紙の本
他の本にない新鮮な内容がふくまれている
2012/04/24 21:42
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
17 人のひとがみた,それぞれの東日本大震災について書いている. そのなかには津波におそわれた直後の凄惨な現場の様子もある. 遺体にかぶせられたブルーシートをはずして写真をとるカメラマンもえがかれている. 震災関連のニュースを見聞きし,本も相当数読んできたが,この本のなかにはまだそのなかになかったことがいろいろとえがかれている.
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・あの日のあの瞬間をどう迎えたか
・その後に何を感じ、どう行動したか
という2段階構成で、各人の文章を読み比べられる。先頭と中ほどに編者の茂木さんによる文章が提示され、その周囲に、作家、演奏家、学者、ジャーナリスト、歌人など職業はいろいろながら、あの日以降が等身大で描かれている。
「書ける」という状況そのものが一種の幸運であることは確かで、横浜で揺れを体験した自分がこれを読めるというのも幸運だ。そういう意味で、著者達との近い距離感を持って読めた気がする。
何らかの事情や理由で被災地へ赴いた人の文章には「現実」という言葉がよく出てきているように感じた。そうしていない人の文章では「無力」がそれだ。意外と「不安」は少なかった。
前者の場合、想像もしなかった現実が目の前にあり、これまでの自分の日常が非現実的に思えるほどだった、ということだろう。後者は、辛い、悲しい、悔しい、けれど‥の後に続く気持ちとして必然に出てくる。「不安」が少ないのは、自分に関わる問題として震災と向き合っているからだろうと思う。逆に巷間では、実体験していない人ほど「不安」を口にしていると感じる。
珠玉、という単語はこういう文章にはふさわしくないかもしれないが、個人的な珠玉はサンドウィッチマン2人の談話文だ。足下の地震と目の前の津波を実体験した生々しさが伝わってくる。同じ場所で同じことを体験したからか、そのときの心象や擬態語の表現がほとんど一致している。
一部の人の文章は2段組みになっていて、結果的に読み続けさせる工夫になっているように思う。無事にこれらの文章を読むことができる幸運に感謝しながら、読んで感じたことを大事にしていきたい。
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タレント、作家、フリーライター。
様々な人々が語る自らの3.11。そしてこれから、何ができるか。
「がんばろう」
「一つになろう」
簡単に言えるし、自分もそれに乗っかってきたけれど、
そんな言葉じゃ括りきれない事実、悲しみもあって、僕らに出来る事など限られている。
それでも、それも、そんなすべてを肯定して、ひっくるめて、
僕らは1歩踏み出すしかない。
気持ちを新たにさせられる1冊。
本当に読んでよかった。
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こちらのサイトでのプレゼントに応募し、いただきました。
ありがとうございます。
この本を読んで、今回の地震を経験して自分がどう感じ、何を思ったか改めて考えました。
地震の瞬間、私は都下にある研究所の研究室にいました。幸い実験の最中ではなかったので、揺れが大きくなってすぐ建物の外に避難しました。震度は5弱で、建物や実験器具などはほとんど被害を受けていませんでしたし、揺れに対してパニックになるほどの恐怖はありませんでしたが、長い間地面がゆーっくりと揺れている感じは、生まれて初めての感覚で気持ち悪かったのが印象的です。
やや大きい揺れが何度かあり、そのたびに外へ飛び出しました。休憩部屋でみんなでテレビを囲み、東北での津波の映像や都内で交通機能がマヒして人々が右往左往している映像を見て、想像してた以上の事態に今までにない危機感を感じました。
私は阪神大震災を経験しています。
震源に近い明石市にいて、おそらく震度6か7でした。とはいうものの、まだ当時私は小学生だったので親に守られていました。
今回は地震の瞬間こそ研究室にて知り合いに囲まれていたけれど、家に帰ればひとりです。何があっても自分で何とかしなければいけない、という状況は私にとって地震の瞬間よりもずっと恐怖でした。
東北での地震だけならまだしも、新潟、静岡での震度6強の地震、原発の爆発。もうあの時は色々起こりすぎて、いつ何が起こったのかあまりよく覚えていません。
地震の2,3日後、父親は「一度こっち(関西)に帰ってきたら」と言いました。
でも私は実験があるからと断りました。
「実験も大事だけど、何が一番大事か、よく考えなさいよ」と言われました。
が、悩んだ末、帰りませんでした。
私事ですが、この春博士課程へ進学しました。地震当時の3月、卒業を目前にして、友人のほとんどが就職する中、自らの意思で選んだものの進学という道に正直、不安を感じていました。
こんな時、帰らずに実験を続けるという選択をしたことを思い返して、進学の道を選んだのは間違ってなかった、と今思います。
都合のいい言い方をすれば、「地震によって進学に対する迷い、不安が吹っ切れた」ような気がします。
なので、自信をもって今の研究を続けようと決めました。
この感想を書いてる今、テレビでは朝まで生討論で原発について熱い議論が交わされています。
日々のニュースを見ていると海水注入が中断した、しない、誰が言った、言わない、とかで与野党が色々争ってますが、ピントがずれている気がしてむずがゆいです。
もう少し、一貫性、誠実性がほしいです。コントじゃないんだから。子供の喧嘩じゃないんだから。
もっと被災者の方々に目を向けてほしいと思います。
私は、微力ながら節電に努め、学生の身ではありますがなるべく震災以前と変わらない消費活動をしようと思います。
なんだか自己満な内容になってしまったかな…??
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沢山の著名人による大震災の時の状況が語られている一冊である。
私達に求められているのは、何かを共有する心であると。
そのようなことを考えさせられる内容になっています。
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茂木健一郎。
高橋源一郎。
表紙にこの御二方の名前を見つけての購入。
「生きるということは、つまり、簡単には見通せない未来に向き合うこと。生きる上では、どうなるかわからないという『不確実性』が避けられない。規則やルールは頼りにならない。信じるに足るのは、自分自身の中にある『プリンシプル』。そんな当たり前の事実を私たちはこの震災で学んだのではないか。」
「私たちが本当に寄りそうべきは、出所がよくわからない希望ではなく、出所があまりにもはっきりしている絶望ではないのか。」
どんなプリンシプルを胸に、どんな絶望に寄りそうのか、それが生きるということなんだろう。
そう、私は解釈した。
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あの日は普通に仕事をしていた。職場はネットが見えなく情報が入って来なかった為、仕事から家に帰って初めて、あの日が非日常であることを知った。
この本を読み、日常というものはいつでも、非日常になりうることを改めて感じた。
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テレビで茂木氏が「これで日本は変われなかったら被害に遭われた方々に申し訳ない」と語っていました。1人1人が今回の震災に真摯に向き合わないといけないというメッセージをこの本から受け取りました。
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3月11日。あの日あの瞬間、あなたは何をしていただろうか。この本は同じ大震災が起こった軸を共有するという意味で、職業もその時いた場所も全く異なる人間が各々の想い・体験談を語るというスタンスのエッセイ集である。その場所、それぞれの立場、そして自分の役割は何であるのか。一人ひとりのエピソードの中に、様々な角度からの“3.11大震災”がある事を知る。
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著名な方々も、それぞれに日常があり、同じ経験をしたんだという当たり前のことを実感。
実際に目のあたりにした人や、専門家・研究者の言葉は、胸に響き、知り得なかった事実を教えてくれました。
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さまざまな立場の人がさまざまな場所で体験した「3.11」が書かれています。誰もが、自分の無力さというか、できることの限界を感じていました。それでも前を向いて進もうという意志が感じられました。
「日常」「当たり前のこと」と思っていたものが「日常」「当たり前のこと」でなくなった現在、私たちが何を考え、将来に向けてどのような日々を積み重ねていくかが問われていると思います。(直接の本の感想ではありませんが……)
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3.11後、東日本大震災について書かれた本で、今まで読んだ中で一番良かった。
へたなお涙頂戴のこれでもかと云う話より、実際に現地で震災に遭った芸人サンドウィッチや、震災後現地に赴きメディアのあまりの人間味を外れた取材活動を辛辣に書いたノンフィクション作家の石井光太。
共に実際に出会った人にしか書けない迫力があった。
その他にも、3.11時にどのようにその時を迎えたのかを、個々に自分の体験したことを元に書いてあり、興味深く読めた。
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著名人たちの東日本大震災。
色んな人の書いたものを読むとその人との距離で自分がどこに立っているかを確認できる。
書いた人たちはみんな非当事者(被災した住人じゃない)。
被災地の出身者もジャーナリストも阪神で被災した人も学者もニュースを見て衝撃を受けた人もいる。
かかわりかたは様々だけど、ほとんどの人が自分の立場をわきまえて言葉を紡いでいる。
震災を知っているけれど誰も失っていない自分に声をかける資格があるのだろうかと悩むとか、今はまだ笑わせる場合じゃない、そんなことより物理的に助けないと、とか。
今回の被災者に近い経験がある人のほうが、自分が被災者じゃないってことを理解しているように思う。
だから、そうじゃない人が目に付く。
同じ日本に住んでるだけで被災者と同化してしまえる言葉が浮く。
他人事の悲壮感や大袈裟な言葉(いままでにない出来事、とか。阪神のときなにやってたの?)が空回りする。
茂木健一郎のドラマチックに浮き足立った言葉あたりは不快だった。
全体としては優れたこの本がこの人の編集でできあがったのが不思議だ。
石井光太が憂う「温度差」や、サンドウィッチマンが恐れる忘却が、この本の中にさえすでに見える。
「その日」を語る第一部と「これから」を考える第二部の間にも温度差はある。
でもそういう上っ面だけの盛り上がりみたいなのは2~3人で、ほとんどが自分の立場から自分の経験に基づいて自分の考えを自分の言葉で真摯に語っている。
だから、同じじゃないんだってことを再確認できた。
同じにはなれないから、違う場所で、違う立場で、つながろうとしてる。
良かった:
石井光太 伊達みきお 富澤たけし 加藤千恵 浅野智哉 雨宮処凛 京田光広 渡辺満久 上杉隆
執筆陣じゃないけど藤原新也
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16人の方々がそれぞれの立場から、東日本大震災のあった3月11日に何を経験し何を感じたかを書いています。
はっきり言えば、共感しづらい意見を綴っている方もいます。しかし色々な立場の人がいて色々な考えを持つ人がいる、ということを本書で改めて知ることができます。
正義感というものは危ういもので、自己の正義感は日常の価値観の類とは別もので、必要以上に美化されやすく、それ故にその正義感に合わないものを悪と「決め付けがち」になると私は感じています(私だけかも知れませんが・・)。だからこそ色々な形の正義感があると知ることができることに本書の価値があると思います。
本書の中で、茂木健一郎さんが、「生きる上での原理原則。何を大切にして、日々を重ねていけばよいのか」と問いています。
私が大切にしたいもの。それは・・・
これからの国を支え、そして大人をも支えてくれる子供の笑顔。
自分の基準となるものを思い出させてくれました。
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図書館にも3.11関連の本が並ぶくらい日が経ったのだなぁ…というのが第一印象。
まえがきでまず泣き(T_T)
いろんな人が、いろんな場所で、いろんな立場で震災を経験したんだ。と。
直接、津波の被害に遭わなかった自分にとっても大きな経験だった。
そう思って良いんだ…と。
「もっと大変な人がいる」そう、自分に言い聞かせ、蓋をしてきた自分を再確認。
大変だったね。頑張ったね。と、自分に素直に言ってあげたくなった。