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紙の本
農業保護政策の起源 近代日本の農政1874〜1945
著者 佐々田 博教 (著)
激しい論争が続く日本の農業だが、明治初期には大規模化や海外輸出を目指していた。ではなぜ保護主義へと向かっていったのか。農業政策の初期形成過程を検証することを通じて、政官業...
農業保護政策の起源 近代日本の農政1874〜1945
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商品説明
激しい論争が続く日本の農業だが、明治初期には大規模化や海外輸出を目指していた。ではなぜ保護主義へと向かっていったのか。農業政策の初期形成過程を検証することを通じて、政官業「農政トライアングル」の神話を解体する。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- 第1章 いつから農業は保護されるようになったのか
- 1 本書の概要
- 2 政策アイディアに注目して農政を分析する方法
- 3 本書の構成
- 第2章 大農か小農か――明治期の農政をめぐる対立
- 1 勧農政策
- 2 産業組合法と農政の転換
- 3 まとめ
著者紹介
佐々田 博教
- 略歴
- 〈佐々田博教〉1974年生まれ。ワシントン大学でPh.D.(政治学)取得。北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授。著書に「制度発展と政策アイディア」など。
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紙の本
あとがきに共感
2019/01/28 00:28
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投稿者:米将軍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治から戦時の農業政策の動きをまとめた本。小農について考えさせられ、内容も面白かったが、何よりもあとがきに書かれた忘れ去られた記憶への問題意識に共感した。
本書は政官業の結びつきでなく、根強い小農保護の信念から農業政策を追う。具体的な発言が挙げられていて説得的だった。明治初期に成果を上げられなかった大規模経営の発想が全く消え去ったわけでもないことも知ることが出来た。また、小農論も根拠づけは一つでないことがわかった。
個人的な予想に反して、R・ドーア『日本の農地改革』は参考文献として全く登場しない。『日本の農地改革』は主に戦後を、本書は戦前を扱う故であろう。ドーアは明治初期の大規模経営の構想に前史として触れ、土地を細かく分けて貸した方が地主にとって経済的利益になったことから小規模な小作農が多い状況に決着したことを簡単に述べている。経済的利益の観点は本書にない。一方ドーアは利害関係者の動きを類型化した上で各勢力に江戸時代以来の農本主義の理論が使われたことを指摘しているが、これは本書にも通じるかもしれない。
人類の記憶の不確かさを指摘し、源流をたどろうと提起したあとがきには共感した。個人的に何事も忘れたくないと思い、歴史を趣味として愛する身にとって、たしかにあったことがなかったかのように扱われることは耐えがたい。
経済的な大規模経営の必然性が叫ばれる一方で昨年の国連での小農の人権宣言やSDGsの様な小規模経営の論拠も様々持ち出される今日、歴史的背景を振り返って自らの食の源流を考える機会としたい。