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連続インタビュー<クリエイターズ・ファイル>

Creative Works Interview 56 童謡詩人
石丸ツワノ いしまる つわの(1840-1925)

大正時代を代表する作詞家のひとりである石丸ツワノ。
日本の故郷をうたったツワノの作品は今なお日本人の心に響き続けている。
彼女の代表作や新たに見つかった詩を集めた「石丸ツワノの世界展」が、いよいよ開催された。
様々な年代のファンが多く集まる展覧会の模様をレポートする。

撮影:井上佐由紀

真っ赤っか

真っ赤っか 真っ赤っか
夕焼け似とる 赤身がええ
けちんぼしとるとちがうんほ
上も特上もそりゃご馳走けんど
上も特上も一切れほおばりゃ
じゅうぶんほ
赤身 赤身 赤身 赤身
そんな風に我はなりたくない ほっ

 この『真っ赤っか』という詩うたは、筆者の心にも深く根付いている。松江に住む祖母が昔、何度も何度も歌っていた。作詞したのはもちろん、石丸ツワノだ。

 1840年に高崎に生まれ、永眠する85歳まで生涯作詞活動を続けたと言われるツワノは、くだんの『真っ赤っか』をはじめ、『いぬき』、『面倒こいた』、『まんまる』、そして代表作である『もろもろ』など、日本の心を、情念や感傷とは一定の距離を置きつつ軽快に歌った数々の名作を残してきた。大正期にもっとも活躍した日本人のひとりであり、いまでも世代を問わず親しまれていることはもちろん、童謡、校歌、南ヨークシャー民謡『おどろうカンデロリラ』と、その多岐にわたる作詩活動は現在でも語り継がれるところだ。

もろもろ

もろもろ大丈夫でしょうか
おそらく大丈夫でしょう
とはいえ心配です
ふわっと話はきいています
あすまである程度の方向性はかためます
とはいえ日にちが日にちです
そう思ふとどんぐりが風で落ちむ ほっ

ツワノの創る詩は情景、表現、言葉すべてに優しさが溢れている。それこそがツワノの性格そのものなのかもしれない

いぬき

ほっ。もとはなんじゃ
ほっ。もともとなんじゃ
いぬきやいぬき
今はクリーニング屋さんじゃけど
いぬきやいぬき
いぬき
いぬき
なんのいぬきや
看板の余韻
内装の余韻
塗装の余韻
いぬき
いぬき
きっとコンビニのいぬきじゃ ほっ

 そんな石丸ツワノの回顧展「石丸ツワノの世界展」が、この度、東京古典美品館で開催されている。

老若男女のお客様がツワノの世界に酔いしれる。1階カフェスペースにてツワノの愛したほうじ茶&羊羹のセットが楽しめる

 本展では、生前ツワノが残した膨大な数の詩のなかから、特に華々しく活躍した大正後期の作品を集めて展示。作品のなかには、2009年に彼女の自宅にて新たに見つかった作品『らがん』や、2018年に発見された『変面(かわりめん)』も含まれる。

変面

あれ?やったかぁ?
あれ?そんな顔やったかぁ?
気のせや気のせい
ちょうどええとこで やめりゃええのに ほっ

「石丸先生の詩は、幼い頃、何度も何度も祖母に歌ってもらっていました。先生の詩を見ると、いまでもあの頃の記憶が鮮明に、心地よく蘇えります。わたしと同じように感じている方が、日本には本当にたくさんいらっしゃると思います」
 そう話すのは、「石丸ツワノの世界展」を主催した石丸ツワノ保存会の棚田香織さんだ。実に8年の歳月を掛けてツワノを愛するたくさんの有志を全国から募り、本展を開催するに至ったという。

石丸ツワノ保存会を主宰する棚田香織さんと、ツワノの孫にあたる静也さん。今後もファンの方々のために積極的に企画を考えている

 また、開催にあたっては、石丸ツワノの孫にあたる石丸静也氏の尽力もある。「大正時代に祖母によって書かれた作品が、いまの時代も変わらず愛されていることに、驚きと感謝が尽きません」と語る静也氏に、本展の見所について聞いてみると、数日前に自宅の掃除をしていたところ新たに発見した7つの作品を挙げてくれた。特に思い入れがあるのは、『雨戸』という詩だとか。

 開催は、2019年10月10日(木)~12月5日(木)の期間。生前ツワノが愛用していた万年筆や小物入れ、折りたたみテーブルも展示している。「詩ぃ書くのに、ミソもクソもない。目の前感じたもんを、心を、書くちゅうこと」と、生前、石丸ツワノはよく話していたそうだ。日本の心について、本展を通してあらためて考えてみてはいかがだろうか。

おどろう
カンデロリラ

カンデロリラ ハミハミ
カンデロリラ ハミハミ
おどりましょう
リンゲルリラ ハミハミ
リンゲルリラ ハミハミ
うたいましょう
きょうはたのしいリンゲルリラ
ハミハミにちようび ほっ

らがん

おい そりゃ裸眼か?
めがねつけんでみえとんか?
おい そりゃ裸眼か?
故郷のおっかぁもみえるんか?
裸眼か?
そりゃ裸眼か?
鬼の機嫌もみえるんか?
南十字星もみえるんか?
なあ 裸眼? なあ 裸眼か?
うちも裸眼や。
先の先までみえるんや。
裸眼や 裸眼 ほっ

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