困難を乗り越えるには歴史を知れ！参勤交代の苦労から学べる本

19歳の小野寺一路は、父が火事で亡くなったために自分が参勤交代を率いることになってしまいます。家伝である「行軍録」を唯一の頼りに、いざ参勤交代を実行するも、その道中にはさまざまな困難が・・・。それを乗り越える姿に、思わず応援して一気に物語世界へ引き込まれてしまいます。

幕府老中より、「５日以内に参勤しないと藩お取り潰し」という無理難題を押し付けられた磐城藩のお殿様が、財政難に喘ぎながらも知恵と勇気で乗り切る物語。少人数で出掛けた旅を大行列に見せかけるトリックが微笑ましくも、江戸人のたくましさを感じさせます。シナリオ界の芥川賞と呼ばれる「城戸賞」受賞作のノベライズ本です。

オノ・ナツメによる異色の人気コミックです。岡山藩主・熊田治隆が一行を率いて、参勤交代の長い道のりを旅する物語。アニメチックな愛らしいキャラクターや簡略化された背景などとは裏腹に、江戸時代中半の風俗を丹念に調べあげて描かれていて、江戸時代に生きる人々の生活や参勤交代の苛酷さが読む者の胸に迫ってきます。

久留米藩当主でありながら、やくざの血も引くというアウトローが主人公。史実を絡めながら、実在の人物である有馬虎之助の奔放な生きざまを描いた娯楽時代小説です。豪放磊落ゆえに参勤交代という厳命をも先延ばしにし、遂にはすっぽかしてしまうというエピソードは、ストレスも吹き飛ばしてくれるほど、スカッとさせてくれます。

参勤交代について本格的に学びたくなったらこの本。著者は東京大学大学院情報学環教授、史料編纂所教授で歴史学の権威。史料を読み解き、豊富な実例を交えて参勤交代で起きたトラブル解消法も紹介しています。歴史をエンターテインメントで楽しむ前にも後にも、ためになる一冊です。