琴 さんのレビュー一覧
投稿者:琴
紙の本国境の南、太陽の西
2002/05/12 15:12
最後まで読まないと
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
初めは主人公の女性遍歴がつらつらと描かれるんです。なんなんだ、これは? 今調子で終わるのか? と心配だったんですが、中盤から面白くなってきて、ラストにはぐっときます!
それにしても、読みやすい本でした。比喩とかもこの本の中では結構普通で、出てくる人も、謎のおんな(???)を除けば結構普通で。
それから、一人の女性を通して、現実と日現実の間をさまよう主人公は、なんか、少し哀しいです。
紙の本折り紙夢WORLD
2002/04/09 19:19
折り紙ってつくづくアートだな、と思う。
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驚異!!! 折り紙って、単なる子供の遊びじゃなかったんだ。これは折り紙ハウツー本ではなく、まさに作品集といった感じだ。はっきり言って、不器用な人にはこんな写真どおりに作ることなど出来ない! すごいなあ、すごいなあ。そう、ただ感嘆するのみである。
しかし、写真付きの解説はかなり丁寧だ。わかりやすい(しかし、何度挑戦しても出来ない。難しすぎるのだ!)。これに挑戦しようという無謀な初心者は挑戦してみて欲しい。キー!!! と奇声を発したくなってしまうはずである。
折り紙というのは夢がある。自分では作れなくっても、これを眺めて浸ればいいのだ。
紙の本冥途
2002/05/11 00:22
幻想的でせつない
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この絵がびっくりするほど百間的なのです! いやあ、た、たまげました。絵、というか版画です。この独特な色使いは、百間の幻想世界をよく表していると思います。感傷的な部分もおさえておさえて、となっているし。
百件は素晴らしいのに、今の若いひとたちはあまり読まないのではないかと思います。この作品が百間入門になったらイイナと思います。
2002/05/11 00:06
与謝野晶子以来の天才
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現代短歌って最近熱いですが、「ニューウェーブ」といわれている人たちの作品と俵万智を読み比べると「与謝野晶子以来の天才」といわれている意味がよくわかります。ああ、もうなんてもうかわいらしい短歌なのだろうかと思います。現代短歌には「毒」を含む表現が顕著に見受けられますが、俵万智の短歌は、ほんと、全面的に共感できるという感じです。恋の歌は特にいいですね。何度読んでも違う発見があります。
紙の本厄除け詩集
2002/05/10 23:58
さよならだけが人生だ
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あまりにも有名な「サヨナラダケガ人生ダ」の「勧酒」が収録されているのがこれ。読むまで知らなかったのですが、これは訳モノなんですね。聞くところによると、愛読者は「原作より断然いい!」とまでいっているそうです。
人生についての深い示唆に充ちた作品です。かっこいいです。でもやっぱり一番好きなのは「花ニ嵐ノタトエモアルゾ、サヨナラダケガ人生ダ」ですね。
2002/05/10 23:49
タイトルの意味は読めば分かります
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前作「六人の超音波科学者」の続編という位置付けになるのですが、ま、それを読んでなくても十分読めます。しかし、ファンとしては、Vシリーズの初めから読んでこの作品にいたる、というプロセスを経たほうがいいかと思われます。複雑な人間関係とかがわかって、感動が増します。
さて、冒頭で宇宙の密室で殺人、なんて書かれていたので「え? え? え?」と思ってしまいましたが、今回のトリックは、「なんでそうなるねん?」という感じではなく、なるほどね…と思ってしまいました。森博嗣に慣れたからかもしれませんが…。
それからミステリに関係ない部分も素晴らしかったです。特に今回の冒頭(主人公格・保呂草の人生観とも言うべきおもしろいプロローグ)は、最高! わかるわかる、とうなずいてしまいます。
今回は主要な登場人物が、皆、登場していて、初めこんなに飛ばしすぎていいのか? と思ったら、後になるにつれてどんどんシリアスになって行きました。
それにしても、森博嗣が登場人物に家族についてこんなことを語らせるとはちょと以外な気もしました。
紙の本快読シェイクスピア
2002/04/21 16:05
シェイクスピアぁ〜?と敬遠しているあなたに勧めたい。
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シェイクスピアなんて古臭くって読む気にならん!と、はっきり言って私は考えていました。この本を読むまでは…。なんと身のほど知らずだったことでしょうか。この本を読んで、私はシェイクスピア全集を読破したくらいの満足感に浸っています。
とにかく面白いのです。シェイクスピアがこんなに面白いなんて今まで誰も教えてくれませんでした!
この本は、1997年、蜷川幸雄芸術監督による「彩の国シェイクスピア・シリーズ(『ロミオとジュリエット』『間違いの喜劇』『夏の夜の夢』『十二夜』『ハムレット』『リチャード三世』の6本)」の公演パンフレットに掲載された「河合隼雄と松岡和子のシリーズ対談」です。つまり対談集なのだ。よって、評論集のように難しい感じも出てこない。河合隼雄氏はさり気に面白いことを言って笑わしてくれんです。
でも、面白いだけではありません。歴史的なことや、とにかくふむふむ、と教養のない私のような人間が「ちょっと偉くなった気がするぜぇ」と思ってしまうようなお勉強系の本なのです。
紙の本制服概論
2002/04/14 12:53
そうくるか!さ、さすが酒井順子。
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何々? 酒井さんは制服がお好きですと? 判断を放棄して身をゆだねるのって、じつは快感ですと? 期間限定な学校の制服は「旬」のはかなさを感じさせるですと?
うーむ。さすがだ。反論の余地なく、「こうに決まっているのよ。おっほっほっ」と言う感じで攻めてくる怒涛のコラム。汲めども尽きぬその魅力を、ホットかつクールに分析し、あなたの本音を刺激しまくる! 目次↓をご覧下さい。あなたの本音を刺激しまくるトピックが…。
期間限定の制服
働く制服
戦う制服
スポーツと制服
儀式と制服
制服の「頭部」
終章 制服を脱ぐ時
紙の本世界音痴
2002/04/10 08:37
物悲しい。病んでいる。
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穂村弘氏の歌集『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』を読んだあとにこのエッセイを読んだ。そう言うことだったのか、と思った。そう言うことを言いたかったのか。エッセイの最後にひとつ歌がひとつ詠まれていて、それは東直子だったり、水原紫苑の歌だったり、穂村弘氏自身の歌だったりする。その文章と歌との絶妙なフィット感には思わず納得だ。穂村弘氏の歌は割と難しいと思う。わかる人にはわかるけれど、わからない人にはわからない。このエッセイも同様だと思う。
それにしても、このエッセイに漂っている物悲しさは何だろう。まるで小説を読んでいるように、登場人物・穂村弘に感情移入してしまう。すると、浮かび上がってくる姿は痛々しくすらある。そんな感覚が表紙の写真によくあらわれている。
エッセイの中で何度も書かれているのは、「現実からの逃避」である。日常のちょっとしたニュアンスの中に、現実逃避のきっかけを見出すさまが、あー、わかるわかる、という感じである種の共感を呼び起こしている気がする。確かに、笑える部分もあるが、しかし腹を抱えては笑えない。人間の存在の滑稽さには笑えるが、しかし氏の生き方を笑えないのである。
紙の本文章読本さん江
2002/04/06 14:20
じつは『文章読本』なんて役に立ちゃあしないのさ!?
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作家になりたいと思う人ならば誰でも一度は手にとる『文章読本』。しかし、これを読めば文章は上手になるのか、そもそも上手な文章なんてあるのか…? 既成の価値観をどんどん破壊する文芸評論家・斎藤美奈子が作家になりたい貴方に送る、まったく新しい評論。
それにしても、完成までに8年を要したというこの本は、その年月にも納得の完成度。文学界のえらい人たちの書いた「文章読本」の前にただひれ伏すだけだった私たちも、斎藤美奈子氏の鋭い突っ込みとからかいと反論に、おおぅ、と拍手を送ってしまいたくなる。
正しい日本語って何か? 誰かが言っていることに対して、はいそうですか、とうなずく事だけでいいのか。自分の言葉で日本語を語ることこそが大切なのではないのか。
紙の本パーフェクト・カップル
2002/05/11 00:28
これは恋愛小説です
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すごい素敵な表紙! このクールな感じがストーリーとマッチしてます。けれど、タイトルと著者名がどこに書いてあるのかイマイチ分からなかった(焦)…。そういうねらいなのかどうか謎。
それにしても、あのアグネス・チャンが恋小説とは驚きでした。しかも結構おもしろい! 援助交際とかひきこもりとか虐待とか、現代の病をモチーフに、かなり暗い恋愛を描いてます。でも構造はシンプルなのでさらっとよめちゃいます。雰囲気はJ文学と呼ばれているものに近いと思いました。
紙の本受難
2002/04/21 15:45
正視できない文面の裏側
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「性」と言うものをこんな風に描く小説家がいるとは知らなかった。そして文章の前半の感じから言って、これが感動を引き起こす小説だとは驚いた。しかしあまりに若いヒトにはこの美しさを理解してもらえないかもしれない…。それは読者を選ぶという意味ではなく、なんていうか、えらそうなことを言うようだが、人生を知っているヒトが読むからこその深み、みたいなものがあるからだ。
18歳まで修道院で育った、純真な乙女フランチェス子。彼女は左上腕の裏に原因不明のできものを見つけるが、気味が悪いので封じることにする。しかしそれは封じるどころか、「あそこ」に移動したのだった。そのできものは既に人面瘡というべきものに変容し、フランチェス子はそれを「古賀さん」と呼ぶことにした。こうして二人の同棲が始まる。
「古賀さん」は放送禁止用語を駆使し、フランチェス子をののしりまくるのだが、彼女はその素直さと清らかさのために、反論するどころか、納得なんかしてしまう。その文面の過激さに、読んでいる途中何度も引きそうになった。しかし、最後まで読んで、この感動を味わえたのは、その正視できない文面の裏に、真に、普段は正視できない大切なことが描かれていることに気づいたからだ。
紙の本MISSING
2002/05/13 07:22
ミステリだけでなく
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MISSIGという題名どおり、何かを失った人たちの話。短編集。次作のALONE TOGETHERも、それなりに面白いですが、こっちのほうがレベル高いです。エンターテイメントなのに、純文学の香りを帯びているところがなんとも言えず素敵。ちゃんとミステリーしているんだけれど、仕掛け以外のところが読ませる。むしろ、ミステリ的な部分はおまけという感じすらします。静かな感動の静かな物語たちです。表紙もイメージどおり。
2002/05/13 07:20
大型新人かも
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2002年初のメフィスト賞受賞作家・西尾維新の処女作。なんだか表紙の感じから言ってメフィスト賞??…という感じですが。なんか、これが結構面白い。この表紙で侮っては駄目だ! しかもこの作家さん一週間で350字も書いてるという量産タイプらしい。う〜ん。期待の大型新人手感じです。
★ストーリー★
ある島に招待されたぼく。そこには多彩な天才が呼びつけられていました。科学、絵画、料理、占術、工学といろいろ。天才も変人だがその天才を呼びつけた城主も変人でした。そこで起こるクビキリサイクル。はたしてぼくはこの謎を打開できるのか?
紙の本そどむ 1
2002/05/11 19:22
女の子がスゴイ
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うわ〜、スゲエ女の子が出てきます。まさに少女漫画! この「女の子です」って感じ丸出しの女の子が印象深すぎる…。
さて、ストーリーは、専門学校に通っているお嬢様のその女の子と、同級生の彼、そして彼を狙うゲイの美容師の三角関係です。
けど、取り合うって言う感じではありません。「彼」を真ん中において、結構皆、来るものは拒まず去るものは追わず…といった感じで…。
それから「彼」には、母親との間になにやら秘密(性的虐待?)があるらしく、心に傷をおっています。女の子が直せなかったそこに、美容師が入り込んでいくところは結構せつないです。
それにしても、小野塚作品にしては、性描写が控えめなのでは…と思いました。そう思うと同時に気付いたのですが、小野塚さんの描く線は、あまりにも緩く多義的だということ。辛いシーンをかいていても、その線がちゃんと場面を緩めているというか。絵の美しさ、また白と黒のハイライトも美しい。
それに登場人物も結構多くて、作者の新境地か?という感じも。