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WAKUさんのレビュー一覧

投稿者:WAKU

6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

なぜ最適な経済政策が実施されないかが理解できる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は、政策決定の舞台裏をジャーナリスティックに描いたものでもなければ、望ましい経済政策について論じたものでもない。原題の "The Making of the Economic Policy" にもあるように経済政策がどのように作られるのか、を理論的に分析したものの(展望)である。ゲーム論、特に契約論の知識がなければ本書を読みこなすのは難しいかもしれないが、実際に経済政策が決定されてゆく過程を理解にするのに役立つことだろう。

 貿易政策を考えてみよう。経済学者なら誰しも自由貿易がもっとも望ましい政策だと教えてくれる。貿易を自由化し、パイを最も大きくした上で、不利益をこうむった利益団体に所得保障を与えるという政策はすべての国民をハッピーにする。

 しかし、このような政策が実際に実行されることはめったにない。これを理解するには、政治過程を政治家や官僚といった政策決定者を代理人とし、国民や利益団体を依頼人とする「政策決定ゲーム」と捉えなければならない、と著者は言う。この「政策決定ゲーム」では、政策決定者は政策を立て、依頼人はそれに対する見返りとして、投票や金銭によるインセンティブを与えるという一種の「契約」が結ばれると考えるのである。

 このような「契約」が結べるのならば望ましい政策が実行されるだろう。しかし、(ビジネスにおける「契約」と違って)政治的な「契約」を結ぶのは難しい。金銭を渡す契約は違法だし、政治家が公約をやっぶても法的には問題がない、また、ビジネスにおける「契約」では、たいがい一人の依頼人に対して一人の代理人なのに対して政治的な「契約」では、複数の依頼人が契約に影響を及ぼそうとする。このような「契約」を難しくするものを「取引費用」という。政策決定ゲームの均衡で理想的な結果が達成されないのは、取引費用が原因だと分析している。

 このような見方に立てば、「市場対国家」という二分法は意味をなさなくなる、と著者は述べている。いかに望ましい介入政策であっても、それがそのまま実行されるわけではなく、政策過程を通さなくてはならない。すると、実行不可能になったり、本来のものから歪む可能性があるからである(また、まったくの自由容認はそもそもありえないと述べている)。政治過程を視野に入れない分析における最適な経済政策はベンチマークとして有用であるが、これからの経済政策の提案・評価は政治過程を織り込んでなされなければならないとも述べている。

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紙の本

規制緩和がなぜ必要で、どのような形で行われるべきなのかということを再確認させてくれる本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 規制緩和は、経済体制の隅々まで市場原理で覆い尽くそうとしているのではなく、今日の混合経済体制の中で政府の役割はなにか、市場にどこまでゆだねていくべきか、を問うているのであって、政府がこの役割を放棄してまで市場にすべての資源配分・所得配分をゆだねたほうが望ましい、との考え方には多くの問題点がある、という。

 では、政府の産業活動への介入(規制)で許容されるものはなにかというと、公共財の供給、自然独占・地域独占、情報の格差といった“市場の失敗”があるケースにおける介入である。市場の失敗がある場合に、すべてを市場にゆだねるのは危険で、(新古典派)経済学でも政府の経済活動への規制を容認している。

 しかし、日本の問題は市場の失敗がある分野でも過剰な政府規制が行われていたり、規制が必要とされない分野でも規制が行われている。と同時に、都市問題や金融問題のように「市場の失敗」がおきているにもかかわらず、規制が行われていないとも指摘している。

 政府規制が緩和されていくと、競争を実質的に制限することを禁止する、独占禁止法の適用される領域が拡大する。独禁法にも規制を強化しなければならない分野(適用除外制度)と、緩和しなければならない分野(景品規制、持ち株会社の禁止規定)があるという。本書の最後の章は独禁法の適用除外制度のひとつである、著作物の再販制度の見なおしに言及している。これを世に出すのがいやで○○出版社は本書の出版をドタキャンし、代わりに出版した、ちくま書房は業界内で袋叩きに会ったという(詳しいことは、ここ参照)。それだけでも読む価値はあると思う。

 規制緩和がなぜ必要で、どのような形で行われるべきなのかということを再確認させてくれるので、規制緩和悪玉論に影響された人には特におすすめである。

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紙の本

セーフティーネットの政治経済学

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 本書のいう「セーフティーネット」とは、市場を機能させるための制度・ルールで、具体的には労働市場にとっての終身雇用や公的年金などの社会保障制度、土地市場における住宅政策・都市計画、金融市場における預金保険機構や中央銀行の最後の貸し手機能のことである。

 著者によると、「セーフティーネット」は市場原理主義者がいうような、市場での競争から脱落した弱者を救済し、所得再分配を行うためのネットではない。むしろ、市場から脱落した者を救うことによって、市場そのものを効率的に機能させる、市場のためのネットであるという。ゆえに、規制緩和やグローバル化によるセーフティーネットの解体は、銀行の貸し渋りや企業のリストラによるデフレスパイラルを生み、市場を崩壊させると主張している。

 さて感想。新古典派経済学者は規制緩和やグローバル化が日本経済を再生させるといい、著者は市場を崩壊させるという。また、セーフティーネットの効果にしても、市場原理主義者はモラルハザードの温床であると主張するが、著者はそうではないといっている。

 どちらが正しいのか、もっともらしいのかを読者が判断するためには、著者はセーフティーネット論の拠って立つ理論モデルを提示しなければならない。市場が崩壊していく過程を説明するのに「綱渡りの安全網」の例で済ましてしまうのはあまりに安直過ぎる。セーフティーネット論を単なるアイデアやお話で終わらさないためにも、万人に検証可能な理論モデルを構築し、裏づけを与えることが必要だろう。

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紙の本

紙の本社会的共通資本

2001/01/29 22:12

社会的共通資本の重要性を指摘した本

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 著者は「豊かな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力のある社会を安定的に維持する」ためには、自然環境・社会的インフラ・制度資本(教育、医療、金融、司法、行政)などの社会的共通資本の整備が必要と主張する。そしてその管理・運用には、市場の論理や官僚の支配ではなく、専門家の職業的規律に従わなければならないと言う。

 これら社会的共通資本や公共財の最適供給問題は市場や官僚にまかせっきりではいけない、との指摘は意義のあるものだ。しかし、肝心の具体策に対して、「専門家による、専門的な観点からの運営・管理」とお茶を濁すのはいただけない。

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紙の本

市場主義の終焉

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 マテリアリズム(モノとカネ)からポスト・マテリアリズムへと日本人の価値観が変化する中、20世紀の最後の10年に東西冷戦の終結、ポスト工業化社会への移行、IT革命に地球環境問題などが起こった。

 これらの変化に伴い、80年代の日本に適応している日本型システムの転換が必要となると著者は言う。代替となる選択肢のひとつがアメリカ型の市場主義である。

 しかし、市場主義には、デジタルデバイド、収穫逓増による「一人勝ち」といった所得格差の拡大、地球環境破壊などが必然的にともなうため、そのような問題を考慮して市場化を進めなければいけないという。

 たとえば、起業や技術革新への支援、公教育、生涯教育の拡充、労働市場の流動化が必要になる。それが市場主義、反市場主義に代わる「日本経済再生の処方箋」である「第三の道」なのだそうだ。

 結論は基本は市場主義で、市場が失敗するとこには介入しましょうってこと。こんなことわざわざ言われなくても、経済学の教科書読めば書いてある。個々の市場の失敗に関する対する分析や考察はなく、ほとんど著者の感想。買う必要なし。

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紙の本

紙の本金融工学、こんなに面白い

2001/01/29 19:06

金融工学で何ができるのか、できないのか?

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 本書の主題は一言で言えば金融工学で何ができるのか、できないのかということになるだろう。

 金融工学を用いると、株式投資や先物投資で儲ける事はできるのだろうか。この問いに対して本書は、「市場は過去の株価や公開された情報を迅速に取り入れて価格に反映させているので、インサイダー情報を使うのでない限りは、ケイ線・チャートはもちろん、最新の金融工学を用いても市場を出し抜いて儲ける事はできない、といい、金融工学の限界を指摘する。

 では、金融工学で何ができるのかというと、起こり得る結果とその確率が事前にわかっているリスクからの“無駄”な損失を回避することができる。本書では、そのための手段である、分散投資理論やベータ投資理論、先物取引、オプションを紹介している。

 これは金融工学が役に立たない、ということを意味しているのではない。われわれは「永久機関も錬金術もありえないことを知っている」のと同じように、技術の一つである金融工学にも、できることとできないことがある。それを知っておくのが重要だと著者は述べている。

 特に目新しいことが書いてあるわけではないが、金融工学の基本的なことが書いてあるのでちゃんと知りたい人の入門によいのではないだろうか。

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