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ハードボイルド小説とはどんなものか?その答えにふさわしい名作
善悪を超越した極限の世界で己を試され、生き残る者たち、あるいは破滅する者たちを描く非情の文学ハードボイルド。何となくはわかるけれども、それがどんなものかを表現するのは難しいジャンルでもあります。しかし、ここに紹介する小説はどれも、存在自体が「ハードボイルド小説とはこういうものだ!」ということを無言のうちに示している名作ばかりです。
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ガラスの鍵
ハメット(著) , 池田 真紀子(訳)
ハードボイルドの完成形の呼び名も高い本書。街の顔役 マドヴィッグのもとに身を寄せている賭け師 ボーモンは殺人事件の調査に乗り出すけれど、ギャング同士の対立にも巻き込まれてしまいます・・・。つまらない感情に流される自分を、自分でねじ伏せてしまえる人間になれたかのような、引き締まった気持ちに誘う読後感がたまらない一冊です。
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内なる狂気を抱きながら生きる宿命を背負った青年「伊達邦彦」。彼はその狂気に心を乗っ取られることなく、逆に強靭な精神力で自らの狂気を操り、完全犯罪を着々と進めていきます。しかし、どこまでもクールでタフだった邦彦に、運命は苛烈な決断を要求します。松田優作主演の映画をはじめ、映像化作品も多い日本ハードボイルドの代表作です。
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チャンドラー短篇全集 2 トライ・ザ・ガール
レイモンド・チャンドラー(著) , 木村 二郎(ほか訳)
欲望と策略、銃弾と暴力。汚れた熱風の吹き荒れる世界をチャンドラーの冷徹な筆致が淡々と物語っていきます。なかでも「金魚」は、沈鬱なムードに彩られながら、スピーディーな展開、激しいアクション描写、駆け引きや心理戦などスリリングな要素がふんだんに盛り込まれています。短いなかにもハードボイルドの醍醐味が存分に表れている秀逸作です。
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中央委員会殺人事件
バースケス・モンタルバン(著) , 柴田 純子(訳)
思想闘争を経て、鈍い挫折感とともに日々を送る探偵カルバーリョは、皮肉屋でグルメ好きの好色家。大物共産党員殺害事件を調査しはじめた彼の前に、次々と厄介な人物が現れて調査を妨害します。カルバーリョと事件に群がる者たちとの暗闘、駆け引きを描くとともに、激しい思想闘争のあった時代のスペインの混沌とした空気をも鮮やかに描いています。
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