「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.5
- 出版社: 平凡社
- サイズ:22cm/383p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-582-65204-2
- 国内送料無料
紙の本
フラ・アンジェリコ神秘神学と絵画表現
著者 G.ディディ=ユベルマン (著),寺田 光徳 (訳),平岡 洋子 (訳)
跳ねる顔料、散乱する色斑。フィレンツェ、サン・マルコ修道院に遺された異形の「作品」は何を語りかけるのか。異質なものの遭遇の中に孕まれた形象の痕跡を手掛かりに、未踏の視覚世...
フラ・アンジェリコ神秘神学と絵画表現
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
跳ねる顔料、散乱する色斑。フィレンツェ、サン・マルコ修道院に遺された異形の「作品」は何を語りかけるのか。異質なものの遭遇の中に孕まれた形象の痕跡を手掛かりに、未踏の視覚世界の深奥を開示する野心的論考。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
G.ディディ=ユベルマン
- 略歴
- 〈ディディ=ユベルマン〉1953年フランス生まれ。美術史家、批評家、パリの社会科学高等研究院助教授。著書に「アウラ・ヒステリカ」「ジャコメッティキューブと顔」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
国際的に著名なフランスの美術史家によるフラ・アンジェリコの作品の独創的な記号論的・神学的解読。
2001/07/26 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宇波彰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の著者ディディ=ユベルマンは、現代フランスの代表的な美術批評家で、すでにそのジャコメッティ論などの邦訳によってわが国にもよく知られている。数年前に刊行した『聖ゲオルギウスとドラゴン』は、古くからイコンのテーマとして、またルネッサンス以降、繰り返して美術作品の題材とされてきた「聖ゲオルギウスとドラゴン」の意味を論じた異色作であり、また最近はベンヤミンの仕事の再検討も行っている。
さて、今回訳出された『フラ・アンジェリコ』は、フィレンツェのサン・マルコ修道院の回廊にある「影の聖母」を中心とするフラ・アンジェリコの作品についてのきわめて独創的な論考である。ディディ=ユベルマンは本書の冒頭で、次のように書いている。「この本は、ひとつの驚きから生まれた。それはある日、フィレンツェのサン・マルコ修道院の回廊で、1400年代に描かれた二、三の不思議なものを発見したときの驚きであった。」それは今まで美術史家たちがまったく見過ごしてきたもの、つまり「さまざまな色をした太い帯状の斑点」である。「影の聖母」の下部の半分に描かれているこの斑点状のものは、「模倣のための絵画ではなく、純粋な絵画」として現前してくる。
そこに描かれているものは、実在する対象を「模倣」したものではない。それは「表現できないもの」である。表現できないものを表現するときに「崇高」が見えてくるというのが、最近邦訳された『崇高なるプッサン』(みすず書房)の著者ルイ・マランの考えであったが、ディディ=ユベルマンもフラ・アンジェリコの作品の中に、形としては表現できない神的なものを認める。フラ・アンジェリコには15点の「受胎告知」があるといわれているが、その一つについて著者は次のように書いている。「私たちはこの図像には極端に押し進められた光の充満のみを認めたい気になり、物語全体がまるで神の恩寵の閃きをひけらかすためにだけ語られているかのように見える。」
著者は、表現できないものを描くフラ・アンジェリコのもろもろの作品の解読のために、中世・ルネッサンスの神学の思想を子細に検討し、それを作品と照らし合わせて行くという方法を採った。著者の「驚き」から始まる本書は、「驚き」をもってでなければ読み終わることがないであろう。 (bk1ブックナビゲーター:宇波彰/札幌大学教授 2001.07.27)