まあちゃんさんのレビュー一覧
投稿者:まあちゃん
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2016/03/31 23:39
あきない世傳 金と銀
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冒頭、「津門村の私塾、凌雲堂の庭には、」の一点に目が留まりました。「津門村」です。よく似た地名があるものだと思いながら読み続けると、「津門村」は何と、「攝津国、武庫郡津門村」とありました。
毎日通勤している会社があるところです。「背後に甲を伏せた形の山」は通勤の車中からいつも眺めている「胄山」です。「彼方には茫洋たる海」は「茅渟の海」(現大阪湾)です。近くには今も武庫川が流れています。まさに地元のことだったのです。
「津門村」を題材にした小説は今まで読んだことがありません。「津門村」が主人公「幸」の故郷として設定され、美しく清らかな村として描かれていることに感動を覚えました。
大阪の商売の中心は「船場」です。主人公「幸」の奉公先は船場よりも格が低い天満の「五鈴屋」です。番頭の治兵衛に才能を認められ「五鈴屋」を発展させていくことになると思いますが、その才能の原点が「津門村」であり、早くに亡くなった父と兄の教えがどうのように、商売の工夫と行動に発展してゆくのか楽しみです。
高田郁さんの代表作「みおつくし料理帖シリーズ」に並ぶ作品になる予感がいたします。
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