山するなら自力で下りろ!若い世代に負担を掛けるな!」
「30代よ、立ち上がれ! 団塊世代よ、品格を見せてみろ!」
「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいます。
冨山氏は本書について、「1960年生まれの狭間の世代の人間として、この二つの世代に対して問題提起をし、挑戦をし、さらには決起を促すことを意図している」「そのために、あえて、かなり過激な解決策やきわどい覇権奪取の方法論を提示している」と述べておられます。ともかくも、30代ビジネスマンの方にぜひ、読んでいただきたい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
金を持つ高齢者が金のない若者から搾取収奪する歪な社会構造が日本を蝕む。マジョリティを前にマイノリティはただ沈黙するだけなのか。これからの日本背負っていくロスジェネ世代へ期待をこめて叱咤激励する。悪い結果を恐れて弥縫策で誤魔化し続けることではなく正々堂々と真正面から勝負に出よと説く。滞っている社会の富を活性化させるための処方箋として、社会保障制度、税制、人材育成、経済成長戦略など、幅広い分野にわたって提言がなされている。実現に向けての課題は多いが問題提起のみにとどまっていないのが潔い。得心させられる点は多く傾聴するに値する。
投稿元:
レビューを見る
将来世代のために現世を生きる私たち全員が犠牲になること、短期的利益や過去へのノスタルジーを捨て去ること。
子どものためなら、我慢できる。その対象が、“自分の”子、という限定を、どれだけ外せるか、のように思います。