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極端なのが魅力です。洗練と豊穣のラテンアメリカ文学入門
ラテンアメリカ文学の魅力はなんといっても洗練と豊穣さで、いずれにしても両極端なのです。一方にムダな部分をストイックなまでに削ぎ落とした、教養に裏打ちされた知的小説の傑作があります。かたやおびただしい人物が登場し、いくつもの物語がからみ合う、いい意味で野蛮な長編小説の傑作があるのです。ここではそんな小説を厳選して紹介します。
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百年の孤独
G.ガルシア=マルケス(著) , 鼓 直(訳)
南米の架空の村マコンドにおけるブエンディア家の繁栄と没落を、およそ100年にわたって描いた壮大な絵巻物です。「マジックリアリズム(魔術的リアリズム)」の代名詞とも目されているとおり、とにかく奇想天外な出来事ばかりが次々に起こります。約500ページにおよぶ厚い本ですが、圧倒的な物語が100年間をあっという間に駆け抜けます。
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緑の家 上
バルガス=リョサ(作) , 木村 榮一(訳)
この小説には舞台がまったく異なる5つの物語が収められています。そのうちの一つの物語の舞台が砂原に建つ「緑の家」です。最初は、この5つの物語にいったいどんなつながりがあるのかわからず、戸惑うかもしれません。ですがその分、それらのつながりが明かされてゆく終盤には、大きなカタルシスが得られるはずです。
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夜になるまえに 新装版
レイナルド・アレナス(著) , 安藤 哲行(訳)
著者レイナルド・アレナスはキューバ革命期を生き、投獄や脱獄を経験してアメリカへと亡命したキューバ生まれの作家です。本書はそんな作家の波乱万丈の人生を記した自伝で、まるで冒険物語を読んでいるかのような気分になります。唖然とするほどの生命力に満ちあふれた、「ラテンアメリカ文学」のバックグラウンドを知るのに最適な一冊です。
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伝奇集
J.L.ボルヘス(作) , 鼓 直(訳)
20世紀を代表する作家の一人、ボルヘスによる短編集です。博覧強記で知られる著者が、伝説や神話、古典文学に哲学などを織り込みながら、迷宮のように入り組んだ幻想的世界を描き出しています。一編一編は短いのですが内容は濃密。また、観念的で難解なものも多いのですが、それゆえに何度読み返しても色あせない短編ばかりです。
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遊戯の終わり
コルタサル(作) , 木村 榮一(訳)
短編の名手コルタサルによる、知的仕掛けに満ちた短編集です。たとえば、読んでいる小説のなかの登場人物の一人に背後からナイフで刺される男の話、といった奇抜な設定の物語がいくつも収められています。結末にアッと驚ける本を読みたい、という方にオススメです。機械のように精巧に創られたお話がそろっています。
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