ブックキュレーターhonto編集員
こんなとき文学は何を描けるのか?東日本大震災をテーマにした小説
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、津波に原発事故と被害の連鎖が人々の暮らしを大きく変えてしまいました。今日と変わらない日々が続くことを信じて疑わなかった私たち。人々の価値観を大きく揺るがした震災について、作家たちが苦心しながらも描いた物語は、生きることに悩む多くの人の道しるべになることでしょう。
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津波でさらわれた思い出の品を海から持ち帰るべく、立入禁止の海域でダイビングをすることになった舟作。自分が生き残った意味を自問自答し続けながら海に潜ることで、彼の本能が呼び覚まされていきます。海に潜り続け、震災を目の当たりにすることで生きることの本質に近づいていく。そんな男について描いた物語です。
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本書では生き残った者のつらさが描かれています。避難所でのプライバシーのない生活、自分本位な年寄りたちの言動、生まれたばかりの乳飲み子。田舎特有の男尊女卑にも負けず、女性たちが立ち上がる姿に胸を打たれます。震災で浮き彫りになった家族の問題とともに、プライバシーの重要性を重んじる現代社会の脆さも問う小説です。
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震災についてメディアが取り上げる話題は、どうしてもインパクトのあるものが中心になっています。そのことを苦慮した著者が、幾度にもわたる取材で得た内容をまとめたリアルな小説です。被災者同士でも妬みが生まれ、権力のある者は自分のくだした判断に苦しみます。被災者の心の悲鳴を恐れず言葉にした傑作です。
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