ブックキュレーター作家 塩田武士
人間を書き、社会を描く。愛欲、不信、意地、謎・・・ひと筋縄ではいかない「大人の世界」へようこそ
「社会派」という看板に憧れ、小説を書いてきました。作家による渾身の取材や鋭い人間観察から幾多の名作が生まれましたが、その中でも特に影響を受けた作品を紹介いたします。なお「最後に挙げている作品は宣伝じゃないか」との真っ当な疑念は、胸の内にしまっていただくよう、お願いいたします。
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テロリストのパラソル
藤原 伊織(著)
アル中のバーテンが、都内の公園で起きた爆弾テロ事件に巻き込まれた。長年の間隠していた自らの過去と事件がリンクし、追われる身となった男が、いくつもの壁を乗り越え真相に迫る――。この作品を読んで小説家を志した私にとって、外すことのできない作品。魅力ある登場人物、会話の格好よさ、ページを捲るたびに加速する展開は、最高のお手本となっている。
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社会派推理小説の生みの親、松本清張の短編集。スターダムを駆け上がる役者の男には、殺人の過去があった。名誉と破滅の間を彷徨う男の心理描写で読み手をゾクゾクさせる「顔」。その女は本当に”同情すべき加害者”なのか。刑事訴訟法の「一時不再理」の原則を傑作ミステリーに仕上げた「一年半待て」など8編を収める――。欲望、哀愁、疑心暗鬼を書かせたら、清張の右に出る者はない。
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ブックキュレーター
作家 塩田武士1979年兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒。新聞社在職中の2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞を受賞し、デビュー。『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞、「週刊文春」ミステリーベスト10 2016で国内部門第1位となり、大きな話題となる。他の著書に、『女神のタクト』『ともにがんばりましょう』『崩壊』『盤上に散る』『雪の香り』『氷の仮面』『拳に聞け!』がある。
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