ブックキュレーター作家 町屋良平
一気読み「難渋」文学書5選!
文学に触れてみたい。でも時間に追われ、なかなか手が出せない。ぼくも仕事のかたわら小説を書いてるので、そういうときは多いです。日常に疲れきった頭でも、気がつけば一気読み。しかし読書体験としては濃密。そんな一挙両得、ぐいぐい読める「難渋文学」5冊です。
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高慢と偏見 新装版
J.オースティン(著) , 阿部 知二(訳)
19世紀イギリス文学。500Pを超える大作。そんな難渋文学の代表のような要素を併せ持った本書だが、魅力ある登場人物、ワクワクを誘うストーリー展開で、ページをめくらせる引力のものすごい一冊。ぼくは読了に一ヶ月を覚悟しましたが、一晩で読み終えてしまいました。
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形象と時間 美的時間論序説
谷川 渥(著)
美学者・批評家である著者の、芸術、時間、肉体、またそれらの関係について書かれた本。タイトルからしてお硬すぎる印象を持たれそうだが、目から鱗のおちる体験の連続で、奇跡みたいに読みやすい。読了したあとはワクワクしすぎて、すぐにでも誰かと内容を語りたくなる魔力を持っている。
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地図集
董 啓章(著) , 藤井 省三(訳) , 中島 京子(訳)
「香港のボルヘス」とも称される、現代香港の代表的作家、董啓章(トウ ケイショウ)の小説。標題作の「地図集」は難渋文学の冠を免れないかもしれないが、収録作「少年神農」は自由自在の筆致と物語的な面白さを併せもち、翻訳ものに苦手意識を持つ人間をもいつの間にか虜にしてしまう。
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思い川・枯木のある風景・蔵の中
宇野 浩二(著)
芥川龍之介や志賀直哉ら名だたる文豪たちと同時代に活躍し、「小説の鬼」と称されたり自称したりしていた宇野浩二の代表作。講談社文芸文庫。とくれば難渋文学としか思えないところだが、うつくしい文章の流れや登場人物たちの軽妙なやり取りにより、非常に読みやすい。
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雁 改版
森 鷗外(著)
「石炭をば早や積み果てつ。」の書き出しがあまりに有名な『舞姫』の著者、森鴎外後期の作。教科書で『舞姫』の文語体に挫折した人も、言文一致運動の果てに書かれたこの『雁』の読みやすさ、面白さに出会ってほしい。鴎外の風景描写には他の作家にない明るさがあるように思う。『青年』も一気に読み終えた記憶あり。
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