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わたしのBOOK MARK

-第22回-ポピンズ代表取締役社長 轟 麻衣子さん

本は、時に友となり、師となるもの。
人生の転機の支えとなった1冊とは?
時代を拓く注目のビジネスリーダーに聞く連載。
第22回は、先進的な乳幼児教育メソッドを取り入れたナーサリースクールやナニーサービスを全国展開するポピンズ代表取締役社長の轟麻衣子さんです。
文/宮本恵理子 撮影/竹井俊晴

「ありのままの私のスタイルでいい」
社長職を継ぐ覚悟を支えてくれた1冊

 子どもの頃から〝本の虫〞で、今でも早朝と夜、家族が寝ている静かな時間帯に読書を楽しむのが習慣です。原体験は、小さな子どもだった頃、現会長の母がたくさんの物語を読み聞かせてくれた温かな時間。毎週末、図書館で抱えきれないほどの本を借り、毎晩のように読み聞かせてくれました。

 母の読み聞かせは少し変わっていて、物語の途中でパタンと本を閉じ、「この続き、どうなるとあなたは思う?」と私に尋ねたり、悲しい結末を読んだ後に「でも実はね、こんな続きがきっとあるのよ」と空想を広げたり。幼い私はワクワクしながらイマジネーションを膨らませていましたが、視点次第でものごとの展開はいかようにも変わること、正解は一つではないことを自然と体得するような時間になっていたように思います。

『小公女セーラ』や『あしながおじさん』など、外国の物語に豊富に触れていたことで、12歳からの単身留学も前向きに踏み出せました。以来、25年に渡って海外生活が続きましたが、美しい日本語表現を大切にしたいという意識を持ち続けられたのも、きっと読書体験によるものです。今も夜の読書時間にめくりたくなるのは、『百年の孤独』(G・ガルシア=マルケス、新潮社)のような、繊細な文体の本。電子ブックも便利ですが、香りや手触りで癒やされる紙の本が大好きです。

 一方で、朝の出勤前に読むのは、エンジンがかかるようなシャープなビジネス書。中でも今の私を力強く支えてくれている1冊が、ハーバード・ビジネススクールのリンダ・A・ヒル教授による『ハーバード流 逆転のリーダーシップ』(日本経済新聞出版社)です。

調整力や聴く力を活かす新しいリーダーを目指す

 この本を手にしたのは、海外で金融やラグジュアリーアイテムの業界でキャリアを積んでいた私が、家業を継ぐことを本格的に意識し始めた頃でした。MBA時代にファミリービジネスの奥深さを学び、祖父母を介護した経験から「人をケアする事業」の社会的価値を実感した私は、2010年にポピンズに入社しました。

 しかしながら、初めて間近で接する母の強力なリーダーシップに圧倒され、「本当に私で務まるのだろうか」という不安にかられる日々。迷いと焦りの中、当社が10年以上に渡って共同研究をしていたご縁でハーバード大のヒル教授のことを知り、原著でこの本を読みました。

 書かれていたのは、従来のカリスマ型のリーダーシップとは異なる〝羊飼い型〞の新しいリーダーシップの提言。ピクサーなど名だたる企業の事例も交えて、異才が能力を発揮するためのサポートに徹する組織マネジメントの手法とその成果が分かりやすく書かれていました。

 読み進めながら、私は「あなたはあなたのままでいい」と認められ、満たされるような気がしました。単身での海外生活の中で磨かれた、周りの大人をいかに巻き込んでいくかという調整能力。そして、ものごとを推し進めるために欠かせない聴く力。相手が気持ちよく動けるように動機付けする力。自分が得意だと思えるそれらの力をこれからも使っていけばいいのだと、肩の力がスーッと抜けていきました。「自分らしくあることが、私の最大の仕事。私は私のスタイルで行こう」

 社長職を継ぐ覚悟を決めることができました。就任直前の2017年には、ハーバード大を訪ねてヒル教授に直接お話を伺う機会も得ました。母も同席する場で、世代交代におけるリーダーシップの継承について〝お墨付き〞をいただいたことは大きな励みになりました。

 既存の価値観にとらわれることなく、「こうあるべき」から解放されることが、個性を開花させ、可能性をどこまでも高めていく。これは、私たちが今力を入れている0歳から感性と能力を磨く教育「エデュケア」でも、第一に大切にしている姿勢。そして、私自身のリーダーシップにおいても、まさに〝自分ごと〞として捉え、現在進行形でチャレンジしている実践そのものなのです。

HISTORY

1976
東京都生まれ。ポピンズ創業者である母・中村紀子氏の背中を見て育つ。
1989
[12歳]イギリスに単身留学。高校卒業後はロンドン大学キングスカレッジに入学し、フランス留学も経験。
1998
[22歳]メリルリンチ・インターナショナル(ロンドン)に入社。
2002
[26歳]シャネル(東京・パリ)に入社し、マーケティングに携わる。
2005
[29歳]INSEAD大学院でMBA取得。
2006
[30歳]グラフ ダイヤモンド(ロンドン)を経て、デビアス ダイヤモンド ジュエラーズ(ロンドン)でマーケティングに従事。
2010
[34歳]ポピンズに顧問として入社。
2012
[36歳]同社取締役に就任。0歳からのグローバル教育を行うポピンズアクティブラーニングインターナショナルスクール代表理事を兼務。

☆ここで『ハーバード流 逆転のリーダーシップ』に出会った

2018
[42歳]同社代表取締役社長に就任。直営の「ナーサリースクール」は全国210カ所以上で展開し、業界初の「副業・兼業制度」を導入する。
ナニー(ベビーシッター)サービス最大手。ナーサリースクール(保育園)と学童を含め300園を運営へ。

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