ぽろぽろさんのレビュー一覧
投稿者:ぽろぽろ
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2001/10/12 17:52
人生の自由な選択肢
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40歳前後までずっと独身を貫いてきた男女が、それぞれの人生観について語り合う。中年になるまで独身でいるというのは、何かと世間の風当たりが強いもの。男の場合、うっかりすると変態扱いされかねないし、また女であれば「行かず後家」などと陰口を叩かれ、或いは当人の意とは無関係に哀れみを駆ったりと、時代が進んだ昨今でも未だ、分が悪いようだ。世間並みに所帯を構え、家族のために尽くしつつ平凡な人生を歩んでいくことを思えば、しっかりと自分の仕事に打ち込むことが出来、経済的にも時間的にも遙かに余裕のある独身者の人生もまた、大いに魅力的にうつる。どのような人生を選ぼうとも本人の自由な意志に任せられるべきだし、他人が干渉する余地などないはず。
ここに登場する二方とも、自ら積極的に独身生活を謳歌している訳だが、そこには独身者として胸を張って生きるための覚悟があり、また、そのための様々な工夫・知恵がある。その辺りの会話がとても興味深い。そしてただ惰性に任せて独身を謳歌しているのではなく、将来の老後に対する人生設計までも着実に考えているのがとても印象的だった。既婚・未婚を問わず、楽しめる一冊。
紙の本われ笑う、ゆえにわれあり
2001/04/23 01:37
爆笑、そして納得
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出だしから思わず吹き出してしまう文章にまず圧倒される。半ばジョークの連続のような文章であるが、単に笑えるという面白さに留まらず、実はものすごく説得力のある内容で、奥の深〜い話ばかりなのだ。しかもその語り口はとても上品で、知的なユーモアに満ちあふれている。たちどころに著者のファンになってしまった。
抱腹絶倒しながら、ふと気がつくと「人生って何だろう」「自分らしい生き方とは…」などと考えさせられてしまう。哲学科の教授が描く世界はやはり哲学そのものでした。
紙の本見張り塔からずっと
2001/01/13 13:46
サスペンスの緊迫感と純文学の重さ
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予期しない悲しい運命を背負い、あきらめのため息をこらえながら静かに人生を送る人々。現代人の誰もが同様な悲劇の当事者になりうることを思うと、ある種の戦慄を覚える。
3編の作品で構成され、本のタイトルが暗示するように、3つの人生を、高いところから見下ろすかのような客観的かつ冷静な視点で描く。サスペンスの緊迫感と純文学の重さをもって読者に迫る。
紙の本スキップ
2001/03/17 18:15
春の陽射しのように優しく、暖かなぬくもりで読者を包み込む
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高校生活最後の文化祭を前に、突然20数年後の自分にタイムスキップしてしまった女子高生。奇跡が起こったのか、あるいは単なる記憶喪失なのか。信じ難い事実を突きつけられながらも、あくまで自分らしく賢明に生き抜こうとする姿には心を打つものがある。
容姿は四十歳代でも、心は純粋でひたむきな十七歳。そうした心の若さが、いつしか周囲の人々に輝きを与え、彼女自身もますます魅力的な女性に変化していく。誰しも、年齢を重ねるごとに現実に埋もれつつ本来あるべき理想から離れ、いつしか自分自身を失い勝ちである。若い心を持ち続けることの大切さを教えられたように思う。
作品に登場する学校は、いささか現実離れを感じさせるほど爽やかで健全。教師と生徒の関係も本来あるべき理想像を貫き、終始暖かい雰囲気に包まれている。卒業や入学の頃の、のどかな春の陽射しを思わせる心地良さに満ちた作品。
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