古都の風情、日常がなんとも魅力的！京都に住みたくなる至極のストーリー

そのものズバリのタイトルですが、短編4編で綴られた履物屋の老夫婦と少年の物語です。悠久の歴史を誇る京都で醸成された独特の空気を背景に、昭和30年代から現代という半世紀を濃密に描いています。さまざまな時代が顔を出す織物のような短編集です。時が重なって深みのある京都の日常空間を知れば、きっと住みたくなってくるはずです。

桃枝骨董店は、京都祇園の奥にひっそりと営業しています。いわく付きの骨董品や不要品が集まってくる不思議なお店にある日、孫娘が帰ってきて、平凡だった毎日が急に慌ただしくなっていきます。京都が舞台だからこそ生まれた、ちょっぴり不思議なミステリー。京都の街中には、何気ない風景にも古都のにおいが漂っています。

京都の地元新聞記者を主人公に描く、軽快なタッチのミステリーです。京都の裏側を暴こうとするフリーライターが殺されて寺男が容疑者になりますが、主人公は真犯人を追っていきます・・・。表題作を含め全6編の推理短編集。京都の名刹や、この町らしい風景に接すると、住みたくなり、住んでいるような心地にもなるでしょう。

同名タイトルでドラマ化されて話題になった、京都の下町にある小さな食堂を舞台にしたグルメ小説です。お客の思い出の味を捜してくれる不思議な食堂の物語。鍋焼きうどんや鯖寿司、ナポリタンに肉じゃがと、食卓でおなじみのメニューが粋なエピソードとともに登場します。グルメの街、京都の日常が垣間見られて、そそられます。

大胆な構図や思い切った色遣いで近年、再評価が著しい伊藤若冲。300年前に京都で生まれた若冲は今も残る錦市場や石峰寺など、江戸時代に活躍した絵師です。独創過ぎるがゆえに悩み苦しんだ若冲の姿を小説仕立てて味わえます。読めば、身近なスポットに昔の人の息吹を感じられる、歴史がすぐそこにある街・京都に住みたくなるでしょう。