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連続インタビュー<クリエイターズ・ファイル>

Creative Works Interview19 Guest House「deco pon」オーナー
海外向けサイト「にっぽん文化 COCO-E・TOCO.com(ココイイトコ)」企画運営
ラルフ・ボーデン&万紀子ボーデン

トップクリエイターに密着し、その姿を追うシリーズ。今回は北欧から熊本県上天草市へ移住して活躍する「奇跡の夫婦」を直撃した。

*クリエイターズ・ファイルの単行本が発売されました。
クリエイターズ・ファイルVol.1
2016年9月20日発売。価格1,400円+税(DVD付き)
詳細はこちら。

撮影:浅田政志↑<移住した人>「私、ただ好きで住んでいるだけ、そしてほかの人に上天草のよさ、ただ広めているだけ。」─ ラルフ・ボーデン 北欧出身 48歳
<地元出身>「上天草の良いところは挙げると切りがないけれど、一番はここに流れるゆったりした時間かな」─ 万紀子ボーデン 上天草市出身 60歳

At the city hall

―熊本県上天草市に来ています。こちらは市役所2階の市長室前。一人の人物が上天草市長に表彰を受けると耳にして待機中です。
(受付の職員に)「すみません、私、ラルフ・ボーデンと、いいます。市長に呼ばれて、来ました。ここに来るはOKですか?」
職員「はい、大丈夫ですよ(笑)。ボーデンさん、お待ちしておりました。どうぞ」
ボーデン「ここ市長室ね! いちばん偉い人の部屋。私、ここに入れるですか。すごいことです」
―そこで市長と対面するボーデンさん。
上天草市長「ようこそボーデンさん。私、上天草市長の堀江隆臣です。今日は北欧から上天草へ移住して5年間、この土地のよさを発信してくれているボーデンさんを表彰させてもらいたくて、お越しいただきました」
ボーデン「ありがとうございます。うれしいね。私は北欧の人間です。表彰されるはすごいこと。私はここが好きで住んでいるだけ。みんなに、外国に人に上天草のよさ、広めるは当たり前。うれしい、ありがとうございます」
―ボーデンさん、おめでとうございます。
「うれしいですね。私の最愛の妻、マキに感謝ね。マキのところへ来ますか? あなた来るは大丈夫ですか?」
―ぜひお邪魔させてください。
「では、ゲストハウスへ。でも、うち、妻のマキいる。あなた、マキは大丈夫ですか?」
―大丈夫ですよ(笑)。

↑「deco pon」名物フォカッチャはボーデンさんの自信作

At their guest house

―市内の高台まで来ました。海を望む最高のロケーションですね。
ボーデン「どうぞどうぞ。きれいでしょ? 最高ね。今すぐ、マキ呼びますから。みなさん、全員、マキは大丈夫ですか?」
―大丈夫です(笑)。
万紀子「いらっしゃいませ。妻の万紀子ボーデンです。遠かったでしょう? みなさんは、私マキは大丈夫ですか?」
―大丈夫です(笑)。
万紀子「私たち二人は夫婦で、ゲストハウス『deco pon』を営んでいます。ラルフの言葉は大丈夫ですか? ちんぷんかんぷんでしょ(笑)?なかなか覚えてくれなくて」
―大丈夫ですよ(笑)。ラルフさんが、本当に日本人より日本が好きだという感じが伝わってきます。
ボーデン「うれしいね。日本大好きね。上天草、ナンバーワンだから」
―こちらでゲストハウスを始めた経緯は?
ボーデン「私はノースヨーロッパ出身で、昔、バックパッカーやってたね。世界中回る、日本気に入ったね、2回目に日本来たとき、たまたま上天草に来て、感動したね。忘れないね。すごくビューティフル。こんなこと言いたくないけど、他より頭一つ二つ抜きんでてたね。旅、ここで終わり。『ここに決めた!』と思ったね。だって、ここは他の場所より確実に頭一つ二つ抜きんでてた思います」

↑万紀子さんは多くの移住の相談も受けるという

万紀子「そのころ私と出会ったのよね(笑)」
ボーデン「恥ずかしい。言わなくていい」
万紀子「いいじゃない、そこまで照れなくても」
ボーデン「ドルフィンツアーだったね」
―ドルフィンツアー?
ボーデン「そう。私バックパッカーね。世界回るね。途中、ここ寄るね。ドルフィンツアー申し込むね。マキ、ガイドする女ね」
万紀子「よく覚えていること(笑)」
ボーデン「みんなイルカ見るじゃない。けど、私、ずっとマキ見てるね(笑)。
イルカを見るのは癒しね。けど、私にはマキ、一番のセラピーね。マキ、他の日本人の中では頭一つ二つ確実に抜きん出てたね」
万紀子「余計なこと言わなくていいから。私は生まれも育ちも上天草。若いころは東京に出て、歌舞伎町の「Vゾーン」や六本木の「バイオレット」でポールダンスをやったりしていたんですよ。三軒茶屋ってところに住んでたの。けど、限界がきたの。水が合わないのね。あと、空気が合わない。なんといっても、人が合わない。ウマが合わない。もう無理ってなったの。その夜、ポールを持って夜行列車に乗っていました。上天草に戻ってすぐに畑で品種改良をやりました」
―やっぱり地元が恋しくなったのですね?
万紀子「今更ですが、本当に食材の宝庫なんです。デコポンは有名ですが、柑橘系なんかは他にも数え切れない種類があるんです。オリジナルのパコポン、キンポン、あと、ポンポン、まあとにかく色々」
―そのあとはどうされたのですか?

↑海も景色も綺麗だが、一番見たいのは今もマキさんだという

万紀子「いつも知り合いに相談に行っていたの。昔から知っているイルカたち。彼らが海にいて、『ポールダンスはなんせ大変だったの』といった私のグチ聞いて理解してくれるくらい仲良しだったから。その流れで私はドルフィンツアーガイドを始めました。その時に海外からやってきたへんてこりんなお客さん、それが、この人、ね(笑)」
ボーデン「へんじゃないよ(笑)」
万紀子「忘れもしません。子供っぽいというか、優しい獣っぽいというか。まっすぐな目をしてる人が船に乗ってきたもんだなあって。で、プロポーズをしてきたんだよね?」
ボーデン「ここで一緒にペンションするはダメですか、とマキに伝えたね。マキ、OKしてくれたから、中古の家を買ったね。全部自分でゲストハウス作ったね。私思ったね。一緒にホテルを経営していれば、ずっとマキと一緒にいられるから(笑)。恥ずかしいね」
万紀子「恥ずかしがる年でもないじゃない(笑)」
―ボーデンさん、上天草で一番のおススメは何ですか?
ボーデン「やっぱり、マキね。やっぱりマキは日本人の女性の中でも本当に頭一つ二つ抜きんでていると思うから」
万紀子「それって、他にも比べる女がいるってこと?」
(一同)「ははは」
―マキさんのどこに一番惹かれているんですか?
ボーデン「口。マキの口、ナンバーワン」
万紀子「もっと色々他にあるじゃない」
ボーデン「でも、マキの口、圧倒的に頭一つ二つ抜きんでている」
万紀子「何言ってるんだか。すみませんね」
―仲いいですね。では、マキさんのおススメは?
万紀子「美しい海、そこでとれる海の幸に、山の幸。挙げると切りがないけれど、一番はここに流れるゆったりした時間かな。だからラルフはいつも、ゲストハウスに来た人の腕時計を没収して草むらに投げ捨てるんです。ゲストハウスの中に時計は一切ありません。風の具合や太陽の位置で、ゲストに時間を感じてもらうのです。もちろん私たちもそう。だから、今が何月なのかもよくわからないの。6月くらい?」
―いえ、9月です。
万紀子「あっ、もうパンが焼けますよ」

In the dinig room

―万紀子さんはラルフさんのどんなところに惹かれているのでしょう。
万紀子「やっぱり、私の故郷を愛してくれているところかな。知らない国で、こうして生活していくって、よほどの覚悟がないとできないことでしょう?」
―このゲストハウスでボーデンさんが一番力を入れていることは何ですか?
ボーデン「食事ね。料理、私が全部作る。魚も自分でさばく、覚えたね。この辺りの海の幸、日本の中でもやっぱり頭一つ二つ抜きん出ている。ハモ、車エビ、最高ね。天草大王、とてもジューシーね。少し、食べてみますか?」
―いただきます。
ボーデン「マキ、料理を運んでくれ。……マキ! あれっ、マキ見なかった?」
―いえ。お手洗いじゃないですか。
ボーデン「そうだったらいいんだけど……マキ! マキ! マキ─ !!  どこ? マキの口、ナンバーワン!」
―マキさんは絶対に必要なんですね。

↑表彰状授与式にて。上天草市長・堀江氏もボーデン氏の功績は大きいという

↑ゲストハウスが休みの日は地元の海運業で生計を立てる

↑ボーデンさんの周りにはいつも子どもたちが集まるという

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