ブックキュレーター作家 真山仁
この不条理にどう挑む!?
世の中は不条理に満ちている。だからこそ、その不条理に立ち向かう勇気が求められるのです。不条理に挑む、不可能を克服する熱量と情熱――。それは、エンターテインメント小説の醍醐味の一つでもあります。諦めるな!戦い続けよ。そして、その壁を乗り越えるのだ。
- 108
- お気に入り
- 7847
- 閲覧数
-
消されかけた男 改版
フリーマントル(著) , 稲葉 明雄(訳)
凄腕でありながら、なぜか疎まれてしまう。そんな男はどこにでもいるものです。それがスパイの世界になれば、命がけになります。冴えない風体の英国情報部員チャーリー・マフィンは、あろうことか自らが所属している組織から「廃棄処分」に近い扱いを受け、命を落としかけます。それを持ち前の機転ですり抜けたチャーリーは、自らが生き残るために一か八かの賭に出ます。
-
アルジェリアの独立を阻む仏大統領ドゴールを暗殺せよ!と過激派が雇ったのは、正体不明の敏腕暗殺者「ジャッカル」。その日から、ジャッカルと彼を逮捕しようと必死の捜査を続けるルベル警視の死闘が始まります。ミッション成功のために徹底した準備をし、人を利用し、時に殺害までするジャッカルの非情さの背後に、人情も大義もありません。しかし、彼の行動こそが国際政治の不条理を突き破ると読者は信じ、徐々に暗殺者を応援したくなるから不思議です。
-
ナイロビの蜂 上
ジョン・ル・カレ(著) , 加賀山 卓朗(訳)
映画『裏切りのサーカス』で知られるスパイ小説の巨匠 ジョン・ル・カレ。冷戦後、彼が新たな敵と見据えたのは、グローバリゼーションでした。国境を越えて世界が繋がるのは良いことのように多くの人は錯覚しています。しかし、これによって地球規模で富は、一握りの多国籍企業と富豪たちに握られてしまうのが実情なのです。その闇をえぐり、愛する者の死の謎を解きたい一念で突き進む主人公の葛藤は、多くの人の胸をつきます。そして、その先に、冷戦時代のソ連よりも手強く怖い巨大な敵が浮かび上がってきます。
-
日本探偵小説の最高峰である『獄門島』は、実は社会派ミステリだったのを知っていますか?とにかく凄いトリックの連発で、冒頭からラストまで、読者は圧倒されるのですが、作品の底流に流れているのは、日本が抱える独特の価値観という掟の存在。その掟を突きつけられた者がどんなリアクションをするのか。本書の凄みを下支えしているのは、そういう不条理を前にした人たちの苦悩と葛藤だったのです。
ブックキュレーター
作家 真山仁小説家。高校時代に小説家を志し、新聞記者、フリーライターを経て、2004年『ハゲタカ』でデビュー。2007年に『ハゲタカ』『ハゲタカⅡ』を原作とするNHK土曜ドラマが放映され話題になる。地熱発電をテーマにした『マグマ』は2012年にWOWOWでドラマ化された。「ハゲタカ」シリーズのほか、地検特捜部と宇宙開発を舞台にした『売国』、日本の食と農業に斬り込んだ『黙示』、被災地の小学校を舞台にした連作短編集『そして、星の輝く夜がくる』『海は見えるか』、財務省を舞台に、国家予算半減プロジェクトに挑む人々の姿を描いた『オペレーションZ』などがある。海外ミステリをこよなく愛し、マニアの編集者との読書会を定期的に開くほど。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です