人生に迷った女性へ贈る。ありのままの「自分」を取り戻すための物語

「普通」ではないと自覚して生きてきた恵子は、30代半ばを過ぎても結婚や就職もせずコンビニでバイトの日々。それは世間的には「普通」の生き方ではないかもしれません。婚活目的の白羽という男が現れたことによって恵子の生活に波紋が生じますが、自分自身を大切にできる彼女こそが、本当の意味で「普通」の人生を歩めるのではないかと思えてきます。

アメリカで発見された古いキルトには、魔女狩りでおばあさんを亡くし、新大陸へと渡った少女メアリーの日記が縫い込まれていました。魔女でありながら清教徒として暮らし、正しい者たちがふりかざす頑迷な偏見のなかでも矜持をもって成長するメアリー。フィクションだとは信じられない、息づかいが聞こえてくるようなリアルな筆致で綴られた物語です。

1944年2月、広島の呉へ嫁いできた18歳のすずが、新しい家族との生活を営む様子を描いた一年半の物語です。戦時下を生きる庶民の姿がほのぼのと描かれるなか、すずをはじめとする女性たちがもつ柔らかな強さが、とても魅力的に描かれています。心のよりどころを失っても自分自身は決して見失うことはない、女性ならではの強さが印象に残るコミックです。

両親からひどい虐待を受け、学校も退学になってしまった16歳の少女プレシャス。代替学校で言葉を学ぶことによって、彼女の「世界」が一変します。汚い言葉を稚拙に並べるだけだった悲しい過去に別れを告げ、言葉も文章も美しく変化した輝く未来を手にするのです。彼女自身が輝く存在となったことで起こった、軌跡の物語が描かれています。

産むことのできない子をはらんでしまった女性たちに寄り添う医師おゑん。「闇医者」といわれる彼女がまとう力強さと、心の内に秘めた深い慈しみが感じられる物語です。商家の女中、やんごとなき身分の女性、そしておゑん自身がもつ逃れられない過去の痛みなど、つらく悲しい出来事のなかでも、流されるままではない女たちの本当の強さが感じられます。