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地理政治学
2018/06/21 14:37
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投稿者:451 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近静かなブームの地政学。便乗本もあってやや玉石混交。そのなかで、この本はオススメできる。
特に沖縄の章が面白かった。
地理的な要因なしに政治をかたるのはやはり不毛。
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経営戦略上、極めて重要な要素である地政学だが、恐らくは戦争アレルギーの為に日本では学ぶ機会が少ない。本書はそんな地政学初心者でも読みやすいよう、学術的な記載は少なくも、シーパワーや極東、戦略上いかに日本国が重要か等、地政学のキーワードが理解できる構成となっている。
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1〜6章は基本的な知識のおさらい(もしくは入門)、
7〜8章は現代日本への提言。
地政学史のおさらい=========
■英マッキンダー:講演『歴史の地理的重心軸』
ハートランドと三日月地帯、ランドパワーとシーパワーの用語と概念を提案した。
ハートランドを押さえたものが世界島、世界を支配する。
周辺の国々は外洋交通手段を手に入れたことで「シーパワー」となり、ハートランドの「ランドパワー」と対抗できる。
ランドパワー:土地に対する執着が強く、支配地域を拡大しようとする攻撃的な傾向がある
シーパワー:土地獲得よりも交易による権益を守ろうとする傾向が強い。
■米スパイクマン(戦間期〜WW2):
ハートランドと「リムランド」の対立構図
アメリカはシーパワーの国家であり、世界を制するためにはリムランドと積極的に同盟しハートランドを封じ込めるべし。
ランドパワーの「封じ込め」理論がトルーマンドクトリンにつながる
・アメリカはリムランド諸国と同盟を結ぶこと。
・アメリカを排除したリムランド同士の同盟は認めないこと
・ハートランドの国に、リムランドの国を支配させないこと。
■米マハン:強力な海軍力による外洋進出、国家戦略としての商圏拡大がシーパワー国家の発展には必要
■独フリードリヒ・ラッツェル:政治地理学
国家そのものが生き物であり、「生存圏」拡大が不可欠となる▶︎国家は力を行使してでも領域を獲得しなければならない
■スウェーデン チェーレン:
ラッツェルの思想を受け継ぎ、国家の膨張と超大国の台頭に理論的根拠を与えた。
■独ハウスホーファー:
ラッツェルとチェーレンの思想を受け継ぎ、世界を4分割してその一つをドイツが支配するという構想を示し、教え子ルドルフ・ヘスによりナチスドイツの政策理論となる。
世界各国の伝統的戦略=========
■ロシア
不凍港を求めて南下政策
■アメリカ
モンロー主義と、リムランド支援を行ったり来たり
■中国
ランドパワーとして:中華思想による大統一主義
周辺民族を含む世界支配モデルであり民族独立は認めない。強権で抑え込む。
シーパワーとして:世界進出
九段線・第一列島線・第二列島線・一帯一路
★日本への提言============
新たな「日英同盟」による、日・米・英の正三角形安全保障
日本とイギリスは「リムランド」の両端に位置するシーパワー。
中露のランドパワー同盟と鋭い利害関係が発生している同士。
「ネットワーク型安全保障」を世界で一番多く結んでいるアメリカ・イギリスと同盟することで、世界のネットワーク型安全保障の力を得られる。
「ハブアンドスポーク型安全保障」と「ネットワーク型安全保障」
ハブアンドスポーク型:アメリカ(ハブ)との1対1。日米安保、米韓同盟など。
ネットワーク型:多対多。NATOなど
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元「ガチすぎる」NHK解説委員の秋元千明氏(現:英国王立防衛安全保障研究所アジア本部所長)が、地政学をわかりやすく解説している+地政学の視点で現在の世界情勢をわかりやすく解説している+沖縄に基地を置くことの重要性をわかりやすく解説している+沖縄に限らず、日本のマスコミの問題点について、元中の人(NHK解説委員、沖縄駐在4年)として苦言を呈している+英国の専門家ジェレミー・ブラック教授との対談という豪華な本。
それぞれのテーマについて一冊ずつ書いて欲しいくらいなのですが(^^;
その上、巻末の参考文献リストがまた宝の山である
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国際社会を客観的に著述しており、メディアでは決して報道されない高度な内容を分かりやすく解説している良書である。
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地理を知り、その重要性を理解することで政治の動きが読めてくる。地政学は現代の政治の動きを知る上でもぜひ知っておく考え方の一つです。
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地政学の決定版!今まで地政学の本を読んできて湧き上がった不明点・地政学と現代社会との関わりなどふんだんに書かれている。本当にオススメ!
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借りたもの。
地政学入門書。
ただ、時々「この著者の考え、イマイチ現実的ではないのでは?」と思うことが多い。
前半はランドパワーとシーパワーの歴史。
中盤はアメリカ、ロシア、中国の政治戦略の根底にあるものを、地政学から紐解き、彼らの考え方を解説。
後半は日本を取り巻く地政学、外交戦略を考察。
世界史はこうした地政学に基づいた各国の思惑、外交戦略から戦争や条約、同盟が結ばれていることがわかる。
ランドパワーが活動拠点を求めて海に進出しようとすると、歴史上、しばしば海で活動しているシーパワーとの軋轢が生じ、国際秩序が乱され、紛争や戦争の原因となってきた……
そして、拡大路線のどれもが失敗してゆく。
ナチス・ドイツの生存圏(レーベンスラウム)、ロシアの南下政策然り。
日本の大東亜共栄圏も。シーパワーでありながらランドパワーを求めた地政学的過ち……も、あるが急激な戦線拡大が一番の原因だろう。
アメリカを巨大な島国(シーパワー組)と見るのは目から鱗だった。カナダがあるが、敵視していなさそうだし、大陸ひとつで一つの国家になっているから、ヨーロッパとアジアのように陸地で異なる文化圏に分かれていないが故だろう。
著者はアメリカの国力の衰退、国際的な求心力は低下してゆく可能性を仄めかしている。
日本にとって気になるのは中国の動き。
ランドパワーの中国がシーパワーへとシフトしようとしているように見えるが、著者は‘国家分裂の危機への対処と外敵の脅威への備えという国内、海外での二正面での作戦を前提に組み立てられている(p.147)’中国が、‘攻撃的な活動こそ、中国本土を外敵の侵略から守るための必要不可欠な手段であり、海洋は外敵から中国を守る「砦」であると考えている(p.150)’と指摘。それは‘中華圏の拡大という野望を持ち合わせているのかどうか不明である(p.150)’と……
その海における日本や東南アジアの主権を侵害してまで?その言い方は方便ではないか?
2020年、中国が海警法の改正草案を公開。中国の管轄する(勝手にそう言っている)海域で違法に活動し、停船命令に従わない場合は武器を使えると明記したことに、尖閣諸島での衝突の可能性などが懸念される。(日本以外の国との衝突も含め)
一帯一路の方は、中国の新たな経済圏の開拓の先行投資(行った先で中国企業が受注・生産)で、軍事面でどう作用するかは何とも言えないけれど……
沖縄に関しても言及。
戦略地図から見て、沖縄が太平洋戦争では「太平洋の要石」、一万キロの同心円でイギリスの次に世界の主要な地域を覆う場所であること。
日本のシーレーン(のどぼとけ)であることは、否定できない。
一見すると「基地を沖縄県外に移すのは無謀ではないか?」と思う。
それに対し著者は「兵力の移動手段を高速化」を挙げているが、その分延びる運搬の距離、師団と物資を短期間で運搬するコストと運搬する船や輸送機のメンテとのコストは?有事の際に時間的に間に合うの?という疑問が残る。
最後は Brexit(ブレグジット)で話題のイギリスとの同盟関係……同じシーパワーの国だし、日本が近代化において倣った国だからか……
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世界的な歴史の中では、海を持たないランドパワーの大国と海に力の源泉を置くシーパワーの大国が覇権を求めて争ってきたとする地政学理論を解説した本。
現代で言うならば、ランドパワーの代表は中国とロシア、シーパワーの代表はアメリカや日本。
歴史が何の力によって、どこに向かって動いて行くのかの視座の1つを身につけることができます。
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【本書の詳細】
1 地図から捉える地政学
地図をさかさまにした「up side down地図」は、世界中の海軍で使われている。人間は通常、北を上にした地図を使うが、逆さにすることでより違った目線で地政的戦略を立てられるからだ。
例えば中国と日本の関係を考える時にup side down地図を使うと、中国が太平洋を上に向けて進出するルート上に、日本列島がすっぽりと蓋をする形になる。この厚い蓋を通り抜けるためには沖縄本島と宮古島の間を通る必要がある。中国がこの位置にある尖閣諸島に固執する理由はそれだ。
他の例がオーストラリアだ。オーストラリアの最大の問題は、全ての主要国と地理的距離が遠いとう「距離の暴虐」にさらされている点である。各国から地理的におざなりにされている状況を克服し発言力を高めるため、国際社会の安定と平和維持に積極的に関与してきた。
これは特定の国ではない北極海にも当てはまる。地球温暖化の影響で北極の氷が溶け出し、航路が拡大する可能性が高くなった結果、ロシアやカナダやノルウェーなどの沿岸国が北極海の使用の権利を主張するようになったのだ。
こうした地理による国家の戦略、外交、安全保障の関係を研究する学問が「地政学」である。
2 地政学の基礎:マッキンダーの地政学等
イギリス人のマッキンダーは1904年に、ユーラシアの地理を国の外交安全保障の戦略から論じた。これは「マッキンダーの地政学」として、現代地政学の礎となっている。
世界の国家群をユーラシア大陸内部の「ランドパワー」(ペルシャ帝国、ロシア、ドイツ、元)と「シーパワー」(オランダ、ポルトガル、スペイン、米国)に分け、ランドパワーは土地に対する執着が強く、自らの支配地域を拡げようとするのに対し、シーパワーは土地よりも海上貿易による利益への執着が強い。そのため、ランドパワーが支配地域を拡大していくと必ずシーパワーと衝突する、という理論である。特にユーラシア大陸の重心に位置する部分は「ハートランド」という最重要地点になる。(現在はロシアが位置する)
その後、米国出身のスパイクマンがハートランドを取り囲む外縁地帯を「リムランド」と定義し、ハートランドを抑え込む力として必要不可欠であること、リムランドの国々と協力関係を結ぶのが大切であることを解く。彼曰く、「リムランドを制する者が世界を制する」。これが米国の孤立主義の転換を後押しした理論となった。
これに対し、米国人のマハンはシーパワーの重要性を説く。地政学的優位を築くには、ランドパワーを包囲する海を、シーパワーになって支配することが重要であり、海軍力の増強が必須であるという理論だ。彼曰く、「海を制するものが世界を制する」。
一方、米英のようなシーパワー国家ではないランドパワー国家であるドイツでは、人間は生きるのに必要な資源を獲得するため他地域に支配を広めていく、という「生存圏の拡大理論」を打ち出した。これはナチスの戦争における基本理念にも位置付けられたが、WW2後はアカデミズムから完全に排除された。
3 現代のパワーバランス
21世紀に入り、ランドパワーの中国とロシアが様々な形で連携しながら、米国と覇権を争う三つ巴のグレートゲームが始まった。
しかしアメリカはオバマ政権時に、世界中に軍を配備する現状から転換を図り、「世界の警察官」であることから降りる姿勢を見せる。
これをチャンスありと見たのが中国だった。東シナ海上への防空識別圏の設定、南沙諸島の一部の島の埋め立てと実効支配、軍事施設の建設を行い東アジアでの影響力を高めた。
対するロシアも積極的に動いた。多くの国の反発を受けながらクリミアを事実上併合し、2015年には、中国との合同海軍演習「海洋協同」を2回に渡り実施した。
加えて2015年9月、ロシアはシリアの反政府勢力に向け空爆を開始する。シリアのタルトゥースにあるロシアの海軍基地を維持し中東への影響力を保ち続けるため、親ロシアのアサド政権を支援する目的ではないかと考えられている。
他にも時を同じくして、ISISの活動が活発化していった。
これらは、米国の世界の安全への影響力が低下したことによる連鎖反応と見ていいだろう。
4 アメリカの地政戦略
シーパワーの国家はランドパワー国家に比べてはるかに安全であり、民主主義が根付きやすい傾向にある。米国はもともと孤立主義(海を防衛線と見るか)と介入主義(海を高速道路と見るか)が併存する国家だったが、同時多発テロ以降、ユーラシア大陸の外縁部に属する「不安定地域」に積極的に介入する姿勢を見せた。しかし、戦争にかかった費用及び犠牲者の数と得た利益を勘定すると、このままテロ組織に対して大規模な他国国防を続けるメリットが無くなってきた。オバマ政権が外交・安全保障の見直しを宣言したというのは、アメリカの国力が徐々に弱くなってきたことの現れである。
5 ロシアの地政戦略
ロシアの地政戦略は、
・周辺地域を緩衝帯として支配する
・不凍港をゲットする
の2つである。
ロシアは国土の広さゆえに国境線が長く、敵に侵入されやすい。また、メインの輸送手段は大陸鉄道であるが、その広さゆえに鉄道を延伸させるコストがかさむ。そのため、より効率的な財政運営に寄与するべく、国防かつ輸送手段、経済発展の要としての「海」を求めるようになった。ユーラシア中央部の温暖で肥沃な地域と黒海を求めて、領域を南へ拡大させる政策を取り始めたのだ。これが「南下政策」の始まりである。
南下政策ではまず南西にある黒海とカスピ海に目を向けるが、そこはオスマン帝国とヨーロッパがにらみを利かせる危険地帯であり激しい抵抗が起こった。そのため次は南東、つまり中国・日本方面に針路を変え始めた。この南下の結果として起こったのが日露戦争であった。
日露戦争で敗れてから現代に至るまでは、再び中東方面に進出することとなった。
こうした一連の目的は、過去も現在も、いかにして欧州からの脅威に対峙するかという問題が根底にあった。
6 中国の地政戦略
中国は今も昔も中華思想による大統一を目指している。その根底には「華夷秩序」という、中国と漢民族が宇宙の中心であり、周辺の異民族を支配するべきだという思想がある。中国は昔から内乱が絶えなかっため、国家分裂の危機への対処と外敵への脅威の備えという二枚看板を背負っているのだ。
共産革命後の中国の戦略は、初めの段階ではソビエトを利用して米国を制する「以夷制夷」だったが、ソビエトとの対立が深まるにつれて、第二世界の諸国(日本など)を利用して、米ソの第一世界を押さえ込もうとするプランに変わった。
現代中国はシーパワーを重視している。「九段線」により、南シナ海の南沙諸島を自国領土だと主張し、人工島を建設している。また、「第一、第二列島線」といった、外国の島嶼をつなぐ軍事線を勝手に設定し、海洋調査船を送り込んでいる。
そして中国はシーパワーと同時にランドパワーも重視している。「一帯一路」構想だ。中国の経済とアジア経済の底上げを狙い、かつヨーロッパまでにらみを利かせる地政学的戦略である
。
7 日本の歴史
かつての日本はシーパワー型地政戦略として日英同盟を結び日本の発展に貢献したが、同盟は大国同士の思惑に押しつぶされる形で終わりを迎えた。その結果、反動のように、ランドパワー型の戦略である東アジアでの勢力圏の構築にまい進する。「大東亜共栄圏構想」である。
ただ、大陸への進出をめざす日本の戦略は、マハンが有り得ないと断じた、シーパワーでありながらランドパワーであろうとする折衷型の戦略であり、その誤った戦略の追及が、太平洋戦争の追及につながってしまった。
戦後の日本は、安全保障は米国に依存し、持てる力の多くを経済発展に注ぐことで、シーパワーの力を他国におぶさりながら獲得することに成功した。といっても、冷戦が激化し、米国の影響力が弱まるとともに日本の経済力が増大するにつれ、米国におんぶに抱っこし続けるのは国際社会が許さなくなってきた。日本が米国との同盟関係を活用して、国際社会の安定化と国際秩序の維持に積極的に貢献すべきという意見が出始める。
第二次安倍政権では、指導者が地政学的な発想で外交・安全保障論を公に表明した初めてのケースになった。
冷戦時代から築いてきた米国との同盟関係をさらに深化させるとともに、ハワイ、オーストラリア、インド、日本を結ぶ「安全保障のダイアモンド構想」を打ち出し、地域の安定に貢献することを期待し、加えて英国が太平洋に維持している安全保障の枠組み(シンガポールやマレーシアなどと結んでいる安全保障協定)に日本も参加することを期待した。米国一国依存から転換し、オーストラリア、インド、英国と準同盟関係を作り、これらをネットワークとして結ぶことによって日米同盟を補強し、アジア太平洋の安定に貢献しようとしているのだ。
【感想】
マッキンダーの地政学から始まる各種理論や米中露3大国の地政学的理念など、「地政学とは何か?」を基本のきから学べる、まさに初心者にうってつけの本である。
本書の中でも述べられているとおり、マハンは「シーパワーでありながらランドパワーとしての力も持つ」ことは不可能だと論じたが、現代ではそれを覆す国家である中国が台頭してきている。
マハンが各国のパワーバランスを理論化した当時は、ランドパワーとシーパワーの衝突のが即座に戦争を生む時代であった。しかし現代は、ランドとシーが互いに超大国であればあるほど、���争を起こすメリットが無くなった。経済制裁という形を変えた報復は発生するものの、大国は小国に露骨な圧力をかけてもお目こぼしされやすくなったと言える。一帯一路構想はその典型であり、それがユーラシア全土にまたがるランドパワー戦略であることは明白なものの、形式上は発展途上国の経済支援という体を取っているため公に制裁を加えることが難しくなっている。
いずれにせよ今後の世界において、従来の地政学的パワーバランスの組み換えが起こるのは間違いないだろう。
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地政学という学問の歴史から最新情勢まで幅広くわかりやすくカバーした教科書のような書籍。後半に自民党政権ヨイショ的な雰囲気があるのが気になる。
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地政学は軍事、政治、歴史の根底
■概要
地政学が軍事戦略を決め、政治・外交をも左右し、やがてそれが歴史になる。
・ランドパワーとシーパワー
- ランドパワーはロシア、Chinaら大陸であり、港を押さえたい。ただ、これらランドパワーの国がシーパワーを得ようとすると、得てして衝突になる。歴史的には日露戦争、今で言うと中国の南シナ海、台湾、尖閣への侵攻。
- シーパワーの国は日本、イギリス、そしてアメリカも。大陸からの侵略のおそれがなく、平和主義。
大東亜共栄圏は日本がシーパワーであることを忘れ、満州などランドパワーを軸にシステムを作ろうとしたのがミス。
・各国の思惑、歴史は地政学で示せる
中国は以夷制夷、外敵を使って敵を制する思想
・軍事同盟は2カ国間有事だけではもはや機能せず、地域の安定をねらったものであるべき
・日本の外交は安倍政権で変わった
シーパワーによるダイヤモンド形成、日米豪印の4か国で太平洋に安定をもたらすもの。EUとの連携も見据えてランドパワーの中露をけん制する。
・沖縄は太平洋の中心で、地政学的にキーとなる
先の4か国ダイヤモンドを考えても重要拠点からは外せない。基地負担軽減は必要だが、米軍の完全撤退は地域の安定を考えるとあり得ない。
■所感
後半だらけた。
政治・外交や軍事のニュースがいかに表面的で、歴史(タテ)の視点が欠如しているのは感じていた。加えて、地政学(ヨコ)の視点も普段は全く意識していなかった。これを読むと、今後の外交の評価観点が変わってくる。沖縄は大事、これも改めて分かる。
選挙の争点がコロナ後ということもあり経済対策がほとんど。ただ大阪の松井市長(維新)が言うように、国政の主な役割は通貨政策と外交防衛。もっと外交面と防衛面も選挙の争点になってほしい。国民の生活と直結しないし、平和な日本に暮していると自然と優先度下がってしまうけれど。
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日英同盟に関する記述はポジショントークだと思いつつも、納得了承できるレベルにまで持っていく地政学入門書として最適な書物◎地政学的知識がすっぽりと抜けている平和ボケ国民には必須の内容。
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国際政治や軍事、安全保障について考えるときに「地理」的な視座を用いることで新たな理解や解釈が生まれる。中露の戦略や、これから日本が取るべき戦略についても学びが多い。地政学は情勢を正しく把握して戦略を立てる上で重要ではあるが、決してこれだけで何もかも賄えるわけではないと本書を読んで感じた。当然と言えばそうだが、万能な学問などなく、混迷を極める東アジアと向き合う上では歴史や宗教、文化などの知がなければ相互不理解の罠からは逃れられない。様々な角度からものをみる力を高めたい。
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非常にわかりやすく,歴史を俯瞰しながら、ロシア・米国・中国・日本の地政学的な戦略を正理している。
米国に安全保障を丸投げして、経済成長に勤しむことが、そもそも日本の経済的な戦略あったことは、一つの大きな理解だった(吉田ドクトリン)
ただ、その日米安保の片務性からくる経済的な押し付けや、その特殊性(地政学的な戦略的自律がない状態)は、永遠に維持できるものではないし、日本のアイデンティティを考えた時に、きちっと自律性を保ているように、国防のことにもっと注意を払うべきだし、それは国際社会の一員としての責務である。
ただそれを阻むものとして、敗戦により、国民が大きなトラウマを抱えており、国防の話をすると「右翼」とレッテルを貼られることにある。
そうして、本来必須である国防のことや軍事戦略のことは一部の「右翼」のみが知見を持つ状態となる。
それは、戦時中に軍部だけが情報をもち、破滅的な戦争に突き進んでいった構造とよく似ている。
もっと国防のことや、地政学について国民が理解を深め、活発に議論をすべきだと思った。