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池袋徒歩圏内 山田由梨

目白ジャスミンティー【第三話①】

前回までのあらすじ
つなぎのつもりが、もう9ヶ月働いている「喫茶メルボルン」は、家から歩いて10分くらいの目白駅を越えた向こうにある。マキは、前の晩に泣いて腫れてしまった瞼について常連客に聞かれるだろうと、重い気持ちで店に着く。すると、そこには店長の明美さんと、今日から働き始めるという女の子がいた。シエちゃんという大学生のその子は、グレーのメッシュが入った黒のロングヘアで、肌が白くて目は一重で細い。店長は、「旦那が倒れた」と店を早退してしまい、残されたマキたちは、ふたりで店番をすることになった。

撮影:石田真澄

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 閉店の時間になっても、明美さんは帰ってこなかった。このまま勝手に店を閉めていいのかどうか迷ったのだが、そうする他なかったので、閉店の準備をすることにした。

「初日だったのに、大変だったね」

そう言うと、シエちゃんは、

「はい。でも結構暇でしたね、いつもこんな感じですか?」

と、聞いてきた。

「まあ、こんな感じ。土日は、もうちょっと人くるかな」

 ドアのOPENの札をCLOSEにひっくり返しながら、シエちゃんは「へえ~」とどうでもよさそうに応えた。

 今日は、そんなに忙しくなかったものの、断続的に客が来て、それでもシエちゃんは慌てたりせず自分のやれることを自然にやっていた。頭のいい子なんだなと思った。

「レジは、いつもお金数えて、この紙に数書いて、大きいお金は明美さんが持ってくんだけど、今日はわかんないから、このままにしていく」

 と、教えていたら、「はーい」と返事をしながら窓の外を見て、「明美さん大丈夫かな」とつぶやいた。

【プロフィール】

山田由梨(やまだ・ゆり)
劇作家・演出家・俳優。アプレ所属。劇団 贅沢貧乏主宰。2012年に劇団を旗揚げし、全ての作品のプロデュース・劇作・演出を手がける。また、映画やCM等に俳優として出演する傍ら、雑誌へのエッセイ寄稿なども行う。

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