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読む者の感情を揺さぶる!「家族」と「家」を描いた悲喜こもごもの物語
古今東西、小説は多くの「家族」の物語を描いてきましたが、同時に家族が住む「家」も描いています。家とはただ単に住む目的だけではなく、家族そのものを象徴していて、想い出を宿らせており、ときには家族を苦しめるものでもあるのです。そんな家が重要な役割をはたし、読む者の感情を揺さぶる物語を紹介します。
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四人の交差点
トンミ・キンヌネン(著) , 古市 真由美(訳)
フィンランドのひとつの家系の三世代に渡る100年の歴史が、4人の人物を主人公にして語られた小説です。そのうちの1人は「人生は建物だ」と考えています。彼女たちにとって家は人生そのものであり、家を建てたり増築する場面が頻繁に出てきます。人間の幸福と苦しみが、「家」を通して心に響いてくることでしょう。
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ハイキャッスル屋敷の死
レオ・ブルース(著) , 小林 晋(訳)
加工肉の商売で財を成した男は貴族の称号を得て巨大なマナーハウスに住み、金を湯水のように使い、昔の貴族のような生活をしています。その男が命を狙われ、探偵キャロラス・ディーンが屋敷にやってきます。探偵の目から見た屋敷は虚栄の象徴で、家族もばらばら。謎解きのおもしろさはもちろん、家に囚われた人々の人間模様も丁寧に描かれた傑作です。
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「アッシャー家の崩壊」はエドガー・アラン・ポーの有名なゴシック小説の短編です。人間の精神と屋敷の構造が共感関係を結ぶという、実に神秘的な状況が圧倒的は筆致で描かれています。病んだ人の心は屋敷とともに崩壊に向かい、ともに崩れ去っていくラストは圧巻で、その細部がいつまでも心に残る名作です。
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きみを夢みて
スティーヴ・エリクソン(著) , 越川 芳明(訳)
アメリカでマイホームをもち、アフリカから養女を迎えた夫婦は、ローンが払えなくなり今にも家を手放さなくてはならない状況にあります。複雑で多重的な構成の小説ですが、全編に「家族を守る」という強い意思が貫かれています。家を失いそうな状況が、家族の絆をより一層深めていくさまは感動的です。
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心を病んだ女性が通勤電車の中から毎日眺める郊外の家には幸せそうな夫婦が住んでいて、彼女はそこから目が話せません。なぜなら、かつて自分もそのような生活をしていたのです。しかも、その2軒先の家で。幸せの象徴のようなマイホームで生活している女性たちの心の痛みや悲鳴が聞こえてくるような、イギリスを舞台にしたミステリーです。
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