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米国流ビジネススクールに批判的な経営学の泰斗・ミンツバーグが正しい経営人材育成の方法をまとめた意欲作。日本ではMBAブーム真っ盛りだが、新卒でビジネススクールに入ってくる若者に数値管理やテックニックだけを教えるMBA教育は、時代遅れと一刀両断。マネジメント教育は、現場で実践を積んだ人材を再教育する場にすべきだと強調し、企業人向けの新しいMBA教育プログラムの構築を急げと提案する。ビジネススクールの実態や歴史も概説しており、人材育成・人事担当者からMBAに関心があるビジネスマン、MBAを恐れる人までに必読のMBA解体の書。
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MBAを肯定的に捉え、さまざまなスキルを紹介している著書は多くあります。しかし、本書は、「マネジメント教育もマネジメントも深刻な問題を抱えている」という考えの下、
全体を通してMBA批判を展開しています。前半については現代のマネジメントについて総合的に書かれており、MBAについての書籍としてではなく、経営者を目指す方にとっても良書であると思います。後半については私自身がMBAに魅力を感じており、肯定的に考えているせいか、どうしても『IMPM』の宣伝のような構成になってしまっているように感じました。ただ、最近では、MBAに対して批判的に書かれた書籍は少なく、特に、MBAを肯定的に捉えている方には新たな視点を与えてくれるという意味で一読の価値があるのではないでしょうか。
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これは、是非人事担当者に読んでもらいたい本です。「サイエンス」重視の分析型マネージャーがはびこっている弊害を日々感じます。
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この邦訳版タイトルはちょっと狙い過ぎでは?
マネジメントは"Art"、"Science"、"Craft"のバランスが肝要で、
いずれに偏ってもよくなく、バランスが取れ過ぎていて重心が中央に
あっても、無個性となってよくない、という分析が面白かった。
そして、MBAホルダーの中で、Science偏重の人が会社のトップに
なって、現場を理解しようともせずに魔法の杖を振りかざすがごとく
振舞うのは良くないということが主に述べられていたと思う。
必ずしも、MBA取得者が軒並み会社を滅ぼす訳じゃね・・・
後半は、新しい取り組みについての紹介がなされている。
それにしても、全体的に冗長な気が。。。
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これまでの米MBA教育によって起こった、教育プロセス、マネジメント実務、既存の組織、社会制度の「腐敗」について記述されている。実務を知らない学生が、MBA教育(特にケーススタディ教育)によって分析志向、個人主義に偏重し、突然経営の中枢に配属される事による弊害ががつらつらと書かれている。企業や大学の問題はあるとしても、学生としては、MBA教育をどのように自分の中で定義するかによって正負ともに自らへの影響度は変わってくると考える。
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刺激的なタイトルだが、中身は非常に真っ当。
MBAを取って天狗になって理論だけ振りかざしてもダメで、確りと現場のグリップを強めないといけないんですよ、ということ。
邦題が悪い。
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今強化する必要があるのは、個人の学習と組織の学習の結びつきである。
そのためには、企業文化の大きな変化が欠かせない。それを成し遂げなければ、IMPMを通じた個人レベルの充実した学習から恩恵を受けることはできない。(Page.454)
すべての変化は、はじめのうち不可能に見える。しかし、いったんその変化を成し遂げてしまうと、元に戻ることなど不可能に思えてくる。
アラン(哲学者)、P.478
ト、2010.2.2-2.14
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先に結論を言っておくとすごくいい本です。しかし、限りなく諸刃の剣的な取り扱い注意の本。
基本的な論調は、現在のMBAは極めて分析偏重であり、その上個々の業務機能に分化しすぎでありその統合がなされておらず、結果非常に現実離れしたカリキュラムとなっているというもの。百歩譲ってもマネージャーを育てるためのカリキュラムにはなっていない。確かにそのとおり。ケーススタディは本物の実践には程遠いし、経営をするということはさまざまな業務機能をバランスよく統合して行うことであるわけだし。
この統合という言葉、戦略サファリでも出てきたけど、非常に重要なコンセプトだと思うわけです。そのひとつの結実としてIMPMという新たなパラダイムが出てきているわけですな。これはまさにさまざまなマインドセットの統合。そして僕もかねがね主張しているインプットとアウトプットの輪廻。このIMPMの手法の中には、人に物を教えるため、いろいろなことを自ら学んでいくための大事なエッセンスが詰まっていると思うのです。これ自体をやれというつもりはないけど。ああ、でもこれ参加したいな。最初のほうはうちの御大もかなり深く携わっていたみたいだし。
さて、その上でこの本の取り扱い注意たる部分について書いておく。
気をつけるべきなのは日本企業に対する著者の評価の甘さ。甘さというより、若干補正がかかっているというべきか。MBA的な分析偏重の教育手法に対し極めて批判的な態度をとっているために(さらに言うとこういったMBAの姿勢はポーター的な戦略の流派に通ずるものがあるので余計に)その真逆にある日本企業に対する評価が甘くなっている。実際にはアメリカ以上に日本企業は若手マネージャーを千尋の谷に突き落としているわけだし、(ミンツバーグの想像以上に)極端にクラフト重視である。そこに分析的思考が加わりにくいために得てして無秩序型のマネージャーが生まれやすいというのが残念ながら日本のマネージャーの現状である。
余談だけどミンツバ-グが非常に評価していて「戦略サファリ」でも取り上げたホンダのアメリカ進出の事例はすでに30年前の話であり、あの時の責任者なり管理者なりは戦後の混乱を潜り抜け生き抜いてきた人たちであり、そういう人たちと(言い方悪いが)今の団塊のおっさん共ではポテンシャルが違いすぎる。というわけで日本に対するミンツバーグの評価自体はちょっとずれていると思う。
そういうことをわかった上で、しっかりこの本が示す理想のマネージャーのあり方・マネージャー教育のあり方を読み取れたとき、この本は必ず役に立つ。間違いない。教育論の本だが、この本の応用できる範囲はかなり幅広い。
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実践を交えること。MBAはサイエンスに重きを置きすぎている。「環境を変えよ。人間を変えようとするな」との言葉が印象的でした。
【関与型マネジメント】
1.マネジャーに求められるのは、製品開発や顧客サービスに携わる人たちをサポートすることである。
2.有能なリーダーは、ピラミッド型組織のてっぺんに腰掛けているのではなく、ネットワーク型組織のあちこちで活動する。
3.戦略は、ネットワークの中から生まれる。人々あ積極的に参加し、小さな問題を解決することで通じて、大きなことが成し遂げられる。
4.戦略を実行するのは簡単でない。戦略の実行は、戦略の策定と切り離せないからだ。だから、上層部やアウトサイダーが押し付ける不適切な変革案をはねつけるために、献身的なインサイダーの存在が欠かせない。
5.マネジメントの仕事は、スタッフのポジティブなエネルギーを引き出すこと。したがって、マネジメントとは、文脈に根ざした判断をおこない、人々を引っ張り込むことである。
6.組織を改善したことによるご褒美は、組織内のすべての人間に行き渡らなくてはならない。重要なのは、人間的価値。その多くは、数字で計算できない。
7.リーダーシップは、他人に経緯を払うことによって獲得する信頼である。
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「マネージャ育成」についてのリファレンスモデル(参考書)として使える本。
・アプローチ:マネージャ×人材育成×フレームワーク
・特筆点:マネージャの部分はスタッフと読み替えても使える。人事担当者の育成・教育計画策定時に有効。(主に後半部分)
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PART1 MBAなんていらない
第1章 間違った人間
マネジメントは実践である
MBAの入学者選考における「職務経験」
時期が間違っているだけ?
入学者選考の茶番
経営する意思vsビジネスへの情熱
第2章 間違った方法
ビジネス教育の歴史
・ビジネス教育のあけぼの
・アカデミズム重視への回帰
問題だらけのMBA教育
・業務機能が覇権を握った
・マネジメントはどう教えられているのか?
・分析至上主義の横行
・ソフトスキルはどこへ消えた?
ビジネススクールの教育方法
・「現実世界」を追い求めて
・学生がおこなうビジネスゲームの実態
・フィールドワークはそんなに素晴らしいのか?
ハーバード流ケースメソッドの功罪
・ハーバードの授業でやっていること
・ケースメソッドに異議あり
・「ボック報告書」の衝撃
ビジネス教育方法論の収斂
第3章 間違った結果(1)——教育プロセスの腐敗
学生はどう思っているのか?
自信—能力=傲慢
ビジネススクールの無責任商法
ビジネススクールの最大の関心事とは?
第4章 間違った結果(2)——マネジメント実務の腐敗
「現実」世界への跳躍
・教育への投資に見合う就職
・なぜ、MBAがホットなのか?
・コンサルタントと投資銀行家の「花嫁学校」
・MBA学生の人気就職先
・コンサルティング会社にも見離された?
・生産や販売にはノータッチ
マネジメントは迂回
・重役室の傭兵たち
バランスを欠いたマネジメント
・マネジメントに必要な三要素
・MBAのアンバランス
・計算型マネジャーの実態
・ヒーロー型マネジャーの台頭
MBAの成績表
・CEOの座に就くことには成功
・問題はトップでの仕事ぶり
第5章 間違った結果(3)——既存の組織の腐敗
「探検」と「開拓」
マネジメントの2つのカルチャー
MBAが日用消費財産業を好むわけ
起業家として成功しているか?
ハイテク起業家としての存在感
ハイテク企業のCEOに就任するMBA
MBAは新しい時代の「官僚」
第6章 間違った結果(4)——社会制度の腐敗
正統性を欠くリーダーシップ
バランスを欠いた社会
政府も非政府組織もMBAに任せろ?
リーダーシップに関する二つの考え方
第7章 新しいMBA?
MBA教育という支配的デザイン
エグゼクティブMBAの実態
MBAの革命?
教育テクノロジーの変化
国際化の進行
ビジネススクールの本業
世界のビジネス教育
ヨーロッパにおける専門分化
イギリスの新しい取り組み
二つの対照的なプログラム
MBAの「B」と「A」の断絶
PART2 マネジャーを育てる
第8章 企業のマネジャー育成
マネジメント教育とマネジャー育成
ぶっつけ本番
異動させて、助言して、見守る
・計画的人事異動
・メンタリング
・モニタリング
・日本のOJT
マネジャー育成のブッフェ
・娯楽、「教えること」、トレーニング、学習
・カスタマイゼーション
・リーダーシップ・プログラム
・ビジネススクールのプログラム
・新しい取り組み
アクションラーニング
・レバンス流アクションラーニング
・MiLのアプローチ
・GEのワークアウト
・アクションはもう十分?
企業内大学
・企業内大学の未来
日本流とアメリカ流
・マネジメントは「不自然」な行為?
専門分野の枠を越えてマネジャーを育てる
第9章 マネジメント教育の構築
まったく新しいアプローチ
定石1「マネジメント教育の対象は、現役マネジャーに限定すべきである」
定石2「教室では、マネジャーの経験を活用すべきである」
定石3「優れた理論は、マネジャーが自分の経験を理解するのに役立つ」
定石4「理論に照らして経験をじっくり振り返ることが学習の中核をなす」
定石5「コンピテンシーの共有は、マネジャーの仕事への意識を高める」
定石6「教室での省察だけでなく、組織に対する影響からも学ぶべきである」
定石7「以上のすべてを経験に基づく省察のプロセスに織り込むべきである」
定石8「カリキュラムの設計、指導は、柔軟なファシリテーション型に変える」
関与型のマネジメントを実現するために
第10章 マネジャーの育成(1)——IMPMプログラム
IMPM(国際マネジメント実務修士課程)
地理上の基本設定——本当の意味での国際性
構造上の基本設定——バランスの取れたパートナーシップ
概念上の基本設定——マネジメント志向のマインドセット
方法上の基本設定——省察志向の教室
第11章 マネジャーの育成(2)——五つのマインドセット
モジュールの設計
・モジュールの一般的な構造
第1モジュール——自己のマネジメント(省察のマインドセット)
第2モジュール——組織のマネジメント(分析のマインドセット)
第3モジュール——文脈のマネジメント(世間知のマインドセット)
第4モジュール——人間関係のマネジメント(協働のマインドセット)
第5モジュール——変革のマネジメント(行動のマインドセット)
第12章 マネジャーの育成(3)——職場における学習
リフレクション・ペーパー
チュータリング
セルフスタディー
マネジャー交換留学
ベンチャー
メジャー・ペーパーと学位
第13章 マネジャーの育成(3)——学習のインパクト
IMPMは割にあうのか?
IMPMの二つのインパクト
IMPMには効果があるのか?
残された課題
第14章 マネジャーの育成(5)——イノベーションの普及
現役マネジャー向け修士課程の位置づけ
IMPM的アプローチの普及
非営利組織向け修士課程プログラム
Eラウンドテーブル
企業向けの短期プログラム
上級リーダーシップ・プログラム
IMPMのイノベーションに不可欠な要素
「境界」でマネジ���ーを教育する
第15章 本物のマネジメントスクールをつくる
アカデミックな機関の特権
MBAの「M」と「B」と「A」
・専門分野に特化したプログラム
・現役マネジャー向けの総合的なプログラム
・現役マネジャー向けの非学位取得型プログラム
・学部レベルのプログラム
・年長者向けの博士課程プログラム
学術研究の果たす役割
・アカデミックな成果を求めて
・学問的厳密性と実用性
・研究に役立つ教育
・大学との結びつき
マネジメント/ビジネススクールをつくり変える
・「四〇対四〇対二〇」以外の道
・終身在職権の落とし穴
・縦割りを克服する
・基礎的学問分野の位置づけ
・「変革の担い手(チェンジ・エージェント)」を変革する
注釈
引用参考文献
マネジメントに必用なのはバランスのとれたアートとクラフトとサイエンスであることに激しく同意した。ドラッカー等の書物に書かれていることをこのような側面からまとめられると、納得感が得られる。この本は経営学とはなんぞやというところに重点をおいているのではなく、MBA教育の在り方を考察している。今後MBAをとろうとする人や会社でそのようなプログラムを用意しようとしている人には大変参考になると思われる。で、MBAに関係ない私のようなものには、アート、クラフト、サイエンスというマネジメントの3つの側面を与えてくれ、それに研鑽する契機となったことがよかった。
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MBAを取得すれば経営のスペシャリストになれるのか、その答えは限りなくNOに近い。その理由をMBAの歴史、そしてMBA取得者による経営成績という客観的事実をもとに説明。そして、ここからがミンツバーグの真骨頂。アート、サイエンス、クラフトという三要素がマネジメントには必要であり実務経験の無いものがMBAを取得してもサイエンスだけに偏ってしまい意味をなさないと述べた一冊。
現状を冷静に時にシニシズムにとらえたミンツバーグの物事の捉え方にすっかり取りつかれてしまいました。
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MBA = Management by Analysisというジョーク。
マネジメントを意思決定に、意思決定を分析に、分析をテクニックに単純化。
分析のワンダーランド。抽象概念こそが現実で、人間や物事は解読すべき暗号や対処すべき問題とみなされる。
理論やモデルや概念は、規範的なものではなく、記述的なものであるべきだ。つまり、理論とは、世界がどう動くべきかを説明するものではなく、現実に世界がどう動いているかを説明するものでなくてはならない。
学習とは行動することではない。学習とは行動について省察することだ。じっくり省察してはじめて、行動が「経験」になる。
省察とは、検討、調査、分析、総合、結合を通じて、「(ある経験の)自分にとっての意味をじっくり慎重に考える」ことが求められる。それも、「何が起きたか」を考えるだけでなく、「なぜそれが起きたのか」「他の問題とどこが似ていて、どこが似ていないのか」を考えなくてはいけない。
マネジメントの仕事にルール化できる部分は少ない。
コンピテンシーの共有。「参加者のみなさんは忙しい日々の中でどうやって省察をしていますか?」。マネージャ達が実際にどのようにコンピテンシーを習得してきたかを共有する。さまざまな意見に触れることにより、自分と異なる行動パターンについて知ることができる。異なる行動パターンを知れば、自分の行動について、意識的に考えるようになり、現在進行形の経験から学び続けられる。
トレーニング参加者が学習内容を組織に還元することを、「インパクト(影響)」とよぶ。学習結果を活用して組織の効率性を高めるという意味の、「行動を通じたインパクト」と、組織に戻ってからアイディアや経験を伝えることを通じて、部下や同僚を育てる「教育を通じたインパクト」がある。興味深い文献を紹介したり、教室のセッションについて報告したりしてもよい。
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MBAプログラムへの苛立ちが凝縮された一冊。
前半のしつこいまでのMBA批判は多少げんなりするが教育者としての深い憂慮の現れと捉えるべきで、その後に展開される教育論はお見事。ビジネススクールに興味がないマネジャーにもおおいに参考になるはず。
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流し読み。マネージャーの育成にフォーカスしたMBA批判本。イントロが多少くどい印象があったけど内容としてはバランスがとれている。ただ、日本における人材育成に関しては誤解というか勉強不足であり、少々賛美に寄りすぎ。