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2020/11/06 16:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雪と華 - この投稿者のレビュー一覧を見る
源実朝は、歴代征夷大将軍の中で、特に好きな人物。よく言われてる聡明で心優しいイメージどおりの実朝像がうまく書かれていると思う。御台所との仲の良さが見どころ。父頼朝が政治的手腕の優れた名君だとすれば、実朝は、慈悲深い仁君だと思う。その点もうまく書けていた。
一つだけ気になったのが、細かいようだけど、御台所の実家、坊門家が摂関家とされているところ。坊門家は、藤原氏一門であり、後鳥羽上皇とも縁戚関係にあり、実朝の時代に、朝廷で権勢をふるった家系であることは間違いないのだけど。摂政関白を輩出する、公家の最高の家格である摂関家とは異なる家系であることは明らか。欲を言えば、歴史小説であるなら、その点はちゃんとしてほしかったかも。
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第三代の征夷大将軍で、源氏の将軍最後の人である実朝と、その妻信子の生涯。
学校で習う歴史ではほんの数行で終わるその人生に、豊かで美しく、そしてせつなく悲しい物語があったのだな、としみじみ。
鎌倉幕府。その始まりの時代に初代将軍の子として生まれたが故の悲劇。
都から嫁いできた信子によって和歌と出会い、その才を開かせていった実朝。もしも将軍職に就かなかったら。妻と二人、言の葉で紡ぐその人生は、どれほど穏やかで豊かであっただろうか、と。
武士の棟梁として生きねばならなかったその宿命がうらめしい。
けれど、言葉は残る。歌は残る。実朝の思いは言の葉となりて今もこの世にたゆたい続ける。
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実朝と信子いつまでも初々しくていいなぁ(*´-`*)私は、歴史が苦手で、名前も読み方とかこんがらがってしまい、読むのに大変だった(笑)でも、こういう小説で知るのは、わかりやすい。言の葉の力で世を治める。実朝は、心優しい人だけど、芯をちゃんと持ってる人だったんだなぁと。切なくて、もどかしくなる小説だなぁ
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来た~っ、今年初の星5つ!すごく好き~!
歴史は苦手で、鎌倉幕府3代将軍って誰?くらいの私でも、いや知識がないから余計に純粋に物語としてどっぷりとこの世界に浸れました。
実朝と信子の愛情あふれるシーンにはため息が出るほどウットリし、北条政子の冷徹な決断にはひえ~っと恐れ戦きながらも、彼女の妻として母としての柔らかい部分には感情移入し、実朝を慕う御家人たちのかすかなBL臭漂うやりとりにドキドキし、臨場感あふれる戦の描写にハラハラし、とにかく感情を揺さぶられ続けました。
落馬し無残な姿の頼朝に「御遺言はありますか」と冷静に聞く政子の強さと、そんな彼女に「それでこそ、政子だ。私は、夫が死ぬくらいで泣く女を娶った覚えはない。」と言い切る頼朝。くぅ~かっこいい~。惚れてしまうわ~。これこそ武家の美学。こういうの大好き。
歴史を知っている人なら、ある程度結末の予想はつくんだろうけど、無知な私は最後までまっさらな気持ちで読めました。
細部がどこまで本当でどこまでがフィクションなんだろうと、読後に色々なサイトで鎌倉時代を勉強しなおしたら、意外にも小さなエピソードまで史実に基づいて書かれていてびっくり。
どこか須賀しのぶさん的な文章は、絵巻物を見るような色彩溢れる鮮やかな描写と、人物造形、物語の構成などまったく飽きることなく最後まで楽しめました。これがデビュー作とは本当に驚きで、これからの作品にも期待大です。
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実朝と信子の政略結婚を超えての純愛と鎌倉幕府の抱える闇,北条一族の暗躍がそれぞれの哀しい思いとともに語られる.一族を皆殺しにせずとも成し遂げられる道があったのではないかと思ってしまう.金槐和歌集が残ってそれは本当に良かった.
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鎌倉時代、源実朝のもとへ信子が嫁ぎ、心を通わせていくも権力争いに翻弄されていく時代小説。
第32回小説すばる新人賞受賞作。
親族同士で権力争いの陰謀だらけで生き辛そうな時代だなぁ…
武芸が苦手で穏やかな実朝と信子が寄り添っていく様子が瑞々しく描かれていた。実朝と義時の生き方がすごく対称的だった。324pの3行の台詞が印象的。
歴史の授業だと数行のことが、物語だと生き生きと想像されて印象的になるんだな
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信子と実朝をただの恋人として出会わせてあげたかつた。
公家や朝廷の意をくむ御台としてではなくまた、将軍としてでなく。
言の葉を紡ぐ二人が切なくて中々読み進めなくて困りました。
歴史的に知っているため分かってしまう。
でも、あまり歌を近くに感じていなかったけど今も続く言の葉に感覚を研ぎ澄ます。
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文章、雰囲気がとても好み。1人1人、登場人物が丁寧に描かれていて、普段あまり読まない時代小説なのに、とても入り込みやすかった。
余韻が残る読後感。
素敵でした。デビュー作とのことで、次作をチェックしたい作家さんです。
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これまであまりフューチャーされる事なく、単にひ弱な悲運の将軍というイメージだった源実朝を、言の葉という切り口で、新しい源実朝像を描いた素晴らしい一冊。
キーは「みだい」。
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歴史もので、登場人物も複雑で読めるかなと思ったけど、するする読めた。なんて綺麗で残酷な時代なんだろう。「やるかやられるか」その瀬戸際で将軍という肩書で、藻掻き、正そうとする様はハラハラとした。言の葉を愛する姿がとても切なかった。
どっちつかずは優しいようで、一番、弱くてずるい。いろんなことが見えるし感じとれてしまうから、全部守ろうとするからそうなる。一つを守れば一つ以上を傷つける、そんな世の中。
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読みやすく、シンプルで、そのシンプルさの中に筋が通っている感じがありとても良かった。
登場人物も多いけどキャラクターがしっかりしてるせいかわかりやすかった。
20201.16
6
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油断していた。こんなにも心を揺さぶられるとは思わなかった。
現代に生きる私たちにとって、歴史で学ぶ人物や史実であっても、当たり前のことだけど、そこには1人1人、感情を持った人間がいて、家族がいて、友がいて、毎日、悲しんだり笑ったりしながら生きている。
この物語は、鎌倉時代、3代将軍・実朝と妻・信子の生涯を描いている。
実朝の人物像はどの程度、史実に基づいたものなのだろうか。あとがきで、著者のインタビューが紹介されていて、「実朝の本当の姿を、私の中の実朝を知ってもらいたい」とおっしゃっているので、実像と近いのだろう。
だとすると、作品の中でも触れられているように、頼朝が苦難を乗り越えて、ようやく開いた鎌倉幕府、武士の時代に、実朝のような将軍は、なかなかに生きづらかっただろうと思う。
しかし、そんな中で信子と言う女性に出会えたことは、実朝の人生にとって救いであっただろう。
実朝と信子に子供が生まれていたら、2人の運命は違っていたのだろうか。歴史に、たらればを考えても虚しいが、つい考えてしまう。
しかし、実朝が目指していた、言の葉で治める世の中が、のちに実現され、実朝の将軍以外の顔をうかがい知れる和歌が、「言の葉」が、残ったことに一筋の光を感じることができた。
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歴史小説。
鎌倉幕府三代将軍源実朝と、京の公家から嫁いだ正妻の信子(後鳥羽上皇は義兄)の話。
実朝は信子を「みだい」と呼ぶ。
武芸ではなく文芸を好んだ実朝の優しさが、スィートで良かった。
嫁いだ時にはお互い中学生みたいな年齢で、一緒に海に行くシーンは綺麗だなぁと思った。
和歌の美しさ、言の葉で世の中を治めたいと願う優しい実朝。
子供欲しかったけど、残念。辛かったと思う。
鎌倉時代ストーリー。読みやすかった。
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今まで読んできた本の中ででいちばん泣かされました…。まず世界観が好きです。なんというか、綺麗。日本史の授業でも紹介してたくらいなので、当時の時代背景や人物の立ち位置などが物語を読んでいく中で学べます。少し歴史とは違うかもしれませんが、大体のことは学べると思います。
将軍である実朝は言葉の力で世をおさめようと考えてはいるが、当時は武家社会。そんな考えは周りの人達は良しと思わず、実朝は苦しむ。
もう、読んでて辛いなぁって思います。どうしようもないというか、仕方ないことではあるけども。
最後の実朝の和歌集が残されることで、「言の葉は残りて」というタイトルに行くんだなあと個人的には解釈させていただきました。儚さと美しさを感じる物語でした。素敵!
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子供の頃から義経好きで源氏派。源氏は日本の歴史の中ではほんの一瞬しか出てこないけど、すごく思い入れが強かった。
時を経て出逢ってしまった…実朝。武力ではなく言の葉で世を治めようとする。あの時代に。風流を愛し妻を愛し。全てが理想的。やっぱり源氏は深い。