書店 通販 電子書籍のハイブリッド総合書店 honto official magazine『hotno+plus』 ホントプラスweb版

連続インタビュー<クリエイターズ・ファイル>

Creative Works Interview33アート・プロジェクション・マッピンガー
友田マサヒ(39)

クリエイティブの源泉に迫る当連載、今回は光を自在に操る気鋭のクリエイターに密着する。

撮影=青山裕企

STAGE1

――大手音楽事務所ロアーズレコードの会議室にお邪魔した。そこには、一流ミュージシャンがステージ照明においてこぞって依頼する人物がいた。口数少ない全身黒ずくめ、あご髭、細身の男、友田マサヒだ。舞台やコンサートの照明といえど、彼はプロジェクション・マッピングに特化した職人である。自らをプロジェクション・マッピンガーと位置づけ、活動している。

 今回も人気ガールズ・エレキ・ユニットGAMU☆SHIROの全国ツアーの照明を監修しているという。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「今回はGAMU☆SHIROにとっても10周年のツアーということで、いつもとは違うものにしたかったんです。
もともと、友田マサヒさんとは、〈下高井戸ゲンゲンボーイズ〉、〈ザ・ポパイ〉のプロデュースでご一緒していました。その時から友田さんのマッピンガーとしての演出に感化されまくっていた自分がいまして(笑)。
やはり、GAMU☆SHIRO10周年となった時に、照明は友田さんしかいないだろうという感じです」
(プロデューサー・羽根木シンスケ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――それについて友田さん、いかがですか?

友田 「無謀なスケジュールだなって思いました(笑)。やるのは全然いいんですけど、僕、宿題時間かかるタイプなんすよ、昔から。しかも、全国11ヵ所回るって聞いて、僕、ちゃんとついていけるのかって(笑)」

――えっ、そっちの心配ですか?

友田 「僕ね、ほんと出不精なんです。照明やってて、散々、光をいじってるくせして、太陽の光が苦手なんです(笑)。というか、完全夜型人間です」

――朝苦手だったり?

友田 「苦手です(笑)。けど、GAMU☆SHIROに関しては、前々からどっかで仕事やりたいなって思ってまして」

GAMU☆SHIRO ・NENE 「めちゃくちゃうれしいです。MIKOTOと10周年は絶対特別な演出にしたいねって言ってたんです」

GAMU☆SHIRO・MIKOTO 「最先端のプロジェクション・マッピングはぜひ入れていただきたいなって。友田さんに全てお任せします」

友田 「まあ僕はそのあたりが専門なんだけど、プロジェクション・マッピングといってもいろいろある。メディアで見かけるのなんてほんの一部。二人にとってどんなプロジェクションがいいか考えます。ごめんね、宿題遅いけど(笑)」

――今回のプランで、現段階で考えていることはありますか?

友田 「僕の中でGAMU☆SHIROの曲といえば、『キツネロック』なんですよ。なんかその辺からヒントを広げたりできたらなって。まだ漠然としてますが、彼女たちも10周年、やっと基本を1周回ったくらい、という意味では、ハイテクにこだわりすぎず、プロジェクション・マッピングの原点のような演出を混ぜるのもいいかなって。いや、漠然とですけど(笑)」

――なるほど。

↑若いアーティストたちが、プロジェクション・マッピングを取り入れることは多くなってきている

↑ハイテクすぎることを非常に嫌う友田氏。プロジェクション・マッピングの原点は何かを考える

STAGE2

――そんな友田さんのご自宅にお邪魔した。家でも仕事に没頭してしまうという。

友田 「夜は家にこもってずっと作業しています。24時間同じ場所に座って、飲まず食わずで作業していることもありますね。特に、冬は家から一歩も出ないです。寒いでしょ(笑)。作業といっても、GAMU☆SHIROステージ以外にも、他にいろいろ宿題が多くて。今、もう一つ大きなプロジェクトの依頼があって、大変なんです」

――どのようなプロジェクトかお伺いしてもよろしいですか。

友田 「浅利製薬メディカルケーションの東京本社ビルのクリスマス・キャンペーンをお任せいただいて、社の20周年に本社ビルをプロジェクション・マッピングしたいという発注なんです。クリスマスは光が一年で最もがんばる時期。僕が手がける以上、他のイルミネーションに負けるわけにはいかないんです。ただ、そうやってクリスマスを僕なりに表現しようかなって、全力で模索しています」

――友田演出のビルがどのように街に溶け込むのか、楽しみだ。

↑余計なものは一切ない友田氏の自宅。トレードマークのニット帽は、恩師・大津行巳(おおつ いくみ)氏からのプレゼントだという。

STAGE3

――12月。GAMU☆SHIROツアー初日。TOKYO。映像コントロールブース。トランシーバーで指示を飛ばす友田。

友田 「ネットワーク1、いかがでしょうか」
ネットワーク1 「オーケーです」
友田 「ネットワーク8、数値下がってる。調整して」
ネットワーク8 「確認します」
友田 「ネットワーク13、残り何分?」
ネットワーク13 「あと3分で開演します」

――いつも通りクールで落ち着いた友田の声が響いた。

友田 「本番行きまーす、全体よろしくです」

――ドームに「キツネロック」のイントロが響きわたる。会場はものすごい歓声に包まれ、幻想的な光がステージを包み、GAMU☆SHIROの二人の姿が浮かび上がった。するとそこにはシンプルに懐中電灯で照らされるだけの二人がいた。それだけでも、驚いた私たちに、さらにキツネの影が追い打ちをかけた。私たちは、これこそ本当のプロジェクション・マッピングなのかもしれないと気づかされた。

↑最先端のプロジェクション・マッピングは、懐中電灯だという答えを導き出した友田氏。コンサートの反響もやはり、懐中電灯についてが一番大きかった

STAGE4

―――大成功を収めたGAMU☆SHIROのツアー初日から一週間後、友田さんの姿は浅利製薬東京本社ビルの前にあった。友田さんの点灯カウントダウンの声が響く

友田「10、9、……3、2、1、点灯! メリークリスマス!」

――オフィスのすべての窓を使って、緑色に輝くツリーが出現した。浅利製薬にとって最高のクリスマスプレゼントになったに違いない。

↑2017年浅利製薬クリスマス・キャンペーン。多くの若い女性がSNSで拡散し、大成功となった

他のバックナンバーを読みたい方はこちら

honto+(ホントプラス)トップページへ

最新号はこちら

★honto+読者限定!
電子書籍クーポン特典つき★

honto+

honto+とは

毎月第1木曜日に発行しているhontoのオフィシャルマガジンです。

ハイブリッド型書店サービスhontoの便利な利用方法や、honto提携書店である丸善、ジュンク堂書店、文教堂の書店員がオススメする書籍の紹介、阿部和重、伊藤比呂美など人気作家のコラムなど、書き下ろし作品を多数収録しています。

紙版はhontoポイントサービス実施店舗で配布、電子版はhonto電子書籍ストアで配信しています。

東京ポッド許可局 『推薦図書論』

  • 東京ポッド許可局 『推薦図書論』

たまむすび『代読芸人・おりしま1ページ』

  • たまむすび『代読芸人・おりしま1ページ』

中川翔子のポップカルチャーラボ

  • 中川翔子のポップカルチャーラボ

クリエイターズ・ファイル祭 開催!