ブックキュレーターhonto代表 加藤嘉則
命をかけて吐き出した言の葉は彼らを救ったのか、それとも世の中を救ったのか
一言一文字を吐き出すことがその苦しさに反して自由を生み、解き放なたれる事ができるものであればどんなに素晴らしいことだろう。少なくとも、懸命に物事をみる目が生んだ言葉を読む人は、時に気づきを見、時にはげまされ、時に勇気を与えられる。
- 21
- お気に入り
- 1778
- 閲覧数
-
キリンの子 鳥居歌集
鳥居(著)
人は、生まれて、成長し、生活して、生きて死んでゆく。そのどの時にも感動や喜びがある。それと同じくらい苦しみや不条理があるのだと、だけれども生活して生きているのだと強くしかし透き通る言葉で叫びかける歌集。
-
26歳で死去。短い生涯の中で生まれた歌には、心の底がしっとりとする短歌が多い。その放埓な生涯の中で、自分が生きてゆくために、たぐりよせるよ寄りどことのようにして吐き出された言葉は、啄木を生きさせる以上に世の中に残したものが多い。読み直してなお感じるものがある。
-
原文は黒い手帳にかかれたあまりにも有名な雨ニモマケズ。たっぷりとしたインクで悠々と描かれたものであればその意味は違っていたように思う。鉛筆で書かれたその線からは、筆圧は高く、しかし、不安が同居するようにも見える。むしろ、次のページに書かれた仏を思う言葉は大きく密度がたかい。自分の不安と闘って吐き出した言葉が、たくさんの人に勇気を与えているのだろうか。彼の思いをたどり、他の作品もあわせて読みたい。
-
高野喜久雄詩集
高野 喜久雄(著)
自然の中に貫かれている力があるとすれば、それにすべてが生かされていると語りかけられる。雨、川、海、かもしか、猿、白鷺、自然の営みは繰り返され、生き物の命も循環している。人すらも、むしろ人こそが大きな循環の中にいる事を思い出す。こころの力こぶが緩む感動。
ブックキュレーター
honto代表 加藤嘉則株式会社トゥ・ディファクト 代表取締役社長。山形県出身、筑波大学卒。DNP(大日本印刷)の電子出版ビジネス立ち上げプロジェクトに参画後、2013年3月に現職に就任。「本好きに愛される書店」をめざしハイブリッド書店hontoの改革に向けて奮闘中。隙間時間でスマホを使って電子書籍を読み漁る。「理解する事よりも本から感じる」ことが大切と考え、分野選ばず真実を探し求める。好きな作家は山崎ナオコーラ、遠藤周作。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です