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連続インタビュー<クリエイターズ・ファイル>

Creative Works Interview22 ストリート・カルチャー・スーパーバイザー
鷲尾ケイゴ (50歳)

世の中を変えるクリエイターを紹介するインタビューシリーズに、日本のカルチャーを刷新した人物が登場!

*クリエイターズ・ファイルの単行本が発売されました。
クリエイターズ・ファイルVol.1
2016年9月20日発売。価格1,400円+税(DVD付き)
詳細はこちら。

撮影:池田晶紀

STREET 1.

―原宿に来ています。原宿、ストリート全般の若者から絶大なる支持を得て、「原宿の兄」と呼ばれる人物を探して、スケートボードショップ「arktz」を覗くと、店長ヨウジさんと談笑している鷲尾の姿があった。
 どうなの、最近。なんかおもしろいことやってる? 
ヨウジ どうっすかねー。おもしろいアイテムはちょくちょく入れてますけど。
 いいね。おもしろいことバンバンやってかなくちゃダメだよ。
ヨウジ そうっすね。鷲さんに言っていただけると気が引き締まります(笑)。
 そう最近、街、元気ある? ストリート。
ヨウジ もっとがんばんなきゃですけどね。
 だよねー。ストリートはエネルギーに溢れてないとね。
ヨウジ そうなんですよね。
―お話し中に失礼します。仕事の打ち合わせ中ですか?
 いやいや、後輩の店なんですけど、ちょっと立ち寄ったというか。情報収集というか。街やカルチャーのこと知っておかないと、すぐ流行りなんて変わっちゃうもんなんですよ。本当にあっという間。速いですよ、若者が冷めるスピードなんて(笑)。
ヨウジ 確かに(笑)。
 今は20年くらい前の流行の波がまた来ている感じで。まだ先は読めない。とにかく、ストリートの情報収集を含め、こうして店には平均4〜5時間はいるかもです。とはいっても、後輩の悩み事や愚痴聞いてあげるのがほとんどなのかもですね。
ヨウジ バレてました(笑)。けどストリートの相談は鷲さんにするのが最善のストリート・アンサーですもんね。
―ストリート・カルチャー・スーパーバイザーとはどのようなお仕事なのですか?
 自分で決めたんじゃないんだけど、勝手にさせられたっていうか。もともとストリートの原型をアメリカから根こそぎ持ってきたのが僕と竹下ユーキ(51)、裏田修(53)の3人なんですよ。このメンバー聞いただけで、やりすぎでしょ(笑)? 容赦する奴がいないっていうか(笑)。けど、本当にあの頃は日本にも原宿にもストリートなんて言葉は存在しなかったんです。それで、いつもつるんでたこの3人でまったく容赦なし、やりすぎだろ、っていうくらいアメリカから根こそぎストリートを日本に運んできたんです。
―根こそぎですか? それはアメリカのストリートで流行っている服やスポーツや遊びなどですか?
 それくらいだったら全然許してもらえたんだろうけど、あの頃はもう根こそぎだったね。アメリカの奴らはずいぶん嫉妬していました。「これじゃこっちに何も残らないじゃないか!」って。忘れもしません、LAの空港でたまたま目があったアメリカ人が僕らに向かって「嘘だろ、そんなに根こそぎ持ってくのか!」と叫んだほどです。もちろん英語でしたけど。
―なるほど、そんなに凄かったのですね。
 なので、運んできた以上、僕はストリートを守らなきゃいけないし、育てなきゃいけない。「原宿の兄」というより、自分では「原宿の管理人」って感じかな。そりゃもちろん、竹下も竹下通りを作ったわけだし、裏田は裏原宿を作ったわけだし。それぞれ、責任はしょってると思いますよ。

↑「SURKU CAFE」の宮田さんと談笑

↑BMX はできるだけ今でも技を練習するようにしている

STREET 2.

―原宿の裏通り、いわゆる「裏原」を歩いています。この競技用自転車のBMXはいつも愛用しているんですか?
 いやいや、BMXは最初に持ち込んだのが自分だったんで、やはり責任感というか。他にも、スケボー、キックボード、最近だったらセグウェイだったり。ストリートには心をくすぐる乗り物がいっぱいあるんですよ。僕らがスケボーをアメリカではじめて見た頃は、まだ台車のようなものだったんですよ。それを何分割かにして日本に運んだら今の形になったというか。
(通りかかった男性が) 鷲さん、この間ありがとうございました。
 おお、シュウゴ。おもしろいことやってる? っていうかやってるか。その顔を見りゃ、わかるよ。
二人 ハハハハハハ。
 オーナーによろしく伝えてな。
シュウゴ ういっす。
―取材をしているだけでも、鷲尾が若い世代に慕われていることがわかる。現にこの数分で5、6人のショップ店員であろう若者がひっきりなしに鷲尾に声をかけてくる。それに鷲尾が応える。若者は少し楽になった表情でその場を後にする。いかに彼がすごいかがわかる。
 そんな鷲尾に聞いてみた。今の原宿は?
 よくできた街だと思うよ。昔この辺りは浄水場で、その跡地で何かできないかと、たまたまいただいたスペースで4軒ほど古着屋を始めたんです。その4軒が月日を重ねてここまで増えた。本当に成長したなとしみじみ思います。
―原宿をはじめ日本のストリートはどう成長してほしいですか?
 ファッションや遊びだけがストリートじゃないって僕は思うのね。からあげクンや石焼き芋、食べ物だってストリートなわけだし。ストリート・ミュージシャンなど街でパフォーマンスや生活をやってる奴らはみんなストリートなわけです。そんなみんなが共存できるような究極のストリートを僕は作りたい。わからないけど、薬局やクリーニング屋さん、整骨院なんかもある、そんなバランスのいいストリートが屋根つきであったら日本は最高なんだけどね。

↑「arktz」のヨウジさんと談笑

↑昔浄水場だった一帯を見つめる鷲尾

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