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直木賞作家・角田光代が影響を受けた作家たちの本
2005年に『対岸の彼女』で直木賞受賞をはたし、2011年に『八日目の蝉』が映画化されると瞬く間に名を広めた角田光代。その小説の特徴は、登場人物たちの奥深い心理描写で読者を物語の世界へ誘うこと。そんな彼女は学生時代から本を読むのが大好きだったそうです。現在の「角田光代」を形作った、彼女が影響を受けたと公言している本を紹介します。
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輝ける闇 改版
開高 健(著)
角田光代がデビュー後、28歳のときに読んで打ちのめされた、と公言している開高健の小説です。ヴェトナム戦争に従軍した著者自身の体験談で、言葉のもつ迫力で読者を圧倒していき、当時のヴェトナムの様子を鮮烈に描写しています。『夏の闇』『花終る闇』と続く、開高健の「闇」シリーズの第1作です。
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内田百間集成 3 冥途
内田 百間(著)
20代半ばの頃、角田光代は内田百間の小説を好んで読んでいたそうです。夢の様子を描いているのに、まるで現実で起こっているかのような不気味さを感じるのがこの短編集。角田は『今ここに現実があっても、次の角を曲がった瞬間まったくの異界が広がっているかもしれない』という本作の異様さに、惚れ込んだとのことです。
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第七官界彷徨
尾崎 翠(著)
内田百間と同様に角田光代が20代によく読んでいたと公言しているのが、作家・尾崎翠の小説です。本書では、人間の五官と第六感を超えた「第七官」に響くような詩を書きたいと願い、奮闘する少女・町子の恋と、町子を取り巻く人々の人間模様を描いた物語です。特に、登場人物の感覚の描写が素晴らしい、と高く評価されています。
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角田光代が『いままで言葉で説明されたことのない気分や気持ちなど、恋愛というものが生みだすものが書かれている』と発言し、彼女の描く主人公たちの感情表現に影響を与えたであろう川上弘美による連作短編集です。静かに淡々と物語を綴りながら、恋愛によって生まれていく気怠さ、あやふやさ、罪深さなどが丁寧に描かれています。
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東京日記 リチャード・ブローティガン詩集
リチャード・ブローティガン(著) , 福間 健二(訳)
米国の詩人リチャード・ブローティガンがたった1人で東京に滞在していた1976年5月から6月の記録を、日々つらつらと綴っていた日記を詩集にしたもので、当時の東京での生きづらさが目に浮かびます。角田光代はブローティガンに関して、『それまで詩を読んだことがなかったのだけれども、言葉のフィット感がすごくありました』と話しています。
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