ブックキュレーターhonto編集員
日本ならではの、恐ろしくも不思議な世界観が堪能できる怪談本
怪談を楽しむことは、日本独自の文化の一つといえるでしょう。昔から日本各地で語り継がれてきた怪談のなかには、地域ごとに異なるものや、時代ごとに移り変わってきたものもあります。現代までにさまざまな人たちの手によって語り継がれてきた怪談のなかから、日本ならではの不思議な世界観が味わえる怪談本を紹介します。
- 27
- お気に入り
- 2509
- 閲覧数
-
山で生きる人たちの不思議な体験をまとめた、現代版「遠野物語」といえる一冊です。マタギへの取材をライフワークとしている著者が主張するのは、日本の山には「何か」がいるということ。説明のつかない奇妙な恐怖からは、山と生きる者が抱く山への畏怖が感じられます。はるか昔から山や森を支配してきた不思議なもの存在を、読後には確信しているでしょう。
-
雪の降る雛祭りの夜、青蛙堂の怪談会に招かれた客人たちが語る12の怪異譚を収録した本です。端正な筆致が醸し出す古めかしくも趣のある不思議な物語が、ひとつ、またひとつと語られていきます。淡々とした語り口からは、時を重ねて熟成されたような重みと湿気が感じられ、読者自身も青蛙堂に招かれたかのような錯覚を覚えるかもしれません。
-
あやし
宮部 みゆき(著)
江戸の市井の人々が遭遇する日常に潜む怪異を描き、本当に怖いのはおばけや鬼ではなく人間の心である、と思えてくる一冊です。人の形をしていても心は異形になりはてた者たちの恐ろしさだけでなく、決して分かち合うことのできない哀しさも綴られています。背筋がゾッとしつつも憐れみを感じてしまう、怪しくも切ない怪談物語です。
-
文藝怪談実話
遠藤 周作(ほか著) , 東 雅夫(編)
ホラーアンソロジストとして定評のある東雅夫が選んだ怪談集です。明治・大正・昭和の誰もが知っている作家、噺家、歌舞伎役者など、名人級の筆力や語りをもつ人々の実話なので、どの物語も甲乙つけがたい出来栄えといえます。話すと呪われる「忌み話」の典型である田中河内介に関する怪談もあり、怪談好きにはたまらないアンソロジーです。
-
小泉八雲集 改版
小泉 八雲(著) , 上田 和夫(訳)
幼い頃に読んだ恐ろしい昔話の数々は、実は幕末に日本を訪れた外国人によって英語で紹介された物語だったのかもしれません。静かな語りで深い余韻を残す小泉八雲の怪談には日本の風土に根差したものも多く、本書を読めば外国人から見た日本文化や日本人論の一つだったということがよくわかります。また、怪談以外にも幅広い作品が収録されています。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です