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わたしのBOOK MARK

-第26回-ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手直行さん

本は、時に友となり、師となるもの。
人生の転機の支えとなった1冊とは?
時代を拓く注目のビジネスリーダーに聞く連載。
第26回は、クラフトビール「よなよなエール」が大人気!ヤッホーブルーイング代表取締役社長の井手直行さんです。
文/宮本恵理子 撮影/竹井俊晴

もてはやされ、〝天狗〞になりかけていた3年前
ポキッと鼻を折ってくれた「成長の先の進化」指南書

 当社は長野県・軽井沢に本社を置くクラフトビールを醸造・販売するメーカーです。「よなよなエール」という製品名で、ピンと来る方もいらっしゃるかもしれません。

 僕たちは「ビールを通じて世界平和に貢献したい!」と本気で思っています。お客さんが本当に喜んでくださる価値を提供するには、社員が幸せに楽しく働ける会社であることが不可欠。一時は伸び悩む時期に耐えながらも、チームビルディング(組織づくり)に注力した結果、14期連続増収増益という結果を出せるまでになりました。

 ここ5年ほどは「どうしたらヤッホーさんみたいな明るい企業文化がつくれるんですか?といった取材や講演の依頼も増え、社長である僕はちょっと〝天狗〞になりかけていたのかもしれません。社員や会社を誇りに思う気持ちは揺るぎないのですが、謙虚に自らを問う姿勢が欠けていました。そんな僕の伸びかけた鼻を、ポキッと気持ちよく折ってくれた本。『ザッポスの奇跡』(石塚しのぶ、廣済堂出版)は、まさにそんな1冊でした。

 手に取ったきっかけは、3年ほど前、登壇の機会をいただいたイベントで著者の石塚さんとご一緒したこと。アメリカ在住の経営コンサルタントである石塚さんは、大企業を凌ぐ中小企業の成功事例を集めては取材する活動をなさっていました。

 本のタイトルにある「ザッポス」とは、ネット通販で靴を販売するアメリカの会社。小規模ながら、熱狂的なファンをつくる独自の戦略で急成長を遂げた軌跡については、僕もなんとなく知ってはいました。しかし、心のどこかで「うちも負けてはいないだろう」という慢心があり、本を読むまでに至っていなかったのです

「ザッポスが似てきた」と言われるくらいの会社へ

 後日、石塚さんに軽井沢の本社までお越しいただいた後、自分たちの社風を褒めてもらったことに気を良くした僕は、あらためて本書をめくり、驚愕しました。「お客さんの長電話に7時間半も対応した?靴の会社なのに、ピザの問い合わせにまで対応する?競合他社の商品を薦める?そこまでやるのか!」。そこに書かれていたのは、想像を超える顧客満足事例の数々でした。ザッポスでは、顧客を喜ばせるレベルを超えた「WOW!」と驚かせるレベルのサービスを追求している。トップのトニー・シェイ氏が非常に謙虚な姿勢であることも響きました。「うちはまだまだだ…」。満足しかけていた自分が恥ずかしくなり、すぐに社内の希望者全員にこの本を配りました。そして翌2017年に「ザッポスター」(ザッポスと、マーケティング理論で使われる「ランチェスター戦略」を掛け合わせた造語)、翌18年には「大胆にザッポスター」というビジョンを打ち出して、「僕らもザッポスのような会社を目指そう!」と共通目標を掲げました。

 以来、社員の行動は明らかに変わっていきました。「こんな姿を目指せばいい」という明確な指針を得られたことで、もともと高いと言われていた社員の熱量がさらに上がったような気がします。「いつか『ザッポスはヤッホーブルーイングに似てきたね』と勘違いされるくらいになろう」と、今でも取り組みは継続中です。

 この本が象徴的な一例ですが、僕の読書はアウトプット型、アクション型なのかもしれませんね。「すごい!」と心底共感できる本はとことん読み込んで自分自身に染み込ませ、会社全体に広めていく。ただし、どんな本でもいいわけではなく、僕たちがビールを通じて目指したい世界観と固く一致する本であることが必須。流行りものにすぐに飛びつくようでは、経営者としての軸がブレてしまいます。

 そういえば、あれこれとよそ見をせずに一途に夢中になるクセは、子ども時代の読書から。「面白い!」と没頭した本があれば、その作者の著作を全部買って繰り返し読む。横溝正史さんやアーサー・コナン・ドイル、三浦綾子さんの本はほぼ読破して、今も実家の本棚に置かれています。勉強の参考書も各教科1冊ずつと決めて、反復学習をしたタイプでしたね。「なんだ、あの頃と全然変わっていないな」と、今気づきました(笑)。

HISTORY

1967
福岡県生まれ。
1987
[20歳]久留米高専卒業後、大手電機メーカーに入社。その後、バイク旅を経て、軽井沢の広告代理店の営業職に。
1997
[30歳]創業期のヤッホーブルーイングに入社。営業担当となるも、地ビールブーム終焉後の赤字に苦しむ。
2004
[37歳]ネット通販を推進し、V字回復を遂げる。以降、14期連続増収増益を記録する。
2008
[41歳]同社の社長に就任。主力の「よなよなエール」ほか「水曜日のネコ」「僕ビール、君ビール。」などを投入し、クラフトビールシェアトップに。
2014
[47歳]大規模ファンイベント「よなよなエールの超宴」を始める。

☆ここで『ザッポスの奇跡』に出会った

2018
[51歳]ビールを通じてチームを活性化させる「チームビールディング」プロジェクトを推進。カードゲーム「無礼講ースター(ぶれいこーすたー)」を発売。

honto+5月号読者プレゼント~わたしのBOOKMARK掲載「クラフトビールはじめてセット(4種6缶)」
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