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わたしのBOOK MARK

-第9回-A.T. カーニー 日本法人会長 梅澤高明さん

本は、時に友となり、師となるもの。
人生の転機の支えとなった1冊とは?
時代を拓く注目のビジネスリーダーに聞く連載。
第9 回は、日米で20年に渡って戦略・組織・マーケティングのコンサルタントとして活躍する
A.T. カーニー日本法人会長の梅澤高明さんです。
文/宮本恵理子 撮影/竹井俊晴

経営戦略のプロとして、まだやることはある自ら省みる心を思い出させてくれる1 冊

自動車メーカーに勤めた後、アメリカでMBAを取得し、そのままコンサルティング会社、A.T.カーニーに入社。4年ほど米企業の経営戦略に携わり、1999年に帰国しました。その頃、日本の大企業の多くはバブル崩壊後の経営改革を迫られ、「選択と集中」という言葉が盛んに言われていました。

これを解決するまでは仕事をしたとは言えない

不採算事業を抱え、未来への方向性を見直すためにどんなアプローチが必要なのか。日本企業のコンサルティングを初めて手がけることになった私は、日本企業の経営や組織論について書かれた本をひと通り読み通す作業から着手しました。その過程で出会い、最も強烈なインパクトを受けたのがこの『失敗の本質』でした。野中郁次郎らの研究班によって1991年に刊行されたこの本は、大東亜戦争において敗北に至った日本軍の組織的・戦略的失敗の原因について分析し、まとめた研究書です。

軍隊と企業は非なるものであり、「同じことが企業にも言える」という記述は一文も見当たりません。しかしながら、私はまさにこの本で指摘されている失敗の本質こそ、大企業病に陥った日本企業が抱えている問題の根深さを言い当てていると感じたのです。「あいまいな戦略目的」「短期決戦の戦略思考」「人的ネットワーク偏重の組織構造」といった項目を読み進めながら、『「空気」の研究』(山本七平)を読んだ時の感動にも近い共感を抱きました。
 日本の組織が抱える課題は、60年前から変わっていなかったのかということが衝撃であり、「この問題を解決に導けるまでは、仕事をしたとは言えない」と身が引き締まる思いがしました。この課題を解決するには、合理的な意思決定を促すプロセスの埋め込み、そのプロセスを運用できる人材の育成、そして組織内のダイバーシティが必要です。同質なムラ社会は、組織内の「空気」に流されがちだからです。MBA時代も含めて経営書は飽きるほど読んできた僕ですが、この本を開くと初心に返る気持ちになれます。

10年おき3度目の三島由紀夫『豊饒の海』

仕事柄、経営に関する本はよく読みますし、最近では『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周)を面白く読みました。グーグルやアップルなど、世界を席巻する企業が「どんな世の中をつくりたいか」という美意識に基づいて意思決定しているということが書かれています。ここ数年、力を入れている「クールジャパン」や「NEXTOKYO プロジェクト」の活動を通じて、世界に対して日本のコンテンツをどう魅力的に売り出していくべきかというテーマを考える機会も増えました。
 あらためて再評価したいのは、実写版の映画化も話題になった『攻殻機動隊』(士郎正宗)。ネットワークや人工知能の発展と人類との共生のあり方を25年以上前から描いていたという、骨太でイノベーティブな作品です。イーロン・マスク氏を始めとする、米西海岸系メガベンチャーの創業者たちが影響を受けたと言われています。
 純粋なリフレッシュとして手に取るのは小説です。僕は気が短いので(笑)、強い引力を持つ物語でなければ読了できません。最近、休暇先でまとめて読んだのは村上春樹の『騎士団長殺し』と、三島由紀夫の『豊饒の海』四部作。三島由紀夫のほうは10年おきくらいに読みたくなって3回目。アバンギャルドで壮大で、かつ鮮烈な美意識が貫かれているところが好きです。バスタイムや旅先のプールサイドでゆっくりと読みます。
気軽にリンク先に寄り道できるネットのコンテンツも便利です。しかし、本の魅力は筆者がつくった筋書きという一本道を楽しめること。最後まで付き合いたくなる良書に出会えるとうれしくなりますね。

HISTORY

1986
東京都に生まれる。
1994
[24歳] 東京大学法学部卒業後、日産自動車に入社。
1995
[33歳] 米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。コンサルティング会社A.T. カーニーのニューヨークオフィスに入社する。
1999
[37歳] 同社の東京オフィス(日本法人)に異動。
2007
[45歳] パートナーを経て、日本法人代表に就任。
2012
[50歳]本社取締役に就任。「クールジャパン機構」発足の構想を提案、翌年に実現。
2014
[52歳]日本法人会長に就任。東京を世界一魅力的な都市にするための活動「NEXTOKYO プロジェクト」を発足。イノベーションやデザインなどの政策立案でも政府を支援する。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターとしても活躍。

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