みっつさんのレビュー一覧
投稿者:みっつ
紙の本冬の旅 改版
2002/07/26 15:35
内面の問題ですから。
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ちょっと関係の複雑な家庭にそだった、兄修一郎と弟行助がいろいろな事件を巻き起こす物語。行助は人間的にできた強い人である。反して修一郎さんは好き放題めちゃくちゃなことをしている、精神的にも弱い人である。
母を犯そうとする修一郎をみて、行助は刃物でさしてしまう。そして少年院に送られる。しかし行助は、行助らしいやりかたで義兄に復讐をくわだてる。
そんなものがたりの中で、印象的な台詞がある。行助の言葉で、「内面の問題ですから」という。なんかこの言葉実際に人に使われたらいやな感じかもしれないけど、この本の中ではいい感じで、すごく重要な意味をもっていると思う。
意思を強くもつことをあらわしているとおもうのだが、これを読む人はこの言葉の意味を考えつつ読むとよりいっそう興味深くこのほんが読めると思う。
紙の本ぼくを探しに 新装版
2002/07/19 15:05
生きる力
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自分にぴったりなかけらを見つけるために転がっていく。でも見つかったとき歌を歌えない事に気がつく。またそのかけらをおいて、また探すために転がっていく。
人にとって自分にかけているものは重要なことであるし、びったりなかけらを探すことも重要なことであってそういった意味でいきている意味をうまくついていると思う。
生きる力を与えてくれるといっても大げさではないほどのないようの絵本だ。
紙の本父と暮せば
2002/07/28 03:11
広島弁
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ピカを浴びて自分だけ生き延びてしまったことを理由に、自分だけ幸せになってはいけないとおもう美津江とそれを励ます父親の竹造との会話ですすむ戯曲。
広島の原爆の悲劇を、生々しく伝えるというよりも、そこに取り残された一人の娘の葛藤がえがかれている。父親の暖かさと広島弁がこの広島のあまりにもかなしい出来事を素直に伝えてくれていると思う。
今年も8月15日がもうすぐやってくる。こういった本によって、伝えていかなければならないとまた思わされた。
紙の本太陽の子
2002/07/26 16:30
戦争と沖縄
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神戸ですくすくと育つふうちゃんのお父さんが心の病気で苦しんでいる。ふうちゃんのお母さんは、沖縄料理屋さんをやっているのだが、ギッチョンチョンをはじめあたたかい人にかこまれている。
おとうさんの心の病気は、戦争からくるもので、結局お父さんは・・・・。悲しい。でも戦争のこと沖縄のことをもう一度考え直すべきとこのほんはいっているのだろう。
戦争を知らない私たち世代によみつがれていくべき作品だと思う
紙の本カシコギ
2002/12/05 15:26
パパカシコギ。カシコギが元気になってよかったね
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韓国での大ヒット作品の邦訳。白血病の9歳の息子とその父親の物語。
子供が病気で片親で…という設定。これは感動させられるなと思いつつ
読んでいて、してやられたという気分である。やっぱり感動、涙を流さず
には読めない…。
そういった意味ではドラマ「北の国から」みたいだ…。
父も子も、死に物狂いでお互いの為を想って生きている。そこに思いがけ
ないような不運な出来事が重なっていく。それでも父は息子のためになんでも
する。息子も息子で、パパに元気に笑って欲しいと願い続ける。
だから、この物語は不幸すぎるのに、美しい。
ここでは、話の内容についてはあまり詳しく言いたくない。
これから読む人の感動を奪いたくないから。
カシコギという魚の説明があってからは、あーこの親子もカシコギのように
なってしまうのかという不安を持ち続けながら読んだ。
パパカシコギ、カシコギが元気になってよかったね…。
感動したい人は読んでいただきたい。
その際にはハンカチは忘れずに…。
2002/11/15 03:19
丁寧な人
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ランディさんはこの本の中でも、自分は馬鹿だからとか、だらしなくてめんどくさがりでいい加減で口先だけの女とか言っているけど、やっぱりそうは思えない。すごく丁寧な人だと思う。何が丁寧って、自分が感じたことや思った事にとても敏感でそれがどんなに不思議な感情であっても変わった気持ちであっても逃げないで丁寧に掘り下げようとする、もしくはそういったことをわからないからもういいやと投げださない。そういうところがものすごく丁寧だと思う。
その丁寧さが、上から物言うという感じではなくさりげなく、かつ素敵に教訓めいたことを残してくれるのだと私は思う。この本もまさにそうだ。
「肉体を持つことで、私は私以外のすべての生き物とつながる可能性を秘めている。それを頭はしらない」。
「どんなものでも自分にやって来るものはプレゼントだ。受け止めて手放せばいい。そうしていくと、受け止めた衝撃で流れが起こって自然にあるべき方に流れていく。自分でありながら、でも流されろ」。
これはこの本から引用した文章の一部だが、ランディさんの言葉はなぜか素直に入ってくる。それはランディさんがやっぱり丁寧な人だからだと思う。そして読者である私にもちゃんとゆっくり丁寧に考えて、自分の意見や考えを大切にしなさいといわれているように思う。
紙の本破獄
2002/07/20 20:29
何度読んでもおもしろい
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この本は何度よんでも飽きることがありません。四度も脱獄を重ねる佐久間。その脱獄の手口もすごく呼んでいて面白い。それからなにより、やはり佐久間自身とその周りをとりまく人となりがすごくいい。それほど大胆なことをする佐久間ではあるが、繊細な面ももち、実に人情にあふれている。戦争という時代背景のなか様々な所長や看守の姿も見ていておもしろい。
これからも何度も手にする本だと思う。
紙の本少女の器
2002/07/20 20:05
繊細な少女
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灰谷さんの小説のなかでも、個人的にすごく好きな本です。離婚した両親の元自分らしく生きる絣の存在がとてもいい感じです。自我が強く小生意気でありながらも、とても純粋でまっすぐでやさしくて、そんな絣にとても愛着がわきます。
灰谷健次郎の作品の中では異色の存在だと思います。ちょっとあったかくなりたいときによむといいと思いますよ。
紙の本昭和歌謡大全集
2002/07/19 14:44
笑える!
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何度も笑える本というのは、めったに出会えないのだけれども、この本はそういった本である。
20代半ばのぱっとしない男たちと“ミドリ会”という30代半ばのおばさんとの殺し合い。へんてこな顔の短大生も登場してとにかく笑ってしまう展開だ。
仲間が殺されたから復讐をする。うまい具合に警察にはつかまらない。へんな人たちの中でへんなことがさもありなんと描かれていて、これはすごいと思う。
紙の本ぼくは勉強ができない
2002/06/01 23:20
秀美のファンになるでしょう。
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完全に主人公秀美のファンになってしまいました。
周りがどうであれ、自分の気持ちに素直にそして率直に
気がつき、そしてそのとおりに行動を起こしていく。
自分に正直であるのと同時に、他人に対しても同じように
率直でいろいろな部分がみえてしまうのだろう。
秀美の家族への思いもかなりいい感じだ。
「過去はどんな内容にせよ、笑うことが出来るものよ。母親は、
いつも、そう言って、秀美を落ち着かせた。自分の現在は、常に
未来のためのものだ。彼はそう思った。」
こんな親子の関係は最高だと思う。ここぞというときに
さりげなく子供を支えられる母親、そして祖父。
そういう意味も含めてほんとに楽しく、読める本でした。
紙の本ハイジ
2002/04/02 15:58
こんな話だったか〜。
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携帯ストラップや、UFOキャッチャーなどいまだにあちこちに存在している、アルプスの少女「ハイジ」のキャラクターグッズをみて、思わず手にとってみたりしてしまうのですが、どうやって思い出しても、クララが立ち上がるところとハイジがブランコにのっている姿しか思い出せず、どんな話だったかと気になりせっかくなので本でよんでみることにしました。
読んでまずおどろいたのがハイジが縮れッ毛であるといこと。マンガであまりにも印象が出来上がってしまったので不思議な感じでした。
さて、話の内容ですが、読んでみてとても美しい話で感動しました。どこまでも人の気持ちを考えて行動に移そうとするハイジの姿、それをとりまく人々。ハイジの成長も見事ながら、そのハイジに関わった人の変わりようがすごい。おじいさんがだんだん人々にこころを開いていったり、おばあさんが生きる力を再び持ったり、クララが元気になったり、ペータもいろいろなことを学んでいきます。
作者のきれいな心と純粋さと信仰心と直に伝わってくる、感動を超える作品だと思います。子供もさることながら現代のおとなに、大人としてこの作品をよんで頂きたいと思いました。
紙の本今夜、すべてのバーで
2002/06/30 22:34
爽快アルコール中毒
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ある男性がアルコール中毒になり、倒れて入院生活を送る物語。アル中の治療ってことで、もちろん大変なことはわかるのだが、それでも他のアル中関連の話に比べて悲惨さがないので、意外にすんなり物語りにのめりこんでしまう。
主人公がさっぱりしていて、被害者意識をむき出しにしないことや、治療をたのしんでしまったりするところがそうさせているのだと思う。
同室の人の話のなかなか面白いが、担当医師である赤河とのやりとりは最高に面白いと思う。男性ならではの会話というものを感じるのは私だけであろうか。こういった会話ができるのがうらやましく思った。
それから、アクセントとしてとてもよく効いているとおもったのは、さやかの存在だ。最後に「きみがおれのアルコールだ」っていう台詞にはおもわず笑ってしまい、さやかと一緒に主人公の足を蹴りたい気分だった。そして最後の「今夜、紫煙けむるすべてのバーで。」というくだり。とても気に入っている。
こういった重い題材の物語なのに、最後まで爽快な気分で読ませてもらった。そういった意味でものすごい作品だと思う。
2002/11/06 07:29
あったかいピーコさん
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ファッション・チェックをはじめとしていろいろなTV番組に、明るくてはっきりものを言うキャラで登場するピーコさん。そのずばずばと言うのに、何か悪がない感じが個人的に好きなタレントさんだった。
それで、本屋でこの本を目にして読んでみることにした。読んでみたらとてもあったかい本だったのでかなりびっくりした。友人やおすぎや家族をすごく大事にする人であり、ものすごくあたたかい人であることがこの本を読めばすぐわかる。
TVで率直に物を言うのとおんなじで、あまりにも周りの人のことを率直にべたほめするので、こっちまではずかしくなってしまう文章もあるけれど、ピーコさんの生き様を感じることのできる本である。
それにしても、この本をよんでいると、ピーコさんのあのオネエ言葉のあの口調が浮かんできてしまうのがおもしろい。またこの本でもその物言いで、思わず微笑んでしまうところがある。
おすぎとピーコの仲のことを知ることができて、なぜだかほっとしている。これから2人がTVに出ているのをみたら、私は今までにまして応援しているだろう。
紙の本14
2002/07/20 19:53
SCHOOLKILL
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あの酒鬼薔薇聖斗事件をモデルにした小説。本当にあの事件の犯人はこう思っていたのではないだろうかと思ってしまうほど、著者の視点はすごい。
カズキの妄想の世界の友達BJ。彼との合体の姿が酒鬼薔薇聖斗だという。腐ったキャベツは処分しなくてはならないという。
あの事件の衝撃が大きかったのとともに、またしばらくたってこの本を読んでみて、やはりまた大きな衝撃を受けずにはいられない。
紙の本一瞬の夏 下
2002/07/06 16:39
私ノンフィクション
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カシアス内藤というボクサーのカムバックの話の下巻。作者の“私ノンフィクション”として書かれたものである。内藤の変化について書かれているのと、同時に、この主人公(作者)がボクシングという世界で、ボクサー、トレーナー、ジム、などの中で、生活を犠牲にしてまで、東洋タイトル戦を実現させようとする話が大きくかかれている。
ルポルタージュである作者が内藤のためにジムの移籍を手伝い、試合を組み、共にキャンプをはり、あらゆる手段を尽くす、その間には、様々な問題が生まれまさに男たちの情熱と苦闘の世界だと思う。
さらに、内藤が本当にボクサーとして納得できる最後をむかえることができるのかということにわくわくしながら読むことができた。