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紙の本
私は若者が嫌いだ! (ベスト新書)
著者 香山 リカ (著)
すぐ音を上げて逃げる若者。大人に甘えすぎる若者。簡単に傷つきすぎる若者…。自己責任か、社会の犠牲者か? かつて若者たちの代弁者と言われた著者が、弱くて甘い現代の若者たちを...
私は若者が嫌いだ! (ベスト新書)
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商品説明
すぐ音を上げて逃げる若者。大人に甘えすぎる若者。簡単に傷つきすぎる若者…。自己責任か、社会の犠牲者か? かつて若者たちの代弁者と言われた著者が、弱くて甘い現代の若者たちを徹底批判!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
香山 リカ
- 略歴
- 〈香山リカ〉1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか幅広いジャンルで活躍。著書に「親子という病」など。
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紙の本
正しく怒れない人々に
2009/02/02 17:44
10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:A-1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の題名を見た時には、「えっ?あの優しいお姉さん然とした、聡明なあの香山リカさんがそんなことを言うなんて、何があったの?」と思ったものだ。
「若者が嫌いだ」というのは「最近の若い者は…」という説教めいたつぶやきを漏らす理解のない石頭ものであるイメージがあったから…。
しかし、ざっと読み終えて、そうではないのだと思えた。
かねてから、首を傾げてしまうようなコメントを垂れ流しする報道番組や、ネットにはびこる勉強不足と無知の無知をさらけ出し、その不幸な連鎖をも生む思い違いを正してもらえない、何も判らないでいる若者(だけではないが…)には、同情にも似たもどかしさを感じていた。
そんな私の感じていた思いと重なる内容もあり、
つまり、この題名は総じて、『年長である者たちはそれに苦言を掲げるべきなのだ。』と、言いたいのではないか?と、これは若者に向けた批判というものに終始するものではなく、『正しく怒れない人達へ異議申し立て』がしたかったのではないのか?と思えた。
私がそう思っていたからそう受け取ってしまったのかも知れないけれど…(^^;
実際に目次だけを見れば、
プロローグ 私はこんな若者が嫌いだ
第1章 経済格差が生んだ若者の弱さ
第2章 教育格差が生んだ若者の弱さ
第3章 弱い若者を襲う新型うつ病
第4章 「誰でもよかった」殺人と気遣い型の親殺し
第5章 ネット社会で増幅される若者たちの弱さと甘さ
第6章 若者はなぜ想像力を失ったのか
エピローグ なぜ私は若者が嫌いになったのか
と、紋切り型の突き放したもののように見えるが、内容は近代に現れる現象の認識と、その打開策を知らない若者への憐憫が伺える。
自己啓発本にも普遍に書かれていることではあるけれど、生き物には、そして人間にも適応能力というものがあって、自分で根を下ろした場所から動けない植物などが生きる術として行う活動で知られるように、その環境で生き抜くには有効ではあるけれど、打開するためには障害にもなるもの、反復という学びで、一度間違って条件付けてしまったものからは、それしか道がないように錯覚し、自分ではなかなか抜け出せない、しかし、そこから抜け出すのもやはり誰かによってではなく、自らにしか出来ない。
しかし、それには助言やきっかけも必要だ。
たとえば、会社でやっかいな上司や顧客と適応することに終始するあまり、そのストレスを本来は愛し愛されるべき家族に向け、本当は手をさしのべて貰わなければならないものなのに、それを拗ねてはね除けることでただ自分を追い込んでしまう。そんな最悪の状況を本当に打開するには、そこから障害をどかせるか、逃げるしかない。
しかし、そのタイミングを見誤ってはいけない。
早すぎれば何も学べず、「逃げるばかりの自分」と「自己評価の下方修正」さえも学習してしまう。
ヒロイズムに酔って差し伸べる手をを振り払うことと、自分の限界を過小評価し続けた結果、根無し草のようになってしまうことは同じように哀しいほど愚かなことだ。
そして、それを「自己責任」と判じるのも同じく。
この著者は、「その人の個人の責任だ」とは言わない。
その立場にもない。
その問題は『責められるべきはそれを説くことを忘れた、または放棄した、もしくは諦めた、もっと広げるなら何を恥ずかしいと思っているのか不明な大人達なのだ』にもあるのではないか?と、言外に言っている様に思える。
(多少私の思考が混ざりこんでいますが…)
また、若者を表して、「新人類」だとか「超新人類」だとか若者のことを言う言葉があるようだが、(最近はあまり聞かなくなったが…)しかし、進化する私たち人類に新人類は常に新しく現れるものだ(笑)
多様性と試作によって生物は進化と生き残りを探っている。
そこに事前に判る正解は無い。
しかし、その是非を考え、説いて導き、少しでも多くの道を残すために働くべきなのは、昔から経験と世知を持った年長者の役割だった筈だ。
柔軟な若者の意見に耳を塞ぐことは良策とは言えないが、中途半端に聞きすぎて一緒に迷っていては埒があかない。
人は一人では生きられず、誰かと話し合い、誰かに頼ってみることで、まわりはじめるものがあるのだと、古い書物にもある。
そして、そこに打開策があるのではないのだろうか?
たとえば、マスコミ情報の氾濫は、感じやすい人たちの病巣の一端を担っている。
しかし、マスコミが全ての元凶ではないし、情報は必要だ。
マスコミに全く非がないとは言い切れないが、それに振り回され自分の思考のように思っていることに、一つ立ち止まって、何が正しいのか?自分はどう考えるのだろうか?と、考え直してみることも必要ではないか。
そんな内容であるように思う。
やはり、彼女は若者を理解しようとする精神科医なのだ。
大人は大人として生まれてくるのではなく、子供が、そして若者が大人になるのだ。
何にも影響されず大人になることはない。
それらが形作る社会もしかりだ。
だから、私たちは次代を担うために手を差し伸べなければならない。
彼女は絶望する若者に手を差し伸べる人だ。
良薬は口に苦い。
紙の本
ショッキングなタイトルだが。
2009/01/01 03:25
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「香山リカ」という名前は聞いたことがあったし、だいたいどういう関係の人なのかは前々から知っていたが、実際に著作を読んだのはこの本が初めてだ。
タイトルは、「私は若者が嫌いだ」であり、しかも帯には「もう、弱くて甘い若者は擁護しません。戦闘宣言!」という、ショッキングな言葉が並んでいる。
だが、実際内容を読み進めていくと、タイトルほどではない。
タイトルは広告だと思っていいだろう。
若者(この本で対象となっているのは、場合によるが、おそらく10代から30代までとおもわれる)の問題点、特に精神的な弱さについて、その原因を経済、教育、ネットというような視点から述べている。
いわゆる「三年で辞める若者たち」が読むといいのではないかと思う。
強く思う。
もちろんこの本を読んだからといって、問題が解決するわけではないだろうが。
読んでいて、序盤論点がずれたような感があり、何が言いたいのか見失うところが少々あったが、全体として非常に読みやすかった。
そして何よりも、著書内の記述で自分に当てはまるところが多々あり、まるで槍衾に刺されているような気持ちに読書中何度もなった。
もちろん、すべてが当てはまったわけではないが。
例えば、著作内で述べられているリストカットについて、私はリストカットをしたことも、しようと思ったことも一回もない。
だが、全体として当てはまるところがとても多い。
「シュガー社員」の下りについては溜飲を下げて次の行を読むというくらい、自分に当てはまる点が多く、しかもそれが的を射ていて心をえぐるので、読んでいて若干苦痛を感じることもあった。
それだけに、読むことから逃げられないということになるわけだが。
結局香山氏は、多面的に若者の「キレる」とか、「うつ病」とか「心の弱さ」を分析しているのだが、一通り分析を終えて、それで終わりである。
じゃあどうしたらいいのかという回答は全くといっていいほど与えられていない。
おそらく、本書の中で表現で言うところの「お客様感覚」で、手取り足取り、じゃあこうしましょうね、こうするといいですよ、という回答を与えるのは、香山氏の本意ではなかったのではないかと勝手に考えてみたりする。
今時の若者に対して、問題点を言うだけ言っておいて、その解決策を何も記さないというのは一見無責任のように見えるが、この本のコンセプトでは回答を与えない、すなわち自分で考えなさい。というスタンスの方が、初志を貫徹しているような気がする。
☆を4にした理由は、先述の通り、若干内容にブレがあって読みにくい箇所があったかなと感じた点と、香山氏のバイアスがか強くかかってるのではないかという意見がところどころあったため-1とした。