ブックキュレーターライター・編集者・映像制作者 品川亮
「記憶散歩」に誘われる本〜東京篇
街の風景には、いろんな層が積み重なっている。だいぶ下の方の層がぽっかり表面に顕れていることもあれば、表層にほんのわずかばかり残る痕跡から思いがけない風景が立ち現れることもある。それを楽しみに町を歩くのが「記憶散歩」だとすれば、ここにあるのはそのための「手引き書」である。
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東京 記憶の散歩地図
小池壮彦(著)
坂道、路地、坂、地名などなど散歩していて不思議と気にかかるものには、かならずといっていいくらい「物語」が潜んでいる。散歩道に立ち上がるいくつもの小さな「物語」たちを通して、幻となった東京の風景を道ばたに幻視するためのコツを伝術してくれる、「記憶散歩」の決定版でありかつ入門書でもあるのが本書。
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東京の地霊
鈴木 博之(著)
見かけはふつうなのにどことなく「イイ匂い」を放つ土地に惹き寄せられてみると、実は怪談の舞台だったというのはよくあること。ここでいう「地霊」とはそういう意味での「霊」ではないが、当たらずとも遠からず。土地には因縁のようなものがあって、歴史はいつのまにかその上に積み重なっているというお話。
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「町の記憶」といっても「江戸時代」となったとたん、興味が薄れるほどに遠くなる。だがここでは著者の博覧強記と無邪気な筆致によってその距離が一挙に埋められ、散歩欲を強く刺激する。途中で本を放り投げ、江戸の風景を幻視する「川めぐり」やらなんやらに出かけたくなってしまうので、読了までなかなかに時間がかかる。
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建築探偵の冒険 東京篇
藤森 照信(著)
風景は建築物によって形作られる。毎日見る風景の同一性によって、人の人格的同一性が保たれているのでは。というようなことを藤森氏は書かれていた。それが人格のどの部分を支えていたのかは過ぎてみないと分からないが、ぼんやりしていてはこの風景もあの風景も永久に失われる。本書に収められた多くの建築物のように。
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集合住宅物語
植田 実(著)
とにかくそそられる写真と文章によって散歩に誘われるのだが、もはや現存しない集合住宅が多い。だが失われたものを嘆くだけではつまらない。ここに収められていないイイ集合住宅をひとつでも多く見つけ出し、風景を蒐集するための散歩に出かける。そのための手引きとして熟読するというのが、本書の正しい活用法だろう。
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ブックキュレーター
ライター・編集者・映像制作者 品川亮ライター・編集者・映像制作者。SPLEEN FILMS代表。出版社などの勤務を経て、2016年フリーランスに。カルチャー情報サイト「HarmlessUntruths.net」(http://harmlessuntruths.net)主宰。月刊誌「STUDIO VOICE」元編集長。共編著に『ゼロ年代+の映画』。
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