短編＆長編小説とは違った魅力があります！爽快感あふれる連作短編集

あくどい仕事に手を染める溝口と岡田。本書にはそんな彼らの周辺を描いた5つの話が収録されています。盗んだ車に積まれていた大金の謎や虐待されている小学生の救済など、どの話にも伏線回収の魅力が詰まっていて、最後にカタルシスが用意されています。各話のつながりがおもしろい、爽快な読み味の連作短編集です。

周囲を巻き込み、好き放題に立ち回る破天荒な男・陣内。そんな彼の周りでは「ときが止まる場所」や「消えた銀行強盗」など、不思議な事件がたびたび起こります。本書に収録されているのは5つの物語で、バラバラな時系列から語られるそれらの謎が解き明かされるとき、それぞれの話はつながり、爽快な結末を迎えます。

3人組の泥棒はある日、とある廃屋で一夜を明かすことになります。そしてその廃屋には、過去から手紙が届き・・・。この本では、手紙と泥棒による5編の物語が紡がれています。過去と現在が少しずつつながり、泥棒たちは最後にある決心をします。そして晴れ晴れとした気持ちで廃屋を出る泥棒たちの姿が、読後に強い爽快感を残す一冊です。

区民会館で上映される映画「ローマの休日」。そこには逃避行する高校生や自殺で夫を亡くした女性などが集まってきます。そんな「ローマの休日」が上映される街の人たちが織りなす5つの話が、本書には収録されています。最後に明らかになる「ローマの休日」が上映される理由に心が温まり、読後、爽やかな気分にさせてくれるでしょう。

死者との再会をかなえてくれる使者「ツナグ」。この本では、そのツナグを中心に5つの話が語られています。そして本書は、死んだアイドルと会うOLの話や亡くなった母と会う男の話など、死者と向き合う生者の物語で構成されています。「死」を扱いながらも生きている人が前を向けるようになる話が多く、爽やかな読後感の連作短編集です。