ブックキュレーター中公新書編集部長 白戸直人
苦難、選択、抗えない血――。ライフヒストリーから時代、社会を知る。
逃れられない貧困、戦禍、父母・きょうだい、夫婦、友だち・・・ 。その中でどのような選択をしたのか、せざるを得なかったのか。ライフヒストリー(自伝・評伝) は読みやすい。だが5作は一気に読ませる物語性に富んでいるだけではない。生き方の手がかりも提供する。戦争、殺人などの極限の中、彼らの選択した結果は――。自らの生き方の参考にも。
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サンダカン八番娼館 新装版
山崎 朋子(著)
戦前、日本は貧しかった。多くの女性たちが海外、特に東南アジアに売られ、春をひさいだ。戦後、生地・天草に帰国し、隠れるように暮らしていた彼女たちの一人から、その体験を聴き取った名著。彼女たちは、親のため、お金のため売られるのが当然と思っていた・・・。それでもなお、力強く生きていた。
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永山則夫 封印された鑑定記録
堀川惠子(著)
高度成長期、4人を射殺した19歳の少年。極貧や教育を受けていない生活ゆえの悲劇と語られてきた。だが精神鑑定医・石川義博が残した100時間のテープからは、母に捨てられ、その母も祖母に捨てられといった負の「連鎖」が明らかになってくる。血はあらがえないのかと切なく思わせる静かな衝撃作。
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全共闘の時代、朝日新聞社の20代の週刊誌記者は、活動家による朝霞自衛官刺殺事件で、犯人と濃密な関係を築く。だがその過程で証拠隠滅の罪で逮捕、社を解雇される。学生への共感・接近から、事件、スクープ、逮捕と、急変する事態。肉親・会社を巻き込み、大きく揺れ動く心をナイーブなまでに率直に描いた自伝。
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原爆体験記
広島市原爆体験記刊行会(編)
投下から5年後、広島市が募った手記29編。主婦、事務員、軍人、小学生、大学教授らは、8月6日に、何を体験し、目撃し、どのように5年を歩んだか。ありとあらゆるすべての苦しみがそこにあり、「凄まじい」としか私には表現できない。極限の中での肉親への尽きぬ思い、被爆者同士の助け合いが、強く胸を打つ。
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戦後日本を最も象徴する人物は、「コンピュータ付ブルドーザ」と呼ばれた頭脳と行動力で、小学校卒から総理へ。だが疑獄事件で没落する。彼の番記者であり、名文家でも知られる著者が描き切った75年の生涯。「読み進めるのが惜しく感じる」との評があったが、担当編集としても同感だった。本作を超える角栄の評伝はない。
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ブックキュレーター
中公新書編集部長 白戸直人中公新書編集部長。1990年入社。『婦人公論』『GQ Japan 』『中央公論』など各編集部を経て、2004年より中公新書編集部。2011年より現職。
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