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作家だけではない。「思想家」としての表情が浮き彫りになるドストエフスキーの小説
『罪と罰』を代表作とする、ロシアの文豪・ドストエフスキー。そんな彼は作家としてだけでなく、実は思想家としても高名です。近代的な無神論の思想と、結果として訪れる破滅。時代を先取りした「実存主義」の思想。ただ暗い心理描写だけではない、先見の明をもって洞察された思想が垣間見える小説を紹介します。
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貧しき人びと 改版
ドストエフスキー(著) , 木村 浩(訳)
処女作でありながら、圧倒的な筆力を秘める小説。小心者の役人である中年男性と、乙女の恋模様を書簡体で描いた小説です。愛と貧困の対立構造。一見すると男女に同情的な作風ですが、宗教的な不信の果てに辿り着くであろう世界はこんなものだと、不信の広がる世界がいかに冷淡なものかを、淡々と示しています。
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農奴解放からブルジョワ社会へ変わりゆくロシアで、アリョーシャという青年の悲恋、そして混乱期に虐げられた人々を描いた小説です。一見すると人道主義で、か弱い人々に同情的な物語です。しかし、「不信が訪れれば罪のない人間が苦しむ世界に変容する」ことに警鐘を鳴らしている、実に思想的な内容です。
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社会と隔絶された地下室で生きる役人の独白、という物語です。美しさ、気高さ、人間が掲げる理想を捨て去って、自分の意志のみに忠実になった男。人間とは元来非合理的な生き物であり、そのようにして生きるべきだと考える主人公が破滅の道を辿っていく、実存主義を前面に押し出した小説です。
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鰐 ドストエフスキーユーモア小説集
ドストエフスキー(著) , 沼野 充義(編) , 小沼 文彦(訳) , 工藤 精一郎(訳) , 原 卓也(訳)
ペテルブルグの街に巣食う奇妙な人間を題材に書かれた、ユーモアあふれる喜劇。しかし、表層的な笑いの描写の一方で、まるで理性を失った泥酔者や、人道主義者に成ろうと空回りを続ける男などが象徴的に描かれていて、ことごとく悲惨で破滅的な結末に収束していく筋書きには、芯のぶれない思想がより強く感じられます。
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