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商品説明
本を読むことは楽しい−。忘れられない本、作家との出会い、本で読むスポーツの世界、本が誘う古都の旅…。44年間を書店人として過ごした「本好き」の著者が読書の愉楽を綴る。出版社や印刷屋、製本屋についても取り上げる。【「TRC MARC」の商品解説】
少年時代から本が好きだったこともあり、高校を卒業後、都内の書店に44年間勤めた。書店人としてのはんせい(半生)は、まさに“あっ”という間に過ぎた。店舗では、人文書をはじめとして専門書を担当したほか店長も務めたが、本の品揃えばかりに意識が向いてしまい、顧客である読者の顔が見えていなかった。外商部ではその反省を少し活かしたことで、長く勤められたようにも思っている。
はんせい(反省)と言えば、もう一つある。長らく本に携わってきたにもかかわらず、本がどのようにしてつくられているのかということに関して、これまでまったく意識をしてこなかったのだ。今回、本書の執筆がきっかけとなって、印刷所や製本所の現場を見学できたことは最高の喜びとなった。なぜなら、本を読む姿勢が明らかに変わったからだ(詳しくは本書「エピローグ」で)。
さて、本書の執筆を思い立ったのは、「本は知識を高めるもの」と考えている人たちに、「本はエンターテインメントだ!」と伝えたかったからである。本がもつ娯楽性を無視して、「本=勉強」と定義づけるほど悲しいことはない。裃【かみしも】を着けて「本を読むべきだ」と高みから言うのではなく、本を読む楽しさ、読書が与えてくれる幸福感、本によって体験できるそれまで知らなかった世界などを、私なりのライブ感をもって著した。
スマホが生活の中心にある現代社会では、これまで以上に時間が早く経過し、氾濫する情報に操られているような気がすることも多い。そんななか、「本を読む時間」だけは昔と変わらない。時間を止めてくれるような感覚、これを私は大切にして過ごしてきた。本を読むことが目的ではなく、充実した時間を過ごすために本を読んできたようにも思える。「ページをめくると新たな扉が開く」――こんな比喩が楽しめるのも、読書にまつわる魅力かもしれない。(ひとみ・ひろし)【商品解説】
著者紹介
人見 廣史
- 略歴
- 〈人見廣史〉1953年埼玉県生まれ。埼玉県立浦和商業高等学校卒業。都内の書店に勤務。主に人文書などの専門書を担当し、数店の店長を経て外商部に異動し、退職。
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