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歴史の記憶を継承する。欧米作家が書いた第二次世界大戦
さまざまなイデオロギーと科学の進歩が生みだした兵器により、未曽有の死者をだした第二次世界大戦。その現場に直面した作家たちが残した文学。それらは、大戦の実体験を持つ人々が減るなか、記憶の継承のために重要度を増しています。そのなかから、欧米作家が残したものにフォーカスして、戦争のリアルを追体験できる本を紹介します。
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世界文学全集 2−12 ブリキの太鼓
池澤 夏樹(個人編集) , グラス(著) , 池内 紀(訳)
ナチス政権前後のダンツィヒ自由都市。ドイツとポーランドの中間に位置するこの都市の歴史を、幼児の体と大人の精神もつオスカルの視点で描きます。ナチスを信奉し、ドイツの敗色が濃厚になるとそれを隠蔽する父親に、日和見的な都市の姿を象徴させます。ナチスを受け入れた土壌を問題提起した本です。
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サン=テグジュペリが第二次大戦中に出版した本。ナチスに占領されたフランスからアメリカに亡命した著者が、43歳にして亡命政府軍のパイロットに志願し、戦った経験をまとめています。人間の自由と尊厳を基調に、ナチスの思想に対する自由主義陣営からの反論を書いています。
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心理学者フランクルがナチス強制収容所での体験をもとに著した本。収容された経緯、収容生活、収容所からの解放の三段階で、自身および収容されていた人々が課せられた行動を描写し、その心理状況を分析しています。収容所生活と、危機的な状況で崩壊する人間心理の描写により、ホロコーストの恐怖が心を震撼させます。
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スローターハウス5とは第5屠殺場の意味。主人公が収容された捕虜施設が、もともと屠殺場だったことを指します。著者が捕虜として経験したドレスデン爆撃の惨状をもとに、戦争の矛盾を表明したSF小説。ろくに訓練もせず若者を戦地へ送り出す軍隊と、連合国が行った無差別爆撃をシニカルに描いています。
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神の火を制御せよ 原爆をつくった人びと
パール・バック(著) , 丸田 浩(監修) , 小林 政子(訳)
アメリカの原爆開発と、その使用の是非を問う小説。原爆の開発を政府が決定するまでの過程、決定から開発、そして投下へ至るプロセスのなかで、3人の科学者が感じたジレンマが克明に描写されます。アメリカの側から見た「ヒロシマ・ナガサキ」を文学に閉じ込めた一冊です。
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