えどさんのレビュー一覧
投稿者:えど
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紙の本異邦人 改版
2002/04/30 12:14
搦めとられるような作品
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太陽のせいで人を殺す、って??? 言葉に出すと滑稽な物語も作品を読んでいくと納得する。なにかに搦めとられるように思ってもみない方向へ転がっていく人間。自分がそうなったら嫌だけど、そんな事は世間に沢山転がっているのかもしれない。私は鈍感でその穴に気付かずにいるだけだから、足をとられないのかもしれない。敏感に気付く人だけが、その穴に落ちるのかもしれないと思った。
とてもおもしろい作品だったけれど、ただ一つ、私が残念に思うのは、自分がフランス語が読めないという事だ。訳ではなく、生の作品に触れてみたいと思う。海外文学を読む度にいつも切実に思うが、翻訳したものでは無くそのままの作品を味わってみたいと思う。翻訳したものは本来の作品の魅力を半減していると思う。特にこの作品の訳者はずいぶん昔の人で、そのころの文を直訳するという風潮にそまっていたのではないでしょうか。
シドニーシェルダンの作品が翻訳本らしくないのは、一度翻訳したものをさらに、物語として整える超翻訳という作業をしているので読みやすいという話を聞いたことがあるが、出版社は一度再考してみる価値があるのではないでしょうか?
紙の本笑う月
2002/10/23 12:41
シュール
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安部公房といえば『砂の女』を一番に思い出します。
環境に順応し、そのまま不満もなく暮し…、今では北朝鮮の拉致問題も頭をかすめます。私にとってかなりこわい作品でした。
続けて何作か読みましたが、どれもこれも怖いはなしでした。
しかし、笑う月は思わず笑ってしまいました。
とても可笑しい作品でした。決して明るく朗らかという作品ではありませんが、面白くあっという間に一冊を読み終わりました。
夢というのは可笑しいものなんですね。
しかし、いったいあの夢のスケッチは完全なノンフィクション(フィクションに決まっているのでこんな聞き方は可笑しいとおもいますが)なんでしょうか。
本当にあんな夢をみながら寝ていたんでしょうか。
御本人に聞いてみたいと思いました。
紙の本白夜行
2002/10/30 15:00
先へ先へ
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夜9:30頃から読みはじめ、気がついたら3:30になっていて、次の日のために仕方なく読むのを止めて寝るぐらい面白かった。
何人も人が殺されたり、被害にあったりするけれども、犯人の様子を登場人物が主観的、客観的に見ているだけで、犯人自身の行動や気持ちは何も表現されていないのが、無気味さを強調していて怖かった。
自分の邪魔になる人間は冷血に排除しながら、それぞれ一人の人間をずっと思って見守っている犯人達は、子供がそのまま大人になったような自己中心的な人間なのかもしれないと思いました。
紙の本トライアル
2002/05/09 12:23
家族の話
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ギャンブルがテーマの本だったので、今まで一度もギャンブルをやったことのない私にはあまり興味のない本でした。この作者の作品は大抵読んでいるのですが、ギャンブルをしない人間にはハードルが高いかもしれないと今まで手にとったこともなかった。しかし、これは作者を見くびっていました。
とても面白い。確かにギャンブルがテーマではあるけれど、本当のテーマは家族だったのではないか。
兄と弟、父と息子等、登場人物が自分なりの家族を育てつつ、自分も成長していくのに爽やかな気持ちになりました。
その登場人物がたまたま競輪、競馬、オートレース等を仕事にする人間だけであって、これは読んでいる誰もが自分の身に置き換えて読める話だと思います。
ギャンブルというと暗く、後ろめたいような感じがするけれど、読後はとても暖かい気持ちになりました。
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