ブックキュレーターhonto編集員
怖くて暗いだけじゃない。視覚美と深いドラマがくせになる横溝正史の世界
ミステリーを読まなくても、横溝正史の名前を知っている人は多いのではないでしょうか。横溝作品といえば、おどろおどろしいイメージが強いのですが、実はその犯罪場面や背景の描写は絵画のように美しく、ストーリーは哀しみも含んだドラマティックなものが多いのです。金田一探偵の登場する有名小説から、ドラマ要素が高いものを挙げてみました。
- 16
- お気に入り
- 5444
- 閲覧数
-
数奇な生まれをした青年の帰郷を機に起こる連続殺人事件。実際に起きた事件をモチーフにしたことでも有名な小説です。地下鍾乳洞という美しく神秘的な空間を舞台に、双子の老婆、甲冑、旧家などの要素で異様な雰囲気をつくりあげながら、業と愛憎のドラマが展開されます。闇のなかのサスペンスも迫力があります。
-
最期を看取った戦友の頼みで、彼の故郷「獄門島」へ渡った金田一耕助。そこで「予言」どおりに起こる三姉妹連続殺人事件。それぞれに奇妙な姿で発見される遺体のさまは、まがまがしい美しさとして描き出されています。周りを海に囲まれた孤島ならではの海と山の描写も冴え、視覚的イメージも膨らむ小説です。
-
毒殺犯の疑いを受けたのち、失踪した椿元子爵。元子爵作曲のフルートの音色が美しく不気味に響くなか、謎の紋章が残された密室殺人を皮切りに、椿邸で起こる連続殺人事件。その事件を引き起こしたのは、退廃と呪い、そして深い悲しみと怒りでした。明かされる、館に住む人間たちの秘密。恐ろしくも哀しい、運命の物語です。
-
横溝作品によく見られる、印象的な遺体の扱い、過去の因縁、複雑な血縁関係、旧家内の確執などの特徴がすべて盛り込まれている有名小説です。莫大な財産をめぐって起こる連続殺人事件。鍵を握る美女を取り巻く筋立ては、古典的なロマンティシズムも感じさせます。
-
山に囲まれた小さな村で、伝承の手毬唄どおりに起きる連続殺人。遺体はどれも、唄になぞらえた奇妙な形で発見されるのです。焦燥をあざ笑うように歌は続き、殺人も続く。山深い村の風景と手毬唄が極めて日本的な雰囲気を醸し出しているのも特徴的な、真相も切なく哀しい物語です。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です